研究課題/領域番号 |
23K24012
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補助金の研究課題番号 |
22H02749 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
黒木 喜美子 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (90553313)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | HLA-G / 抗体 / 免疫チェックポイント / LILR / 免疫寛容 / 免疫抑制 / 抗体医薬品 |
研究開始時の研究の概要 |
非古典的ヒト白血球抗原であるHLA-Gは、腫瘍組織において免疫抑制性受容体LILRB1、LILRB2に結合することで免疫反応を抑制している。本申請では、腫瘍細胞が自己生存のために発現する、受容体特異性の異なる複数のHLA-G分子種を特異的にブロックする機能性抗体を作製する。さらに、腫瘍免疫抑制を解除する創薬を目指した抗体のキャラクタリゼーションおよび高機能化を実施し、将来的には、「腫瘍細胞が発現するHLA-G分子種を解析する診断」と「標的HLA-G分子機能を特異的に阻害する腫瘍治療」それぞれに応用できる、HLA-Gを標的とした副作用の少ない腫瘍のコンパニオン診断・治療抗体各種の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
独自に作製したラット抗HLA-G抗体ライブラリーを用いて、多様なHLA-G分子種について抑制性受容体との結合を阻害し、免疫チェックポイントを解除可能な抗体の機能・特異性解析を進めた。 本年度は、昨年度に引き続き、HLA-Gと抑制性受容体との結合阻害実験により選別した抗体クローンの配列同定を試みた。塩基配列同定にて、シングルクローン化できていない抗体の存在も示唆されたため、再度シングルクローン化のための培養を開始し、それぞれのハイブリドーマからの抗体精製、配列同定のための核酸調製を進めている。 また、受容体との結合を阻害する抗体が、実際にシグナル制御においてもアンタゴニスト活性を示すか否かについて調べるために、細胞アッセイの系の確立を進めた。レポーター細胞を用いたHLA-G添加によるシグナル検出が安定しなかったため、抗体機能評価系としては適していないとし、単球系細胞株を用いてサイトカイン分泌量を指標とした評価系の確立を試みた。HLA-G刺激により自己寛容性サイトカイン分泌の増強が安定して検出できているため、抗体の機能評価に向けて条件検討を進めた。抗体の濃度依存性をや阻害能の差異を検出できる系確立のために、サイトカイン分泌阻害、検出に適したインキュベート時間を詳細に検討した。さらに、HLA-G以外のHLAクラスIと交差反応する可能性を考え、古典的、非古典的HLAクラスI分子を複数調製し、それぞれの抗体の交差反応性を比較した。HLA-G以外のHLAクラスI分子に比較的広く結合するクローンと、HLA-G特異性の高いクローンとの2群に特性が分かれたため、それぞれの抗原認識機構を構造的に明らかにするために、構造解析の準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度結合阻害能により選別した抗体クローンが受容体の細胞シグナル伝達能を実際に阻害する可能性がある初期データを得られており、今後条件検討を詰めて安定した評価系での比較を実施する目途が立っている。さらに、CDR塩基配列を同定したクローンに関しては、構造解析に向けた抗体断片としての発現系の準備がほぼ完了している。構造解析の優先度を決めるために、他のHLAクラスIとの特異性を比較することで、抗体の特性を2群に分けることができた。次年度予定している構造解析と高機能化に向けての準備が整ったことから、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、抗体特異性に基づき分類した2群それぞれから1種ずつ優先的に抗体断片化としての発現、HLA-Gとの複合体結晶構造解析を実施する。組換えタンパク質としての発現の他に、全長抗体をパパイン処理することによってFab断片を調製する手法も確立済みであるため、両調製法を用いて精力的に進める。構造情報が得られた場合、特異性や結合親和性を上げるCDR配列の高機能化を進める。 細胞アッセイに関しては、単球系細胞株に加え、シグナル阻害能が高い抗体については、ヒト末梢血由来単球を用いた確立済みのHLA-Gシグナル検出法を用いて阻害能を検証する。
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