研究課題/領域番号 |
23K23952
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補助金の研究課題番号 |
22H02689 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 公益財団法人山階鳥類研究所 |
研究代表者 |
山崎 剛史 公益財団法人山階鳥類研究所, その他部局等, 研究員 (70390755)
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研究分担者 |
荻原 直道 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70324605)
小林 豊 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (70517169)
米澤 隆弘 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (90508566)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 適応放散 / 種分化 / 分散力 / 数理モデル / ハシブトガラス / シミュレーション / 分岐年代推定 / 自然史標本 / 系統比較法 / 鳥類 / ハワイ産鳥類 |
研究開始時の研究の概要 |
適応放散がなぜ起きるのかは、長年にわたる進化生物学の中心的テーマである。既存の種分化理論は急速な放散をうまく説明できない。本研究では、適応放散のポピュラーなモデルである「群島モデル」に分散力の進化可能性という簡単な仮定を加えるだけで、放散中の急速な種分化をうまく説明できることを理論的に示す。さらに、鳥類を対象にした経験的研究を行い、このような進化が実際に起きていることを実証する。
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研究実績の概要 |
理論的研究については、分散力の進化的変化を仮定して構築した新理論に基づき、3つの島集団の個体ベースのシミュレーションを行い、その結果を報告する原稿を執筆した。新理論は、既存理論のもとで謎であった適応放散時の種分化の同期と微小異所的種分化の頻発を容易に説明できた。
経験的研究については、八重山諸島に固有で、新理論に従う進化の実例である可能性のあるオサハシブトガラスCorvus macrorhynchos osaiの調査を行った。具体的には、C. m. osaiの4つの島集団(西表島・石垣島・波照間島・黒島)について、分岐年代が同期するかどうかを確認するため、それらの集団から得られた計118サンプルのゲノム解析(RAD-seq解析、mtDNAのLA-PCR解析)を実施した。また、近縁種であるクバリーガラスC. kubaryi、イエガラスC. splendensのサンプル入手の交渉をスミソニアン博物館とのあいだで進めた。
さらに、カラス類の種分類再検討を行うための基礎研究として、分類形質である音声に嘴形態が及ぼす影響を系統比較法によって評価した。また、自然史標本に基づき、分散力の進化的変化を推定する方法論を確立するため、ケーススタディを実施した。具体的には、小翼羽の形態と翼面の柔らかさを測定し、飛翔能力との関連性を調査した。島嶼域において、無飛翔性の進化を繰り返し起こしたことで知られるクイナ類について、CTを用いた脳形態の復元、初列風切羽の形態の測定を行った。このうち、クイナ類の脳形態の比較結果をJournal of Anatomy誌から出版した。この研究は、脳の大型化と飛翔能力の減少を関連付ける結果となった。翼面の柔らかさに関するレビュー論文をJournal of Robotics and Mechatronics誌から出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論的研究については、当初計画していた論文の出版には至らなかったが、原稿はほぼ完成している。経験的研究については、オサハシブトガラスの研究はおおむね順調で、自然史標本を用いる研究は、当初計画していたより多くの重要なケーススタディを実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
新たにDNA実験のエキスパートを研究チームに迎え入れることで、一層の研究の推進を図る。
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