研究課題/領域番号 |
23K23946
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補助金の研究課題番号 |
22H02683 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 東京大学 (2024) 岡山大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
池田 啓 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70580405)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
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キーワード | 光受容体 / 種分化 / フィトクロム / 進化生理学 / 系統地理学 / 環境感受性 |
研究開始時の研究の概要 |
発芽した場所から移動することのできない植物にとって,生育環境を感知する光受容体は,開花をはじめ,植物が子孫を残すことに関わる形質を環境に適した形へと変化させる働きをもつ。本研究では光受容体(フィトクロム)の環境を感知する性質(環境感受性)の進化が,種分化の引き金となるかを検証することを目指している。この目的を達成するために,本研究では(1)形質転換植物を用いた生理学実験を行い,フィトクロムの環境感受性の進化が,種分化に関連する表現型(開花期の違いなど)に影響するかを検証する。また,(2)フィトクロムの環境感受性における進化が様々な植物に共通した現象であるかを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では,(1)植物の光受容体における環境感受性が開花特性に与える影響を明らかにすることと(2)日本列島から北極圏に広く分布する植物を例に,植物の光受容体における環境感受性が異なる緯度に生育する植物の間で異なるかを明らかにする研究に取り組んでいる。 初年度は,(2)に関する実験の基礎を確立するために,北極圏に分布する様々な植物から光受容体遺伝子を単離することを行った。植物園などで植栽されている植物を用いて,10種の植物に由来するRNAを抽出した。RNAseq解析の受託サービスを利用し,それぞれの種で発現する遺伝子の塩基配列をde novo解析に適したプログラムを用いて網羅的に構築した。塩基配列を構築したそれぞれの遺伝子に対して,シロイヌナズナの相同遺伝子をBLASTで探索し,光受容体をコードする遺伝子を探索した。その結果,8種についてはphyBの全長に相当する塩基配列を入手することに成功した。また,それ以外の種についてもphyB以外のいくつかのフィトクロム遺伝子の塩基配列の全長を入手することに成功した。これらの塩基配列をもとに,5種を対象にphyB遺伝子の全長をPCR増幅するプライマーを構築し,phyB遺伝子の塩基配列における多型を調べる予備的な実験を行った。その結果,一部の種では異なる緯度に生育する個体の間で光感受性に影響する可能性のあるアミノ酸変異を持つことが明らかになったが,多くの種ではphyBの配列における保存性が極めて高いことが明らかになった。また,5種の植物については,分布全域を網羅するサンプルからゲノムワイドな遺伝的多型を明らかにし,光受容体における変異が自然選択を受けたかを解析するための基礎となるデータを入手することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部の種では質の高いRNAを抽出することができず,光受容体遺伝子を探索する種が想定を下回っているが,クローニングなどの実験を進めるための基礎となるデータは十分に入手できており,順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
一部の種については再度RNAseq解析を試み,光受容体遺伝子の全長配列を入手することを試みる。また,植物の光受容体をコードする遺伝子のうち,PHYB遺伝子は想定以上に保存的であったため,PHYB以外のフィトクロムを解析することも視野に入れて研究を進める。
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