研究課題/領域番号 |
23K24135
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補助金の研究課題番号 |
22H02873 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
森田 英嗣 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (70344653)
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研究分担者 |
甲賀 大輔 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (30467071)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | フラビウイルス / 複製オルガネラ / コンボリューティッド膜 / ERAD / 細胞内膜構造 / ウイルス複製オルガネラ |
研究開始時の研究の概要 |
多くのRNAウイルスでは、宿主の小胞体関連分解 (endoplasmic reticulum (ER) associated degradation (ERAD)) システムが各ウイルス蛋白質の量比を制御する「ウイルス蛋白質ホメオスタシス」に関与する。本研究では、ERADによるウイルス非構造蛋白質の選択的認識機構と、ERADが機能する場であるウイルス複製オルガネラ内のコンボリューティッド膜(CM)形成・維持の分子機構について、各種フラビウイルスを用いて解析を進める。これらの解析を通して、宿主ストレス応答を標的とした副作用の少ない抗ウイルス薬開発に繋がる分子基盤確立を目指す。
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研究実績の概要 |
研究項目1. 一部のウイルス非構造蛋白質のみが選択的にERADで分解される分子機構の解明:日本脳炎ウイルスのEタンパク質、prMタンパク質とNS1タンパク質の糖鎖修飾を欠損させた変異体の安定性が著しく減弱する要因として、小胞体関連分解ERADが重要な役割を担っていることを明らかにした。 研究項目2. ウイルス感染細胞内でERAD因子が集積するコンボリューティッド膜(CM)の解析:日本脳炎ウイルス感染細胞内に形成されるCMの脂質組成の解析を進め、コレステロールが多く蓄積していること、また、セラミドなど一部の脂質が排除されていることを明らかにした。また、タイムラプスイメージング解析によりウイルス複製オルガネラ形成過程を捉えることに成功した。 研究項目3. 2種類の異なるCM構造の役割と形成・維持機構の解明: CM膜構造の3D走査型電子顕微鏡(SEM)イメージの取得に成功した。また、タイムラプスイメージングと光電子相関顕微鏡(CLEM)を組み合わせた動態三次元電子顕微鏡解析に成功した。 研究項目4.他のストレス誘導時に見られるCM様構造との比較解析(ウイルス因子のViroporinとしての役割) : Fura 2-AM を用いた カルシウムイオン濃度変化測定 の条件検討を進め、一部ウイルス非構造タンパク質発現がカルシウムチャネル活性を強く抑制することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目1では、ウイルス因子の糖鎖修飾がERADによる認識の標的となっており、これがウイルス増殖に影響を与えることを突き止めた。研究項目2では、なぜ、CMのような複雑な膜構造が形成されるのか、その鍵となる脂質組成を解析する手法を確立した。研究項目3では、タイムラプスCLEM-3D-SEMという画期的な解析を進めている。この方法により、これまで確認できなかった複製オルガネラの微細構造が明らかになることが期待される。研究項目4では、一部のウイルス非構造タンパク質にカルシウムチャネル活性がある可能性を見出しており、その活性評価のため、タンパク質の点変異体を作成している最中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究項目1. 一部のウイルス非構造蛋白質のみが選択的にERADで分解される分子機構の解明:昨年度に引き続き、ウイルスの非構造タンパク質の糖鎖修飾の影響について調べる。主にNS1とNS4Bの糖鎖修飾のウイルスゲノム複製における役割に焦点を当てて解析を進める。 研究項目2. ウイルス感染細胞内でERAD因子が集積するコンボリューティッド膜(CM)の解析:CMに集積する脂質組成の詳細についてさらなる解析を進める。また、脂質生合成経路因子のノックダウン等を介してウイルス増殖における脂質組成の重要性を明らかにする。 研究項目4.他のストレス誘導時に見られるCM様構造との比較解析(ウイルス因子のViroporinとしての役割) :昨年に引き続き、タプシガルギン処理によって出現するCM様構造の電子顕微鏡解析をさらに進める。また、ウイルスタンパク質の各種変異体を作成し、カルシウムチャネル活性とCM様膜構造の形成との関連について明らかにする。
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