研究課題/領域番号 |
23K23974
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補助金の研究課題番号 |
22H02711 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45060:応用人類学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中込 滋樹 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員准教授 (40625208)
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研究分担者 |
山本 玲 京都大学, 高等研究院, 特定拠点准教授 (00581191)
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
辻村 太郎 京都大学, 高等研究院, 特定講師 (90741893)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | パレオゲノミクス / 狩猟採集民 / 集団遺伝学 / 自然選択 / 環境適応 / 縄文人 / 全ゲノムimputation / パレオゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、縄文人集団の全ゲノム解析から、農耕が始まる以前の古代狩猟採集民がもっていたユニークな生物学的特徴に迫る。ヒトは、その進化の大部分を狩猟採取民として過ごしてきた。それにも関わらず、狩猟採集民がどのような適応進化を遂げ、どのような形質を獲得してきたかはほとんど分かっていない。1万年以上かけて独自の文化を育んできた縄文人は、その格好のモデルといえる。本研究では、考古学・人類学 ・集団遺伝学の学際的アプローチを駆使して、古代狩猟採集民の遺伝学的基盤を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、縄文人における適応進化を明らかにすることで、農耕以前の古代狩猟採集民の生物学的特徴を理解するだけでなく、現代における人類集団が農耕以前と以降のどちらの適応進化の影響を強く受けているかを検証することを目指している。 これまで多個体の縄文人ゲノムを生成し、既に発表されている縄文人ゲノムと合わせて解析を行なってきた。それら縄文人ゲノムの多くは、他の古代ゲノムデータと同様に低カバレッジである(<1X)。そのため、ヒトの一塩基多型における遺伝子型を決めるのは難しい。そこで、そのような古代ゲノムデータからでも遺伝子型を決定する方法として、全ゲノムimputationを行う。その有効性を検証してきた結果、0.1Xカバレッジのデータがあれば1,000 万個以上の SNP サイトに関して 99%以上の正確性をもって遺伝子型データが得られることがわかった。 そして、imputationを行った縄文人ゲノムデータを用いて、自然選択の検出を行った。自然選択を受けたアレルは急速に集団中に拡がる。そこで、他集団と比べて縄文人で極端にアレル頻度が分化しているサイトを同定するためにPopulation Branch Statisticsを用いた。各サイトに関して、縄文人・中国人・ヨーロッパ人の3集団におけるアレル頻度から集団間の遺伝距離を測定する。そして、ゲノム全体(中立条件下)で期待される距離と比べて、縄文人系統でのみ極端に距離が離れているサイトを検出することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、縄文人ゲノムにおける全ゲノムimputationの正確性を確認することができ、これまで報告されてきた低カバレッジのゲノムデータも含めて、解析することが可能となった。そして、新たなゲノムデータと合わせることで、より信頼性の高い結果を得られることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに縄文人ゲノムの個体数を増やすことで、これまで同定されてきた自然選択の痕跡を再現できるかどうかを検証する。さらに、縄文人で同定されたサイトを農耕以降の古代人類集団や現代集団と比較することで、農耕以前の適応進化が農耕以降は消失したのか、それとも有利なアレルとして集団に残ってきたかを明らかにする。
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