研究課題/領域番号 |
23K24038
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補助金の研究課題番号 |
22H02775 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
浅井 禎吾 東北大学, 薬学研究科, 教授 (60572310)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 天然物 / 生合成 / ゲノムマイニング / 合成生物学 / 薬理活性天然物 / 糸状菌 / 構造展開 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、天然に存在する生合成経路を異種ホストで再構築し、それらの機能を解析するとともに、そこで得られた基質認識や反応機構をもとに、新しい生合成経路を設計し、異種ホスト内で構築することで、天然にはプログラムされていない天然物の創製を目指す。また、様々な生物種の天然物修飾酵素遺伝子をランダムに作用させるシステムを構築することで、天然物の多様性を拡張する手法を構築する。
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研究実績の概要 |
本年度は、本研究の骨格の部分の異種生産系の構築に重点をおいて進めた。 まず、麹菌を宿主として、植物テルペノイドの生産プラットフォームの構築を試みた。グリチルリチンは、生薬カンゾウに含まれる主要なトリテルペン配糖体であり、生合成遺伝子が明らかにされている。また、酵母での異種生産は達成されているが、糸状菌の修飾酵素と組み合わせたコンビナトリアル生合成を達成するためには、糸状菌での異種生産が必要である。そこで、グリチルリチン生合成に関与する、麹菌にコドンを最適化したテルペン環化酵素であるβ-アミリン合成酵素を導入した麹菌形質転換株を作製した。その結果、期待通りβ-アミリンの生産を確認することができた。次に、β-アミリンからグリチルレチン酸への変換を担うP450とCYP還元酵素をそれぞれ麹菌にコドンを最適化して追加導入した形質転換株を作製した。種々の培養法や抽出法を検討したが、グリチルレチン酸の生産は、LC-MSでは検出することはできなかった。酵母の異種生産での文献を精査したところ、配糖化する前のアグリコンではほとんど化合物の蓄積が観測されなかったが、糖転移酵素を導入し、配糖化された化合物で初めて蓄積されていたことが判明したため、現在、配糖化酵素および原料糖であるUDPグルクロン酸合成酵素をそれぞれ麹菌にコドン最適化したものを導入している。 糸状菌のジテルペン骨格の異種生産系については、順次構築を進めている。また、フラボノイドの麹菌での異種生産系も順次構築を進めている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糸状菌をホストとして、植物の代表的なトリテルペンであるβ-アミリンの生合成に成功した。このことは、糸状菌において、様々な植物トリテルペンを生産できることを示唆する結果である。一方で、標的としてグリチルレチン酸の生産は確認できておらず、植物天然物の糸状菌での生産を達成するには、より多くのトライアンドエラーが必要であることもわかった。 また、本研究で用いる骨格となる糸状菌テルペン類に関しては、順次異種生産系を構築が進んでおり、また、植物の主要な天然物であるフラボノイド類に関して、糸状菌のフラボノイドの生合成研究が予想以上に進展しており、それらをプラットフォームとすることで、様々なフラボノイド類が生産できることが期待される。以上、本研究を進めていくための基盤は順調に構築できている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で次に必要となるのは、多様な遺伝子を組み込むためのゲノム編集法である。収集した様々な修飾酵素遺伝子を1コピーを導入し、糸状菌を用いてクローニングする手法の開発を試みる。具体的には、遺伝子断片を用いて、糸状菌ゲノム上に直接遺伝子断片をクローニングするゲノム編集法の最適化を実施する。それにより、収集した多様な修飾酵素遺伝子を混合して同時に形質転換することができ、麹菌内でクローニングし、コロニーを培養し、代謝物を分析することで、代謝物に変化したコロニーをピックアップして、その株についてシーケンスすることで、導入された酵素遺伝子を特定するというスキームが確立できる。そのため、次年度では、遺伝子導入法についても検討する予定である。 また、骨格として着目しているepidithiodiketopiperadine (ETP) については、未だ異種生産が達成できていないため、そちらについては、様々な組み合わせでの異種発現を検討し、ETP骨格を生合成するのに必要な情報を収集する。
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