研究課題
基盤研究(B)
GPCRは、細胞外のホルモンを受容することで構造変化し特定または複数種のG蛋白質を選択的に活性化する。本研究では、Cryo-EMによってGPCRとG蛋白質複合体の構造を決定し、受容体のリガンド認識機構を解明し創薬応用を狙う。さらに、GPCRと機能性抗体のCryo-EM構造解析に挑戦し、抗体によるGPCR活性の調節機構の解明を狙う。受容体は、リゾリン脂質受容体やアデノシンA3受容体、b3アドレナリン受容体、GPR103、エンドセリンETB受容体、重炭酸受容体GPR30を標的として構造研究を行う。
2022年から2024年にかけてクライオ電子顕微鏡(cryo-EM)を活用し、GPCRとGタンパク質の複合体構造決定に革新的成果をあげてきた。2022年には、ヒトLPA1受容体とGタンパク質からなる複合体をONO-0740556という強力アゴニストとともに3.5 オングストローム分解能で可視化し、トランスメンブレン7の再配置や中央疎水コアの変化に基づく活性化メカニズムを詳細に解明した 。2023年には、エンドセリン1結合ETB受容体複合体を決定し、NPxxYモチーフ非保存による独自のコンフォメーション変化やGタンパク質界面の多形性を明らかにしてアンタゴニスト設計への新たな指針を提示した 。2024年には、非脂質アゴニストCpYを結合したLPA1-Gi複合体構造を報告し、従来の脂質類似化合物とは異なるCHπ相互作用およびW271の動的役割を解明して高選択的活性化の分子基盤を示した。同年には、TM5、TM6、TM7細胞内末端にカルシニューリンを三点融合させることで、小型Family A GPCRの粒子配向性を飛躍的に向上させる汎用プラットフォームを確立し、ETBのアポ状態およびラッソペプチド結合状態を可視化した。さらに、RFアミドペプチドQRFP26とGPR103-Gq複合体を3.19 オングストローム分解能で可視化し、ペプチド伸長構造とECL2との相互作用が高親和性結合とGq特異的活性化を司ることを示した 。これらの成果は、GPCR-Gタンパク質複合体の活性化機構やリガンド認識の多様性に関する基本的理解を大きく深化させるとともに、構造に基づくアゴニスト・アンタゴニスト最適化を加速する明確な設計指針を提供している。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件)
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