研究課題/領域番号 |
23K24054
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補助金の研究課題番号 |
22H02792 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
武内 敏秀 近畿大学, ライフサイエンス研究所, 講師 (70600120)
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研究分担者 |
皆川 栄子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 モデル動物開発研究部, 特任室長 (20726252)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 神経変性疾患 / エクソソーム / タンパク質凝集 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞外小胞の一種であるエクソソームは、様々な生体機能制御に関与することが示唆されている。興味深いことに、細胞にとっては不要と思われるタンパク質や神経変性疾患の原因となる凝集性タンパク質が、共通してエクソソーム分泌されることが知られている。我々は、エクソソームが細胞内の不要タンパク質の排出処理を担っているのではないかと考え、タンパク質クリアランスにおけるエクソソーム分泌の役割とその機序を詳細に解析する。本研究は、細胞内タンパク質の品質管理におけるエクソソーム分泌の生理的役割と病的意義を明らかにするものであり、新たな視点からの神経変性疾患の病態解明や診断法開発につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
細胞外小胞の一種であるエクソソームは、細胞外分泌・細胞間伝播により様々な生体機能制御に関与することが示唆されている。その一方で、細胞にとっては不要と思われるタンパク質や神経変性疾患の原因となる凝集性タンパク質もまた、エクソソームで分泌されることが知られているが、その意義は不明である。我々は、エクソソーム分泌を介した不要タンパク質のクリアランス機構が存在し、細胞内の不要タンパク質処理の一翼を担っているのではないかと考えている。そこで本研究では、タンパク質クリアランスにおけるエクソソーム分泌の役割とその機序を詳細に解析する。今年度は培養細胞系においてタンパク質クリアランスについて検討を行った結果、エクソソーム分泌を機能低下させた細胞では細胞内タンパク質のクリアランス速度、凝集蓄積、神経変性病態が悪化することを示唆する結果を得た。また神経変性疾患患者エクソソームについて検討を行った結果、エクソソーム分泌の質的・量的変容が示唆された。これらの変容について引き続き詳細な検討を行う予定である。これらの検討の過程において、血清由来エクソソームと血漿由来エクソソームが質的にも量的にも異なることを見いだし、その原因が血液凝固反応中に放出される血小板由来細胞外小胞の混入にあることを明らかにし、論文報告を行った(Zhang et al, PLOS ONE 2022)。また、神経変性疾患の一つである筋萎縮性側索硬化症に対してRNA結合タンパク質hnRNPA3が治療効果を発揮することをショウジョウバエモデルで明らかにした(Taminato et al, Hum Mol Genet 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソソームが細胞内タンパク質のクリアランスに関与することを示唆するデータを得ており、現在詳細に解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
エクソソーム分泌が細胞内タンパク質のクリアランスに関与する可能性を得た。今後、疾患動物モデルでさらに解析を進める。また、エクソソームを介した不要タンパク質の分泌機序、エクソソームサブタイプの同定、不要分子のソーティング機構などについて解析を進める。また、神経変性疾患におけるエクソソーム分泌変容が示唆されたため、患者や疾患モデル動物由来検体の解析を進めていく予定である。本研究は、細胞内タンパク質の品質管理におけるエクソソーム分泌の生理的役割と病的意義を明らかにするものであり、新たな視点からの神経変性疾患の病態解明や診断法開発につながることが期待される。
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