研究課題/領域番号 |
23K24053
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補助金の研究課題番号 |
22H02791 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
降幡 知巳 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80401008)
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研究分担者 |
枡田 大生 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (10722936)
高山 祐三 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (60608438)
森尾 花恵 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70908524)
小島 伸彦 横浜市立大学, 理学部, 准教授 (90342956)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 血液脳関門 / 生体模倣システム / in vitro / 中枢神経系疾患 / In vitro model / Drug screening |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、脳疾患を再現する新たな三次元型ヒトモデル「ヒト脳Micro-Patho-Physiological Systems(MPPS)」を創成し、さらに病態機序解析や薬効解析を通じて、創薬研究におけるそれらの有用性・実装性を実証する。ヒト脳MPPSは、ヒト条件的不死化細胞による階層スフェロイド型血液脳関門モデルを基軸とし、そこに異分野の専門性を集約して確立する。これにより本モデルは、血液脳関門まで含めた脳疾患の生体模倣と汎用性を両立する特徴を有し、迅速・経済的かつヒト外挿性ある創薬基盤技術として、脳疾患創薬研究を加速させると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、ヒト不死化脳細胞を用い、脳疾患創薬研究を加速する新たなヒト脳疾患モデル「ヒト脳Micro-Patho-physiological Systems(MPPS)」を創成することを目的としている。グリオーマMPPS開発においては、少数のヒトグリオーマ細胞をヒト脳スフェロイドの中央付近に内包させる技術開発を進めた。用いる細胞種によりヒト脳スフェロイド内でのグリオーマの局在が異なるものの、グリオーマの不均一性に起因するものと考えられ、評価系として活用する上では多様なモデルの構築につながると期待される。多発性硬化症MPPS開発では、ヒト脳スフェロイドに炎症を惹起したところ、VCAM1やICAM1の発現亢進に加え、VE-cadherinなど細胞間結合を担う遺伝子発現が低下し、細胞間バリア機能の減弱が認められた。さらに、炎症惹起時にヒト単球由来THP-1細胞やヒトT細胞由来Jurkat細胞を添加すると、これら細胞がスフェロイドに集積する様子が観察された。これらの知見は、生体において脳血管炎症時に認められる病態を反映したものであると考えられる。パーキンソン病MPPS開発では、ヒトドパミン神経由来LUHMES細胞株とヒト不死化アストロサイトとの共培養スフェロイドの開発を行った。単純にこれら細胞を混ぜ合わせるだけでは均質なスフェロイドを作成することが出来なかったが、培地および培地成分を検討することにより、目的とする共培養スフェロイドを構築することが可能となった。 上記については、次年度に論文化を進めるとともに、薬物評価系としての有用性を明らかとしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト脳Micro-Patho-physiological Systems(MPPS)開発で当初対象としていたグリオーマ、多発性硬化症について、研究実績に記載のとおりに進みつつある。グリオーマについては細胞種特異的に構築できるモデルが異なることを明らかとした。多発性硬化症については、その基本となる脳血管の炎症状態の再現に成功した。一方、パーキンソン病モデルについては先行研究を参考として構築を試みたが、その手法は我々の細胞には適用できないことが明らかとなったため、独自の工夫を行った。この試行錯誤に時間を要したものの、今後、知財権の取得につながるか検討を進めことができる見込みとなった。また、これらに加え脳梗塞モデルの開発にも着手することが出来た。これらについて学会で発表した実績があり、これらの状況を総じて、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
グリオーマについては細胞種特異的に構築できるモデルが異なることが明らかとなったことから、各モデルの特徴を明らかとしつつ、抗がん剤評価を進めて論文化を行う予定である。多発性硬化症については、現在、既存薬の薬効評価を進めており、その結果を含めて論文化する見通しとしている。パーキンソン病モデルについては神経-アストロサイト共培養モデルを用いて炎症状態の再現を進めるほか、脳毛細血管内皮細胞とペリサイトの被覆を行い、ヒト脳スフェロイドモデルとしての機能改良に進む。これを用いて、まずは化学的パーキンソンモデルを惹起するMPP+を用いて初版パーキンソン病モデル構築を行う。脳梗塞モデルの開発では、まず各細胞の低酸素応答を明らかとし、脳梗塞急性期・亜急性期を模倣する培養条件を明らかとする。総じて、研究期間後半に差し掛かるところとなり、着実に成果公開を進めていく予定である。
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