研究課題/領域番号 |
23K23943
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補助金の研究課題番号 |
22H02680 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
金尾 太輔 山形大学, 理学部, 助教 (40758421)
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研究分担者 |
ブギーニョン トマ 沖縄科学技術大学院大学, 進化ゲノミクスユニット, 准教授 (40817558)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | シロアリ / ハネカクシ / 好白蟻性 / 共進化 / 野外調査 / DNA実験 / µCTスキャン / 学会発表 / 多様性 / 進化 / 系統関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、シロアリの巣に特異的に見られる好白蟻性ハネカクシと寄主シロアリの進化史の推定に基づき、ハネカクシがシロアリ社会への適応や分布拡大に伴いどのように多様化したのかを明らかにする。進化史の推定では、大規模なDNA情報に基づき系統樹を構築する。また、外部形態に加えて、筋肉構造や生殖器官の形態情報を系統樹に復元することで、知見が非常に限られている好白蟻性ハネカクシの食性や生殖戦略などの生態面の進化についても言及する。これにより、特殊環境に適応した生物の種や形態の多様化に関する一般的な進化的傾向を示す。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、4月に研究打ち合わせのため沖縄科学技術大学院大学に滞在した上で、昨年度に引き続き研究対象のハネカクシを得るためのサンプリングとDNA実験、およびマイクロCT装置によるハネカクシの内部形態のスキャンと3D画像の構築を行った。サンプリングでは、系統解析を実施する上で不可欠であるヒゲブトハネカクシ亜科で最も原始的な系統に属する種を得るために北海道でサンプリングを実施し、十分な個体数を得た。また、系統解析に用いるその他の自由生活性ハネカクシを得るため、沖縄や屋久島など国内複数地点で野外調査を実施した。同様に、オーストラリアに約3週間滞在し、オーストラリア固有の好白蟻性ハネカクシを得たほか、ハネカクシ以外にも多くの好白蟻性昆虫が得られるなど、充実した成果が得られた。DNA実験では、昨年度に得られた自由生活性・好白蟻性ハネカクシと寄主シロアリのDNAを抽出し、ショットガンシーケンスによって各サンプルのミトコンドリアゲノムをアセンブルした。系統解析に用いるハネカクシ・シロアリ各種のミトコンドリアゲノム情報は順調に蓄積されつつある。ハネカクシの内部形態の観察では、北海道で得られたサンプルのCTスキャンを実施したほか、昨年度スキャンした自由生活性・好白蟻性ハネカクシの複数系統について腹部の3D画像構築を完了し、好白蟻性ハネカクシの分散や生殖戦略に関する知見を得た。これらの成果の一部は、日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会(合同大会)において2講演にまとめて口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプリング・DNA実験・CTスキャンおよび3D画像の構築の全てにおいて計画通りの進捗が得られたため。また、令和6年度についても、すでに共同研究者との打ち合わせや野外調査、国際会議における成果の発表の予定が固まっており、問題なく研究を遂行できると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に引き続き、5月に共同研究者と研究打ち合わせを行なった上で、サンプリング・DNA実験・マイクロCT撮影と3D画像の構築を実施する。サンプリングについては、日本国内において自由生活性ハネカクシを得るために野外調査を継続するとともに、昨年度に引き続きオーストラリアで調査を実施することで、系統解析を行う上でより充実したサンプルの確保を目指す。DNA実験については、サンプリングで得られた標本のDNAの抽出とライブラリの調製、シーケンス、ミトコンドリアゲノムのアセンブリを順次行なっていく。内部構造の観察については、頭部の内部構造に着目し、3D画像の構築と着色作業を進める。これらの成果の一部は、第27回国際昆虫学会と第72回日本生態学会大会において発表する。なお、国際昆虫学会では、社会寄生性昆虫のシンポジウムを主催する予定である。
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