研究課題/領域番号 |
23K24143
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補助金の研究課題番号 |
22H02881 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
小林 郷介 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 主席研究員 (80644989)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | エンテロウイルス / ピコルナウイルス / 受容体 / 神経細胞 / enterovirus / receptor / tropism / tyrosine kinase / ウイルス / エンテロウイルス71 / レセプター / 神経感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
EV71は手足口病の病原体だが、まれに中枢神経合併症を起こし死亡する。死亡例をともなう大流行が1990年代以降アジア太平洋地域で散発的に発生し、問題となっている。重症患者の病理学的解析では、病変は中枢神経系に限局している。この組織特異性の仕組みの解明は、本感染症の予防法・治療法を開発するうえで重要である。代表者はこれまでに、EV71神経指向性の鍵となる因子を探索し、中枢神経感染に関与する可能性がある3つのアタッチメ ント受容体候補分子を同定した。本研究ではEV71の細胞感染や病態発現の際に、これら候補分子が果たす役割を分子レベル、培養細胞レベル、個体レベルで明らかにする。
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研究実績の概要 |
エンテロウイルス71 (EV71)による手足口病は中枢神経合併症により重症化することがあり、ウイルス受容体の理解が重症化メカニズムの解明に不可欠である。受容体は、ウイルス粒子の細胞表面への接着を担うアタッチメント受容体と、ゲノムRNAの放出を担う受容体(SCARB2)に大別される。しかし、これらの受容体は神経指向性を決定する因子ではない。本研究では、神経指向性の鍵となる因子を探索し、3つのアタッチメント受容体候補分子を同定し、これらが果たす役割を明らかにすることを目的としている。 2022年度までに、候補遺伝子の1つを過剰発現およびノックアウト細胞の解析を行い、EV71の増殖性に寄与することを明らかにした。2023年度は、この遺伝子がEV71の細胞への接着や取込に寄与しているか解析した。組換えタンパク質との結合実験、過剰発現細胞への吸着実験などから、この候補遺伝子産物はアタッチメント受容体ではないと結論づけた。 興味深いことに、候補遺伝子と同じ遺伝子ファミリーに属する別の複数の遺伝子を強制発現してもEV71の感染増強が認められた。また、これらは受容体型チロシンキナーゼであるため、キナーゼ活性を喪失する変異を加えたところ、感染増強が起こらなくなった。 以上の結果から、候補遺伝子産物のキナーゼ活性とその下流のカスケードがEV71感染に重要であることが示唆された。今後は、この下流のカスケードを探索して、感染に関わるメカニズムを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初期待していたアタッチメント受容体ではなかったが、EV71の感染に重要な遺伝子であり、その機能解明に近付いている。
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今後の研究の推進方策 |
受容体型チロシンキナーゼ下流のシグナル経路として、自然免疫系を中心に解析を進める。 またRNA-seqも行い、ゲノムワイドな発現変動も解析していく。
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