研究課題/領域番号 |
23K24107
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補助金の研究課題番号 |
22H02845 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
烏山 一 東京医科歯科大学, 高等研究院, 特別栄誉教授 (60195013)
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研究分担者 |
宇賀神 つかさ 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 講師 (40581327)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 好塩基球 / アトピー性皮膚炎 / モデルマウス / 患者検体 / 1細胞トランスクリプトーム解析 / 炎症カスケード / マウスモデル / 1細胞トランスクリプトーム / 1細胞トランスクリプトーム解析 / アレルギー炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
さまざまな炎症疾患モデルにおいて好塩基球が病態形成に寄与していることが報告されているが、そのメカニズムの詳細は良くわかっておらず 、またマウスモデルでの知見がヒトの病態をどの程度反映しているのかも不明である。そこで本研究では多様な病態が想定されているアトピー性皮膚炎に注目して、代表的なマウスモデルならびに患者の皮膚病変部の包括的解析(1細胞トランスクリプトーム解析等)を進めて、好塩基球が炎症の場で実際に発現している分子群を洗い出すとともに好塩基球と相互作用する細胞を特定し、好塩基球を起点とした炎症誘導カ スケードを明らかにして、ヒトアトピー性皮膚炎の病態解明ならびに新規治療法の開発につなげる。
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研究実績の概要 |
アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis, AD)のマウスモデル(オキサゾロン反復塗布モデル)を用いて、アレルギー炎症の誘導カスケードの解明を進めた。好塩基球欠損マウスならびに好塩基球特異的IL-4欠損マウスでは皮膚アレルギー炎症が有意に軽減したことから、皮膚に浸潤した好塩基球の分泌するサイトカインIL-4が皮膚アレルギー炎症の誘導に重要な役割を果たしていることが判明した。1細胞トランスクリプトームのインターラクトーム解析から、好塩基球由来サイトカインIL-4が皮膚の線維芽細胞に作用して好中球遊走性ケモカインの分泌を促進することで、好中球性炎症が促進されることが強く示唆された。事実、好塩基球特異的IL-4欠損マウスでは皮膚における好中球遊走性ケモカイン発現が低下し、好中球浸潤も抑制されていた。AD患者の治療に用いられるPDE4抑制剤(軟膏)をこのマウスモデルの皮膚に塗布したところ、皮膚病変部での好塩基球からのIL-4産生が抑制されるとともに好中球浸潤の低下、皮膚炎症の軽快が観察されたことから、この「アレルギー炎症の誘導カスケード」が実際に作動していることが明らかとなった。 本学の皮膚科外来受診患者の皮膚病変部生検サンプルの病理学的解析から約半数のサンプルにおいて明らかな好塩基球浸潤が検出され、そのような患者では血中好塩基球数の上昇が観察された。インフォームドコンセントのもと鑑別診断のために採取された皮膚病変部生検サンプルの残存部を用いて高感度1細胞トランスクリプトーム行った結果、これまで検出が困難とされていた皮膚病変部に存在する好塩基球の網羅的遺伝子の解析に成功した。ADマウスモデルの解析結果と同様に、皮膚浸潤好塩基球におけるサイトカインIL-4遺伝子の発現が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスモデルの解析のみならず、アトピー性皮膚炎患者の皮膚病変部生検サンプルの1細胞トランスクリプトーム解析が可能となり、病変部に浸潤する好塩基球の遺伝子発現プロファイルの解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
アトピー性皮膚炎モデルマウスを使ったアレルギー炎症誘導カスケードの解明を進めるとともに、アトピー性皮膚炎患者の皮膚病変部生検サンプルを解析することでヒト好塩基球を含む炎症性細胞の遺伝子発現プロファイルを取得し、アレルギー炎症誘導に関与する細胞・分子カスケードを明らかにする。
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