研究課題/領域番号 |
23K24117
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補助金の研究課題番号 |
22H02855 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
小内 伸幸 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50323605)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 造血 / 血液前駆細胞 / 細胞分化 / 骨髄球系細胞 / 単球 / 造血幹細胞 / 前駆細胞 / 細胞系譜追跡 / 顆粒球 |
研究開始時の研究の概要 |
顆粒球と単球は貪食能や炎症性サイトカイン産生能を有し、病原性微生物感染時に感染局所に浸潤し、微生物を捕獲して消化する生体防御反応を担っている。また、生体の恒常性や組織修復にも寄与する重要な骨髄球系細胞である。近年の研究成果から、これら骨髄球系細胞の前駆細胞の存在と分化起源が議論されている。我々は新規細胞表面マーカーXを発現する骨髄球系細胞にのみに分化する前駆細胞を同定した。本研究ではこのマーカーXの発現特性を活かした細胞運命追跡システムを用いて、自然造血及び炎症によって誘導される緊急造血における新規前駆細胞の重要性を検討する。
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研究実績の概要 |
CタイプレクチンであるCLEC12Aがマウス多能性前駆細胞の一部の分画に発現していることを見出した。また、このCLEC12A+多能性前駆細胞はミエロイド系細胞のみに分化し、他の系列細胞へは分化しないことを確認した。そこで、この発現特性を活かした新規細胞系譜追跡システムを構築した。CLEC12A遺伝子の3’領域にP2A-creあるいはP2A-creERT遺伝子を導入したCLEC12A-creとCLEC12A-creERT遺伝子改変マウスを作製した。これらcreドライバーマウスをRosa26-lsl-EYFPマウスと掛け合わせた。その後、このCLEC12Acre/Rosa26-lsl-EYFPレポーターマウス骨髄中のCLEC12Aを発現する多能性前駆細胞におけるEYFP発現効率を解析した。この結果、CLEC12A+多能性前駆細胞中の70%がEYFP陽性となった。さらに、末梢血中の各系列細胞におけるEYFP陽性率を解析したところ、単球、顆粒球、樹状細胞、B細胞が95%以上、T細胞では80%がEYFP陽性となった。一方で、血小板と赤血球は全くEYFPによって標識されていなかった。これらの結果から、CLEC12A+多能性前駆細胞には赤血球系細胞への分化能は全く無いことが明らかになった。また、CLEC12A-creERT/Rosa26-lsl-EYFPマウスにタモキシフェンを投与し、3日後の骨髄細胞と末梢血におけるEYFP発現効率を解析した。この結果、骨髄中ではCLEC12A+前駆細胞と末梢血中では単球、好中球、好酸球、好塩基球のみが標識された。これらの結果はCLEC12A+前駆細胞は新規骨髄球系前駆細胞であり、定常状態ではこの前駆細胞が主要な分化起源であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CLEC12Aの発現特性を活かした細胞系譜追跡システム構築に成功した。このシステムを用いて解析を行った結果、CLEC12A+前駆細胞が骨髄球系細胞のみに分化し、且つ定常状態において骨髄球系細胞の主要な分化起源であることを見出すことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
マウス骨髄からセルソーターを用いてCLEC12A+前駆細胞を純化し、10xGenomicsと次世代シークエンサーを用いて、シングルセルRNA-sequencing解析を行う。この結果を基にCLEC12A+Flt3-前駆細胞の細胞集団解析、擬似時系列解析、3D再構築解析を行う。また、多様性と細胞分化系譜遺伝子群を中心に分子ネットワーク解析を行い、様々な角度からCLEC12A+前駆細胞の分化能と表現型の解析を行い、骨髄球系細胞の真の分化経路解明を目指す。
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