研究課題/領域番号 |
23K23934
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補助金の研究課題番号 |
22H02671 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 麻乃 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (20722101)
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研究分担者 |
山崎 曜 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 助教 (40816021)
北野 潤 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (80346105)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 日長応答性 / 下垂体 / 季節 / 季節応答 / 甲状腺刺激ホルモン |
研究開始時の研究の概要 |
生物が繁殖するのかは、その生物種の適応度を左右する重要な形質である。私たちは近年、トゲウオ科イトヨを用い、甲状腺刺激ホルモンTSHb 2遺伝子の日長応答性の変化が、複数回独立に繁殖期の進化を引き起こしたことを見出した。そこで本研究では、このTSHb2の日長応答性の変化 の原因変異を同定し、その機能や由来、過去の自然選択圧、上流経路、下流経路の分子制御ネットワークとその機能を解明し、それらを他魚種 と比較することで、 TSHb2遺伝子が繁殖期の進化を何度も引き起こす至近的、究極的機構を理解する。
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研究実績の概要 |
生物の多くは特定の季節に繁殖し、また種や地域集団ごとに独自の繁殖期を持つ。では、繁殖期の多様性はどのような遺伝子や遺伝的変異によって進化するのだろうか?その共通性はどのような機構により生じるのだろうか?これまで動物の繁殖期の進化遺伝機構の多くは未解明であった 。私たちは近年、トゲウオ科イトヨを用い、甲状腺刺激ホルモンTSHb2遺伝子の日長応答性の変化が、複数回独立に繁殖期の進化を引き起こしたことを見出した。そこで本研究では、TSHb2の日長応答性の変化の原因変異を同定し、その生理的機能と適応度に対する効果、変異の由来、過去の自然選択圧を解析すると共に、TSHb2の上流経路、下流経路の分子制御ネットワークとその機能を解明し、それらを他魚種と比較することで、 TSHb2遺伝子が繁殖期の進化を何度も引き起こす至近的、究極的機構を理解する。本年度は、季節繁殖型の下垂体を用いた1細胞ATAC+RNAseq(マルチオーム)解析から各種下垂体ホルモンを発現する細胞クラスターを同定した。これらの中でも、TSHb2はTSHb2発現細胞と同定された細胞クラスターの一部のサブクラスターで発現していた。またそれらの中でTSHb2は短日条件で高く、長日条件で低く発現しており、私たちのこれまでの研究結果と一致した。さらにTSHb2の上流配列のクロマチンアクセシビリティを見ると、短日条件でこれが上昇していた。またTSHb2を発現するサブクラスターでは、概日リズムや光受容体関連遺伝子を含む遺伝子が特異的に発現していた。これらは、光を感受し、TSHb2に日長情報を与える遺伝子がTSHb2産生細胞と同じ細胞で発現していることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年11月までに、解析用個体作出のための親魚採集、解析用個体作出を行い、 令和5年3月までに、1細胞RNAseqの時系列解析を行う予定であったが、当初の想定に反し、解析用個体作出に用いる親魚が不漁であったため、共同研究者からの移譲していただいた親魚から解析用個体を作出し、1細胞RNAseqの時系列解析を延期して実施する必要が生じた。このため繰越を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新しく得られたTSHb2遺伝子を制御する候補上流遺伝子をゲノム編集により改変し、それぞれの機能や下垂体トランスクリプトーム、性ステロイドホルモン、生殖腺発達、腎臓発達、肝臓発達などに与える影響を解析する。また、通年繁殖型でも同様の1細胞ATAC+RNAseq(マルチオーム)解析を行い、その制御ネットワークの違いを生む候補遺伝子を網羅的に探索する。
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