研究課題/領域番号 |
23K24008
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補助金の研究課題番号 |
22H02745 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
濱島 義隆 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40333900)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 光反応 / 有機触媒 / グリーンケミストリー / C-H変換 / 分子編集技術 / 有機分子触媒 / 還元反応 / 光化学反応 / 有機光触媒 / 硫黄化合物 / CH活性化 / 水素原子引き抜き / アミン化合物 / 還元 / ピリジル化 / 水素引き抜き反応 |
研究開始時の研究の概要 |
持続可能な社会の実現に向け、クリーンな太陽光を利用する化学合成が注目されています。従来は高価な金属錯体を光触媒としていましたが、毒性がなく安価な有機分子による代替が望ましいです。また、有機分子は構造修飾が容易なため光触媒の多機能化も期待できます。本研究ではチオカルボニル構造の光化学特性に着目し、選択的反応が困難とされてきたC-H結合を省エネ・省資源で直接修飾する分子改良技術の開発を目指しています。
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研究実績の概要 |
持続可能な医薬品・農薬合成の実現に向け、太陽光を利用する省資源、省エネルギーの化学合成が注目を集め、光酸化還元触媒を用いる様々な分子変換反応が研究されている。これまでは高価な希少遷移金属錯体を光触媒とする例がほとんどであるが、触媒量とはいえ、より安価な光触媒への代替が望ましい。我々は、構造修飾により酸化還元電位を調整しやすい有機分子の光触媒機能を検討している。2021年に光励起性還元作用と水素引き抜き作業という二重触媒作用を示す光触媒として安価なチオ安息香酸 (TBA) を見出し、これを利用してベンジルアミンおよびエーテルのC-Hアリール化反応を開発した。この報告を契機として、当研究室では硫黄を含む分子、特にチオカルボニル構造を有する有機化合物の光励起性還元活性を探索し、医薬品合成への応用を目指した効率的反応の開発に取り組んでいる。 初年度は、先行研究で良好な結果を得たベンジルアミンアミン類のC-H活性化の知見をもとに、医薬品及びその合成中間体にしばしば含まれるアリルアミン類の直接的変換法を検討した。アリルアミンのアルファ位C-H結合の結合解離エネルギーはベンジル位のそれとほぼ同程度であるが、ベンジルアミン類と異なり、アリルアミンは報告例が全くなかった。これは既存の方法では副反応が誘発されるためと考えられ、TBAのような穏やかな触媒活性が鍵となる。TBA二重触媒作用をアリルアミンのC-H活性化反応に適用したところ、ベンゼン環またはピリジン環をガンマ位選択的に置換させることに成功した。アリルアミンの窒素上置換基に依存して、N,N-ジアリールアリルアミンを用いた場合はエナミンが高収率で得られる。一方、アミン窒素上がアルキル基で置換されていると生成したエナミンが反応系内で発生するHCNと連続的に反応し、良好な収率で対応するアミノニトリル体が生成されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存のチオ安息香酸触媒を用いる反応開発研究は良好な成果を与えている。一方で、より高い活性な触媒創製を目指して硫黄含有触媒の構造改変を実施する予定であったが、チオ安息香酸誘導体の合成法の確立に予想以上の時間がかかり、機能評価をしっかり行えていないため。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況に記載した点について、当初計画した硫黄含有触媒の合成法を改良し、触媒のラインナップを充実させる。合成した硫黄含有触媒の光触媒活性を分光学的に調査し、いくつかのモデル反応に適用することで光触媒活性を調査する。触媒活性が改善したら、申請時の計画に従い、アミンやエーテルを中心により不活性なC-H結合の選択的な活性化及び還元電位の大きい電子受容体の適用について検討を行う。実現できた反応を多官能性分子の選択的変換に適用し、医薬農薬の効率的合成に応用可能かを検証する。
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