研究課題/領域番号 |
23K24193
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補助金の研究課題番号 |
22H02932 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
冨田 章弘 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター ゲノム研究部, 部長 (40251483)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | がん細胞 / 代謝 / 合成致死 / 分子標的治療 |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞特有の代謝脆弱性が見出され、代謝を制御し合成致死性(複数の遺伝子の欠損が共存すると致死性を発揮する現象)をもたらす治療法の開発への期待が高まっている。本研究では、中心炭素代謝やアミノ酸代謝の阻害によってもたらされる合成致死性に焦点を当て、合成致死性を制御する分子機構についてストレス応答制御やエピジェネティクス制御等の観点から探究し、合成致死性を利用した革新的な治療法の考案を目指す。
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研究実績の概要 |
がん細胞の代謝特性には多様性や可塑性がみられ、代謝を制御し合成致死性をもたらす治療法の開発には、合成致死性の誘導と回避を制御する代謝リプログラミング機構の理解が重要である。本研究では、がん代謝に注目した合成致死性の制御原理について探究するとともに、代謝を制御し合成致死性をもたらす新たな治療法の考案を目指す。そのため、大きく3つの研究項目に分け推進している。今年度は、2022年度の成果に基づき、引き続き、項目1)「合成致死誘導に基づく代謝特性の類型化」ならびに項目2)「合成致死誘導への抵抗性獲得とその解除法」を中心に行った。項目1)では、ヒトがん細胞パネルを用い、アスパラギン枯渇下でストレス応答経路を阻害した際に起こる合成致死について、合成致死に対して感受性の細胞株と抵抗性の細胞株に分類した情報に基づき、アスパラギン供給経路に注目して抵抗性機序の類型化の検討を行った。また、代謝阻害による相同組換え修復不全の誘導を介した合成致死性について、同様に細胞株の類型化に向けての解析を継続して行った。項目2)では、アスパラギン枯渇下でストレス応答経路を阻害した際に起こる合成致死に対する抵抗性ついて、合成致死誘導条件下での長期間暴露により抵抗性を獲得した細胞を用い、マルチオミクス解析や生化学的な解析等により抵抗性機序の解析を進めた。また、代謝制御に重要な役割を果たすミトコンドリアに注目し、引き続き、ミトコンドリア機能不全への腫瘍組織レベルでの抵抗性獲得機序の解明に向けて解析を進めた。これらの研究に加え、項目3)「代謝リプログラミングを制御する治療戦略の有用性評価」では、引き続き、各種データベースや情報解析技術を駆使した解析に向けた検索基盤の整備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、合成致死性の誘導と回避を制御する代謝リプログラミング機構の理解に基づき、分子標的やバイオマーカーを探索同定することを通じて、代謝を制御する新たな治療法の開発への展開を目指している。当該年度までに、項目1)では、アスパラギン枯渇下でストレス応答経路を阻害した際に起こる合成致死や代謝阻害による相同組換え修復不全の誘導を介した合成致死性についての細胞株の分類がほぼ完了した。また項目2)では、合成致死誘導条件下での長期間暴露による抵抗性細胞の樹立に成功し、アスパラギン供給経路に注目した抵抗性機序の解析など、項目1)と連携した形で研究が進んでいる。加えて、項目3)の生物情報解析を基軸とした解析についても、インハウスデータと活用すべき外部データ等の情報整備が進み、上記の項目1)2)の類型化情報などに基づいた探索的解析への活用に向けて期待できる状況になってきている。以上のように、概ね計画通りに展開でき、順調に研究が進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は3年間の計画で第2年次終了時点であり、研究はおおむね順調に進み、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題はないものと考えている。第3年次においては、当初の予定通り、2022年ならびに2023年度の成果に基づき、研究を継続する。具体的には、項目1)では、合成致死誘導に基づく代謝特性の類型化の研究を継続し発展させる。項目2)では、合成致死誘導への抵抗性獲得とその解除法についての研究を継続し発展させる。特にこれら項目1)ならび2)については、基盤データの取得の継続にとどまらず、バイオマーカーや新規標的分子の同定に向けた展開を図る点に留意しながら進める。また、項目3)では、これまでに整備してきた、既存データセットと外部データを連結解析する検索基盤を活用し、上記の項目1)2)の類型化情報などに基づいて、合成致死の誘導と回避に関与する分子の探索的解析への展開を図る。
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