研究課題/領域番号 |
23K24017
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補助金の研究課題番号 |
22H02754 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
加藤 くみ子 北里大学, 薬学部, 教授 (10398901)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 細胞外小胞 / リポソーム / エクソソーム / 物性 |
研究開始時の研究の概要 |
エクソソームを含む細胞外小胞は、人工脂質ナノ粒子と比較し数桁効率的に核酸を受容細胞に送達可能である。これはエンドソームとの膜融合による細胞質への放出効率の高さに大きく起因しているが、膜融合の分子メカニズムはいまだ不明である。そこで本研究では、エンドソーム膜との膜融合に必須となる、エクソソームを含む細胞外小胞の構成因子を明らかにする。さらに、そのエッセンスをこれまでに構築した人工脂質ナノ粒子に導入し高効率な人工エクソソームを創製する。
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研究実績の概要 |
本研究は、エクソソームを含む細胞外小胞の効率的な細胞質送達効率に着目し、エンドソーム膜との膜融合に必須となる、エクソソームを含む細胞外小胞の構成因子を明らかにするとともに、そのエッセンスを導入した人工エクソソームを創製することを目的としている。我々は、エンドソームとエクソソームとの膜融合機能を明らかにするために、エンドソームの主要な膜構成脂質と同様の脂質組成を有するエンドソームモデル小胞を作製した。また、中性条件下でエクソソームと同様の脂質組成、電荷、膜流動性を有する脂質ナノ粒子を作製した。ある種のウイルスでは、宿主細胞のエンドソームと膜融合する際にウイルス表面のタンパク質が関与することが報告されている。同様に、エクソソームに由来するタンパク質がエンドソームとの膜融合に関与する可能性を調べるため、本年度は、光ラベル化法により、エンドソームとの膜融合におけるエクソソーム由来タンパク質の関与について検討した。エクソソームは、ヒト肝癌由来細胞株(HepG2細胞)培養液から回収・精製した。まず、モデルタンパク質を用いて光ラベル化法の妥当性を示した。次に、エクソソームを用いて、構築した光ラベル化法により複数のエクソソーム由来タンパク質を同定することができた。同定されたタンパク質及び当該タンパク質の機能関連タンパク質について、FRETナノ粒子を用いた膜融合アッセイにより膜融合への関与を示唆する結果を得た。さらに、細胞外とエンドソーム内のpH環境である、中性条件及び弱酸性条件の緩衝液中で、HepG2細胞培養液から回収・精製したエクソソームの物性変化が観察されたため、エンドソーム内においてエクソソームの物性が変化する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソソームを含む細胞外小胞に由来するタンパク質がエンドソームとの膜融合に関与する可能性を調べるため、光ラベル化法により候補タンパク質の検出を試みた。モデルタンパク質を用いて光ラベル化法の妥当性を確認することができた。構築した光ラベル化法により複数の候補タンパク質を同定し、初年度に開発したFRETナノ粒子を用いた膜融合アッセイにより膜融合活性を検出できたことから、エンドソームとの膜融合に関与する可能性が示唆された。また、エンドソーム内でエクソソームの物性が変化する可能性を示した。これらの結果は、人工脂質ナノ粒子に組み込む要素となりうる。このように、本研究課題の目的を遂行するための研究が順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
エンドソームとの膜融合に関わるエクソソーム由来候補タンパク質の特性を調べる。また、細胞内取り込みの向上に加え、効率的なエンドソームとの膜融合能を有する新規脂質ナノ粒子を創製するために、脂質ナノ粒子へのタンパク質の導入法や、タンパク質と脂質との組成比、膜の物性に影響する脂質組成等を検討する。
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