研究課題/領域番号 |
23K24028
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補助金の研究課題番号 |
22H02765 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鈴木 亮 金沢大学, 薬学系, 教授 (00344458)
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研究分担者 |
平嶋 尚英 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (10192296)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | アレルギー / マスト細胞 / 炎症性メディエータ / Ly6G / IgE受容体 / アレルゲン / 親和性 |
研究開始時の研究の概要 |
アレルギー疾患は、世界的患者数の増加など、これまで以上に身近な問題として注目されている。申請者は、独自の研究システムを用いた解析から、アレルギー疾患に重要なマスト細胞と好中球の相互作用において、機能未知の好中球蛋白質Ly6Gが相互作用部位に集積しており、更に、好中球蛋白質Ly6Gを処理したマスト細胞では、アレルギー疾患の原因である炎症性メディエータ(ヒスタミン等)の分泌が有意に抑制されていることを明らかにした。本研究では、好中球蛋白質Ly6Gによるアレルギー制御機構の解明する。
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研究実績の概要 |
アレルギー疾患は、世界的患者数の増加など、これまで以上に身近な問題として注目されている。我々は独自に確立した、マスト細胞と好中球の共存培養システムを用いた研究から、アレルギー疾患に重要なマスト細胞と好中球の相互作用を追究してきた。アレルゲン刺激応答に伴い、マスト細胞とアレルギー炎症組織に浸潤した好中球が接着し、その接着部位に好中球に特異的に発現するLy6Gが集積していることを明らかにした。そのため、好中球蛋白質Ly6Gがマスト細胞の機能調節に関係しているのではないかと考えた。そして、好中球蛋白質Ly6Gを処理したマスト細胞では、アレルギー疾患の原因である炎症性メディエータ(ヒスタミン等)の分泌が有意に抑制されていることを明らかにした。本研究では、好中球とマスト細胞の相互作用及びLy6ファミリー蛋白質によるアレルギー応答調節機構を明らかにすることを試みた。 実施内容としては、マスト細胞と好中球のin vitro共存培養法を用いて、マスト細胞のアレルゲン刺激応答に伴う好中球との相互作用の長時間観察を実施した。また、Ly6ファミリー分子の獲得とリコンビナント蛋白質の作製及びそれらを用いたマスト細胞制御機構の解析を行なった。そして、プルダウン法やファーウエスタン法を用いた解析からマスト細胞に発現するLy6ファミリー結合分子の確認と同定を試みた。更に、アレルギー疾患モデルを用いて、Ly6G断片化ペプチドによるアレルギー応答調節機構の解析を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々のこれまでの研究成果から、アレルギー炎症組織では、炎症組織に浸潤した好中球が、マスト細胞と相互作用(接着)し、更に好中球蛋白質Ly6Gがマスト細胞側に移動しており、Ly6G蛋白質がアレルギー応答を調節していることを明らかにした。本研究では、Ly6Gをはじめ、機能や結合分子など不明であるLy6ファミリー蛋白質について、アレルギー応答制御メカニズムを分子・細胞・疾患モデルを用いて明らかにすることを試みた。はじめに、マスト細胞の刺激応答に伴う好中球との相互作用に関して長時間観察を実施したところ、好中球が接着するとマスト細胞の形態や応答が変化している様子が観察された。また、Ly6ファミリー分子の獲得とリコンビナント蛋白質の作製し、それらを用いたアレルギー応答制御機構の解析を行なった。その結果、サイトカイン産生などを抑制している可能性があるLy6ファミリー分子を見出した。更に、Ly6ファミリーの結合分子についてプルダウン法を用いて解析したところ、マスト細胞膜上に特異的な結合分子が存在している可能性があることがわかった。また、アレルギー疾患モデルを用いたLy6G断片化ペプチドによるアレルギー応答調節機構の解析から、Ly6Gの配列によって異なる炎症応答を示すことが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度得られた研究成果の再現性及び統計解析を進めるとともに、Ly6ファミリー分子によるアレルギー制御メカニズムの解析を継続する。また、最終年度のまとめとして、研究成果を積極的に公表する。① In vitro共存培養システムを用いたマスト細胞のアレルゲン刺激応答に伴う好中球との相互作用の長時間観察による、両者の相互作用を介した長期炎症調節機構の解析。② Ly6ファミリー蛋白質(断片化ペプチド)によるin vitro及びin vivoレベルでのアレルギー疾患制御及び炎症発現・抑制メカニズムの解析。③ プルダウン法によるマスト細胞に発現するLy6ファミリー蛋白質結合分子(受容体等)の精製とLC-MS/MSによるLy6ファミリー結合分子の同定。④ ③で同定Ly6ファミリー結合分子によるアレルギー応答調節機構の解析。⑤ IgE非依存的刺激(神経ペプチド、ATP、ハチ毒等)により誘導されるアレルギー応答に対するLy6ファミリー蛋白質の有効性の検討。⑥ Ly6ファミリー蛋白質及び結合分子を介した、ヒトマスト細胞(LUVA等)における分泌及び転写反応を指標にしたアレルギー応答調節機構の解析とヒトアレルギー疾患研究の基盤構築。
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