研究課題/領域番号 |
23K24007
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補助金の研究課題番号 |
22H02744 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新藤 充 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40226345)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | トリプチセン / イノラート / イプチセン / 機能性分子 / 大環状分子 / ベンザイン / カプセル分子 / 檜山カップリング |
研究開始時の研究の概要 |
座標の定まったトリプチセンもしくはイプチセンの上にリンカーユニットを立て任意の作用部位が配置された分子の合成法の構築とその機能開拓を行う。トリプル環化反応に基づくイノラート法、アントロン法およびアンビデントアントラセン法を詳細に検討し、土台となる機能化トリプチセンの合成法を確立する。それを基盤にトリプチセンの1,8,13位から成る面に対して直立する「支柱」ユニットを構築することで、座標が定まった三次元空間に任意の作用部位を配置する方法論を開発する。また、水平展開を目指しオリゴイプチセンの合成を行う。近接効果を利用した新規連続反応の開発、カプセル分子等の大環状分子の効率合成を検討する。
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研究実績の概要 |
すでに著者らが開発した手法に従ってシリルベンザインとイノラートとのトリプル環化反応によって、一気に1,8,13-トリシリルー9-ヒドロキシトリプチセンを合成した。この化合物に対する直接的な檜山カップリングは低収率にとどまった。しかしこれをケイ素ー臭素交換反応に付して生成した1-ブロモ―8,13-ジシリルトリプチセンに対して鈴木カップリングを試みたところ、ケイ素上のメチル基が転位してカップリングした生成物が得られた。これは前例のない分子内檜山カップリングである。この際、当該シリル基は9位の酸素と架橋環を形成していた。これを臭素化するとトリメチルシリル基が選択的にブロモ基に変換され、さらにビニルリチウムで架橋環を付加開環させた後、分子内檜山カップリングの条件に付すと、さらにビニル基が転位した。生成物は1,8,13-異種置換キラルトリプチセンであり、キラル素子として有用と考えられる。 1,8,13-トリブロモトリプチセンに対して、鈴木カップリングでパラ位にアミノ基を持つベンゼン環を導入し、これとトリホルミルトリプチセンとの脱水縮合でカプセル分子を合成した。比較的柔軟なリンカーを持つトリプチセンでもカプセル分子が生成することを見出した。 アラインと求アラインユニットの両官能基を併せ持つアンビデントアントラセンを合成し、これを連続的に縮合することによるイプチセンの合成法を開発した。このアンビデントアントラセン法により、13枚のベンゼン環を持つリニア―型としては世界最大のイプチセンの合成に成功した。 トリフルオロメチルベンザインとイノラートの反応により1,8,13位にトリフルオロメチル基をもつトリプチセンの合成に成功した。トリフルオロメチル基の立体電子効果であると考えられる。生成物はトリプチセンの片面が9個のトリフルオロメチル基で覆われている特異な構造である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直接的な檜山カップリングは進行せず、分子内檜山カップリング反応が進行することを見出したのは想定外であり、新たな発見であった。巨大イプチセンの合成は、生成物の精製に多くの課題があったが、取り扱いのコツを掴みほぼ目標を達成した。環状イプチセンの合成は一進一退が続いているが、もう一息と考えている。カプセル分子もほぼ予定通りに合成ができそうである。トリプチセンの触媒としての活用や、生物作用分子としての応用に関して研究を開始した。以上、当初の計画以上に進展した部分と、概ね順調に進行した部分があり、総じて、順調である。
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今後の研究の推進方策 |
イプチセンの官能基化については、官能基化したベンザインやアンビデントアントラセンの安定性に依存しており、今後、その検証を進める。大環状イプチセンの合成は環化反応の種類をキノンの環化付加やフリーデルクラフツ反応などを利用してさらに検討する。ポリマー化を防ぐための方策を検討する。トリプチセン上での大環状環化は、さらに反応条件の検討と生成物の構造決定に力点を置く。また、多分野の専門家と共同して、トリプチセンの応用利用について、本年度もさらに検討を重ねる。
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