研究課題/領域番号 |
23K24024
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補助金の研究課題番号 |
22H02761 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
名黒 功 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (80401222)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 浸透圧 / ASK3 / NFAT5 / 細胞代謝 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
老化に伴う体内水分量の低下や高食塩食は、高血圧症を筆頭に様々な疾患の増悪因子として古くから認識されていることから、体内浸透圧環境の撹乱は健康維持に悪い影響を及ぼすと漠然と認識されている。しかし、その具体的な理由は未だよくわかっていない。 本研究では、我々が独自の研究で明らかにしてきた哺乳類細胞の浸透圧応答機構を手がかりに、タンパク質リン酸化、遺伝子発現、細胞内代謝物という多階層にわたる細胞応答の相互連関を統合し、浸透圧環境がマクロファージ等にどのような影響を与えるか分子レベルで解明することである。それを通じて、浸透圧が関わる個体レベルの生理機構や病態への関与を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は研究計画に従って以下の項目について解析しデータを得た。 (1)ASK3を介する浸透圧感知とシグナル伝達の解析。ASK3が発現する腹腔マクロファージをWTおよびASK3 KOマウスから単離し浸透圧刺激依存的な遺伝子発現変化をRNA-Seqにより解析した。マクロファージ機能に関係する遺伝子を中心に解析を進めている。 (2)新たなシグナル経路によるNFAT5の転写活性制御。昨年度解析したNFAT5上流因子について、どのようなメカニズムでNFAT5の活性を正に制御するかについて、プロモーター解析などを利用して解析した。NFAT5によって発現される遺伝子のうち、発見した上流因子に影響を受けるものと受けないものの違いについても活性制御機構の観点から解析を進めた。また、この上流因子のマクロファージ特異的ノックアウトマウスから単離した腹腔マクロファージでのRNA-Seq実施の準備を進めた。 (3)浸透圧ストレスで変化する糖代謝の解析。高浸透圧刺激でPDKの活性が上昇し、糖代謝が急激にOXPHOSから好気解糖にシフトするメカニズムの解析のために、ミトコンドリア形態を精緻にリアルタイムで観察できるSTEAD法を実施できる研究者と共同研究を開始した。浸透圧刺激時のミトコンドリアのクリステなど膜形態を観察するとともに、PDH、PDKのミトコンドリア内の局在、膜電位を同時に観察するシステムの構築を進めた。また、ヒトやマウス以外の哺乳類細胞でもPDHのリン酸化を介した浸透圧応答が保存されているか検討するために共同研究先のもつ鯨類の細胞について解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も、計画にある3つの主要な柱であるASK3、NFAT5、細胞代謝のそれぞれについて、研究実績にあげた新たな知見が得られた。すでにマクロファージの機能と浸透圧環境の関係についての解析にも進んでおり着実に研究を進めることで目的の達成が可能と考えられる。また、昨年出版された細胞代謝に関する論文に続き、ASK3のLLPSに関する論文が今年度出版され、NFAT5に関しても論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、各項目に関する推進方策は以下のように進める。 (1)ASK3を介する浸透圧感知とシグナル伝達の解析。RNA-Seqを実施した腹腔マクロファージのデータの解析を進め、浸透圧に応答する遺伝子およびASK3依存的に変化する遺伝子の役割を明らかにする。これにより、マクロファージに対する浸透圧環境の影響と、そこでのASK3の役割について明らかにする。 (2)新たなシグナル経路によるNFAT5の転写活性制御。新たに発見したNFAT5制御分子が高浸透圧刺激時のマクロファージの遺伝子発現にどのような分子機構で影響を与えるか明らかになりつつあるため、RNA-Seqなどを活用して網羅的に遺伝子発現プロファイルを検討する。さらに、この分子機構を利用して細胞周囲の浸透圧環境をモニタリングするシステムの構築を試みる。 (3)浸透圧ストレスで変化する糖代謝の解析。超解像顕微鏡を利用して代謝変化の中心であるミトコンドリアの形態に注目した解析を進める。また、高浸透圧で起こる細胞代謝の変化の重要性を解析するため、阻害剤などでPDKの活性を抑制した際のマクロファージの応答について解析を進める。
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