研究課題/領域番号 |
23K23953
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補助金の研究課題番号 |
22H02690 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
神崎 菜摘 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70435585)
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研究分担者 |
菊地 泰生 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20353659)
新屋 良治 明治大学, 農学部, 専任准教授 (30802798)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 線虫 / 食性 / 進化 / 多様化 / ゲノム / 多様可 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らが発見したモデル生物、C. elegans の姉妹種(C. inopinata) は、これまでの同属種とは生態的に大きく異なっており、このことは、同属の極めて高い遺伝的可塑性の証明となった。本申請研究では、多様な食性を進化させた複数の線虫グループを対象に、その種分化に伴う生活様式、特に食性の多様化を、系統分類を基本として、形態(構造)、生態、ゲノムを統合的に解析することにより、食性の多様化要因を遺伝子レベルで明らかにする。さらに、C. elegans / C. inopinata 実験系を活用して、多様化因子の導入によって、実験的に食性進化の実証を行う。
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研究実績の概要 |
1.ウメの落下果実特異的に検出され、ケシキスイに便乗する Caenorhabditis 属の1種、C. cf. parvicauda、に関して、形態的特徴、ドラフトゲノム情報をもとに種同定を行ったところ、既報の C. parvicauda と同種であることが確認された。 2.上記、C. parvicauda に関して、京都において、ウメ落下果実特異的に検出されることは確認されているが、他地域での分離調査により、鹿児島、茨城両県からも、同様の環境で分離されることが確認された。これらの分離株は実験室条件で維持している。また、ゲノム情報取得のための純系株作成を行い、詳細なゲノム解読を開始した。 3.前年度の調査で検出された培養不能種、Acrostichus sp. 2 に関して、培養条件を検討したところ、高浸透圧環境で、体表に付着していた未同定細菌を餌として培養可能であることを確認した。本種に関しては、採集地域の異なる2株を実験室株として確立した。 4.高栄養環境に適応していると考えられる糞食性昆虫からの線虫分離を行ったところ、新属新種 Onthodiplogaster japonica、新種 Sachsia putridicola の検出、記載を行った。このうち、O. japonica は一種類の口腔形態で複数の餌資源を利用(糸状菌食、細菌食、捕食)することが確認されたことから本課題の材料として利用可能であると考える。 5.口腔(口針)形態に糸状菌食、捕食の二型がみられる Bursaphelenchus sinensis に関しては、当初の実験用純系株の生育が不調であったため、再度作成し、食性範囲に関与する遺伝子群を対象としたゲノム解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、主に材料線虫種のゲノム解析の開始、生理(主に食性範囲)試験、新規材料の検出を行うこととしていた。 ゲノム解析に関しては、材料とする純系株の不調などがあり、再度作成することとなったため、解析の開始に若干の遅れが出ている。生理試験に関しては、環境耐性も含め、概ね予定通りのデータが得られている。新規材料の検出に関しては、口腔二型を明確には持たない雑食性種の記載、海浜環境で生息する線虫種の検出など、当初の予定以上の成果が得られている。これらのことから、全体としては概ね予定通りの進捗状況であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ここまで、概ね予定通りのデータが得られているため、計画に大きな変更はない。 当年度に新規材料として利用可能な線虫種が想定以上に得られているため、これら線虫種に関しては、分類、系統学的記載を行い、これに加えて生理試験、ゲノム解析を追加することがどの程度可能かを検討しつつ、進める予定である。
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