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構造生物化学と定量解析を駆使した滑膜肉腫発生機構の解明と創薬

研究課題

研究課題/領域番号 23K24013
補助金の研究課題番号 22H02750 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分47020:薬系分析および物理化学関連
研究機関筑波大学

研究代表者

岩崎 憲治  筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 教授 (20342751)

研究分担者 竹中 聡  地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 整形外科部長 (00588379)
堀越 直樹  東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (60732170)
吉田 将人  筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80511906)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
キーワード滑膜肉腫 / 創薬 / 構造解析 / 構造生物化学
研究開始時の研究の概要

滑膜肉腫は、染色体転座によって生じるSS18-SSXがドライバー遺伝子であることが知られているにも関わらず、化学療法の確立していない希少 がんである。腫瘍発生につながる転写異常をSS18-SSXが引き起こすわけであるが、その作業仮説として提案されている3つのモデルの検証に挑 む。例えば、SS18-SSXとヌクレオソームの相互作用がトリガーとなるというモデルである。この目的のために、世界で初めて我々が成功した完全長SS18-SSXの精製タンパク質やSSXフラグメントの精製タンパク質を用いた各因子間の相互作用様式の解明、その親和性の定量解析、構造解析を最先端の技術を用いて行う。加え て各モデルに基づいた阻害剤の候補化合物を合成する。

研究実績の概要

現在最も受け入れられ、コンセンサスの得られているKadochモデルの検証に予定通り取り組んだ。SS18-SSXのC末端領域と酸性パッチとの相互作用解析を行った。特に患者の2/3を占めるSS18-SSX1だけでなく残り1/3の患者から検出されるSS18-SSX2も考慮して実験を行った。本結果から、ヌクレオソームのH2A K119ユビキチン化がなくても、弱いながら相互作用することが判明した。実際GraFixという手法によって、複合体のクライオ電子顕微鏡単粒子解析に成功した。SSX1、SSX2両者のC末端領域と野生型クロマチンリモデリング複合体SWI/SNFの正常成分SMARCB1の酸性パッチ結合領域であるC末端25アミノ酸残基の3つのヌクレオソームに対する親和性の大きさの比較をプルダウンアッセイ法で行った。ただし、SSX1とSSX2については、SS18-SSXに含まれる78残基とC末端の酸性パッチ結合領域34残基の2種類について本実験を行った。この結果からSMARCB1がSS18-SSXによってSWI/SNF複合体に結合できなくなることが証明されたが、その詳細なメカニズムは原子モデルを用いた検討が必要である。また、Nielsenらが提唱しているモデルを検証するため、そして阻害剤の検討をするためHDAC2の発現および精製に取り組んでいたが、バキュロウイルス発現系の構築に失敗が続き、試したコンスラクトについて、ことごとく発現さえ認められないという結果であった。そこでExpi293Fを用いた発現系を試し、発現が認められたが、Expi293FでHDAC2を発現した場合に大きな問題があることが見つかった。幸いにもExpi293Fの実験を通じてバキュロウイルス発現系におけるこれまでの問題点が明らかになり、新たにバキュロウイルスを用いた昆虫細胞発現系のデザインを考案するに至った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の想定に反し、HDAC2の 発現精製に 際して、バキュロウイルスを用いた昆虫細胞発現系構築に失敗し、続いて行ったExpi293F細胞培養発現系での取組のおいて、試薬 にHDAC2の強力な阻害剤が含まれていることが判明したから。

今後の研究の推進方策

SSX1RD-ヌクレオソームとSSX2RD-ヌクレオソーム複合体のクライオ電子顕微鏡単粒子解析結果から原子モデルを構築し、詳細な結合様式を調べる。また、その結果を既報告のSWI/SNF-ヌクレオソーム複合体の構造におけるSMRACB1とヌクレオソーム酸性パッチとの相互作用様式と比較する。これによって、2022年度の研究結果得られたヌクレオソーム酸性パッチに対する結合親和性の大きさの違いの説明を試みる。一方で、分子レベルの、SSX1とH2A-H2Bヘテロダイマーの結合阻害アッセイ系を改良し、完成させる。同時にSSX2とH2A-H2Bヘテロダイマーの結合阻害アッセイ系を作製する。これによって、結合親和性のある程度の定量化をこころみる。また、患者細胞を用いて、吉田将人博士の作製した化合物の細胞毒性を検証する。HDAC2のバキュロウイルス発現系の構築、精製に成功したら、HDAC2阻害剤のHDAC2阻害アッセイを行う。

報告書

(1件)
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (7件)

  • [学会発表] 天然性変性領域SSXとDNAの相互作用様式を決定づけているアミノ酸残基2023

    • 著者名/発表者名
      韓叡佳,高橋花南,吉永匡希,堀越直樹,胡桃坂仁志,竹中聡,岩崎憲治
    • 学会等名
      第23回日本蛋白質科学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 天然変性領域SSXとSMARCB c末端 α-ヘリックスによる競合的なヌクレオソーム酸性パッチターゲッティング2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木理惠,高橋花南,堀越直樹,小淵里恵,重田育照,Kowit Hengphasatporn,権藤花奈,竹中聡,胡桃坂仁志, 岩崎憲治
    • 学会等名
      第23回日本蛋白質科学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] クライオ電子顕微鏡単粒子解析法による天然変性領域SSX2RDとヌクレオソーム複合体の機能・構造解析2023

    • 著者名/発表者名
      渋谷綾音,谷一寿,高橋花南,堀越直樹,宮ノ入洋平,吉永匡希,小淵里恵,原田彩佳,吉田尚史,竹中聡,胡桃坂仁志,岩崎憲治
    • 学会等名
      第23回日本蛋白質科学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 腫瘍性融合タンパク質 SS18-SSX1 における C 末端領域のヌクレオソームへの結合様式2022

    • 著者名/発表者名
      小淵里恵, 堀越直樹, 谷一寿, 吉永匡希, 吉田尚史, 竹中聡, 胡桃坂仁志, 岩崎憲治
    • 学会等名
      第22回日本蛋白質科学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] SSX1 に示唆される新規の DNA 結合ドメインとその溶液中構造解析2022

    • 著者名/発表者名
      高橋花南, 古寺哲幸, 宮ノ入洋平, 加藤広介, 西村正宏, 堀越直樹, 胡桃坂仁志, 竹中聡, 岩崎憲治.
    • 学会等名
      第22回日本蛋白質科学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 天然変性タンパク質SSX1の新規機能が引き起こす滑膜肉腫発生メカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      高橋花南, 堀越直樹, 谷一寿, 宮ノ入洋平, 古寺哲幸, 西村正宏, 加藤広介, 竹中聡, 胡桃坂仁志, 岩崎憲治
    • 学会等名
      第95回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 天然変性タンパク質SSX1の新規機能が引き起こすクロマチンリモデリング異常のメカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      高橋花南, 堀越直樹, 谷一寿, 宮ノ入洋平, 古寺哲幸, 西村正宏, 加藤広介, 竹中聡, 胡桃坂仁志, 岩崎憲治
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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