研究課題/領域番号 |
23K24020
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補助金の研究課題番号 |
22H02757 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々 貴之 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (20342793)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 脂質 / 極長鎖脂肪酸 / 生体バリア / 脂肪酸 / セラミド / 口腔粘膜 / バリア |
研究開始時の研究の概要 |
継続課題のため、記入しない。
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研究実績の概要 |
野生型マウスの口腔や消化管およびヒト口腔のセラミドプロファイルを明らかにした。口腔のアシルセラミド中のω水酸化脂肪酸にエステル結合した脂肪酸をLC-MS/MSのネガティブイオンモードで分析し、表皮と同様に大部分がリノール酸であることを明らかにした。口腔および食道でElovl1を欠損させたElovl1 KOマウスの口腔および食道において、セラミドの脂肪酸部分の短鎖化およびアシルセラミドと結合型セラミド量の減少が見られた。ルシファーイエローの浸透性および飲水に添加したカプサイシンに対する忌避性を指標として口腔バリア機能を評価した結果、Elovl1 KOマウスでは口腔バリア機能が低下していることが明らかになった。以上の成果を論文発表した。 先天性魚鱗癬モデルマウス3系統のセラミドプロファイルと皮膚バリア機能を同一条件で比較した結果、結合型セラミド量の減少の程度が皮膚バリア不全の程度と関係していることが示唆された。 タモキシフェン誘導型Elovl1 KOマウスにタモキシフェンを投与後、異なる期間で表皮を採取し、セラミドを測定した結果、皮膚バリア機能に重要なアシルセラミドと結合型セラミドが経時的に減少し、少し遅れて皮膚バリア機能が低下することを明らかにした。 先天性魚鱗癬患者におけるELOVL1のミスセンス変異(S165F)について、変異残基をさまざまなアミノ酸に置換した変異体の酵素活性を測定した結果、かさ高い側鎖をもつアミノ酸への置換が活性を顕著に低下させたことから、S165F変異によって脂肪酸結合部位の立体構造が変化し、活性が低下したと考えられた。また、S165F変異をもつ先天性魚鱗癬患者の角質サンプルを入手した。 先天性魚鱗癬モデルマウスへのアシルセラミドの塗布による皮膚バリア機能の回復について予備検討を行った。塗布したアシルセラミドが浸透し、数日は塗布部位に残ることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に示した内容について、予定していた検討・解析をおおむね行うことができた。マウスおよびヒト口腔粘膜の包括的セラミドプロファイルの解明やElovl1 KOマウスの解析を通じて口腔バリア機能におけるアシルセラミド・結合型セラミドの関与を明らかにし、論文として報告するなど、重要な進展があった。以上の点から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪酸部分のα位に水酸基をもつAタイプセラミドの合成に関与する未同定酵素の候補として脂肪酸2位(α位)水酸化酵素FA2Hに着目し、FA2H KOケラチノサイトおよびFA2Hに変異をもつ神経疾患患者の角質層サンプルのセラミドプロファイリングを行う。 タモキシフェン誘導型のElovl1欠損マウスにタモキシフェンを投与し、誘導後のセラミドプロファイルの分析およびバリア機能の経時測定を行う実験について、マウスの個体数を増やし、詳細なデータを取得する。 ELOVL1遺伝子にミスセンス変異をもつ先天性魚鱗癬患者とコントロールの角質サンプルから脂質を抽出し、LC-MS/MSによるセラミドプロファイルの分析を行い、患者で起きているセラミド組成変化を明らかにする。 アシルセラミドをタモキシフェン誘導型のElovl1 KOマウスに塗布する実験について、昨年度の条件検討結果をふまえた本実験を行う。LC-MS/MSによるセラミドの測定と経皮水分蒸散量の測定を行い、塗布されたアシルセラミドの代謝と皮膚バリア機能が改善するかどうかを調べる。
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