研究課題/領域番号 |
23K24226
|
補助金の研究課題番号 |
22H02965 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
村上 正巳 群馬大学, その他部局等, 特別教授 (30241871)
|
研究分担者 |
中嶋 克行 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 客員教授 (10444051)
常川 勝彦 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (30436307)
葭田 明弘 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40794194)
大日方 英 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50332557)
木村 孝穂 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90396656)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
|
キーワード | 脂質異常症 / 毛細血管内皮細胞 / GPIHBP1 / リポ蛋白リパーゼ / トリグリセライド |
研究開始時の研究の概要 |
トリグリセライド(TG)を多く含むTG-richリポ蛋白を代謝するリポ蛋白リパーゼ(LPL)は、脂肪細胞や筋細胞で産生され、毛細血管内皮細胞膜上に存在するアンカー蛋白GPIHBP1に結合して毛細血管内腔に輸送される。我々は、GPIHBP1に対する自己抗体により、LPLの毛細血管内腔への輸送が障害され、著明な高TG血症とそれによる急性膵炎を来すGPIHBP1自己抗体症候群を発見した。本研究において、GPIHBP1自己抗体症候群の診断法ならびに治療法を確立するとともに、LPLを輸送するGPIHBP1の脂質異常症における病態生理学的役割を臨床検体、培養細胞ならびに動物モデルを用いて解明する。
|
研究実績の概要 |
我々は、これまでの国内外の医療機関ならびに研究施設との共同研究により、GPIHBP1自己抗体による高TG血症の症例を40例以上解析した。それらの症例の特徴として、高TG血症による急性膵炎を繰り返す、若年の女性例が多い、他の自己免疫疾患を合併する例が多い、分子標的治療薬リツキシマブ等の免疫抑制剤の投与により改善する例があること等が挙げられる。 これまで血管内腔に輸送されたLPLはGPIHBP1に結合した状態でTG-richリポ蛋白を代謝すると考えられていたが、我々のモノクローナル抗体を用いた検討により、血管内腔に輸送されたLPLはGPIHBP1から解離してglycocalyxに捕捉された状態でTG-richリポ蛋白を代謝することが明らかとなった。 マウスLPL蛋白濃度の測定法が存在しなかったために、マウスにおけるGPIHBP1ならびにLPLによるTG代謝の研究に進展がみられなかったが、我々はモノクローナル抗体を用いたマウスLPL蛋白濃度の高感度免疫測定法の確立に成功した。野生型マウスとGPIHBP1欠損マウスにおいて、我々が開発した高感度免疫測定法によるLPL蛋白濃度を測定したところ、GPIHBP1欠損マウスにおいて野生型マウスに比較してヘパリン投与前と投与後においてLPL蛋白濃度の著明な低下を認めた。一方、従来法によるLPL活性を測定したところ、ヘパリン投与後でGPIHBP1欠損マウスにおいて野生型マウスに比較して低値を示したが、ヘパリン投与前では両者に差を認めないことが明らかとなった。これらの結果から、我々の開発したマウスLPL高感度免疫測定法がLPLの詳細な病態生理を解明する上で有用であることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで血管内腔に輸送されたLPLはGPIHBP1に結合した状態でTG-richリポ蛋白を代謝すると考えられていたが、我々のモノクローナル抗体を用いた検討により、血管内腔に輸送されたLPLはGPIHBP1から解離してglycocalyxに捕捉された状態でTG-richリポ蛋白を代謝することが明らかとなり、論文発表を行った。我々はモノクローナル抗体を用いたマウスLPL蛋白濃度の高感度免疫測定法の確立に成功した。野生型マウスとGPIHBP1欠損マウスにおいて、我々が開発した高感度免疫測定法によるLPL蛋白濃度を測定したところ、GPIHBP1欠損マウスにおいて野生型マウスに比較してヘパリン投与前と投与後においてLPL蛋白濃度の著明な低下を認めた。一方、従来法によるLPL活性を測定したところ、ヘパリン投与後でGPIHBP1欠損マウスにおいて野生型マウスに比較して低値を示したが、ヘパリン投与前では両者に差を認めないことが明らかとなった。これらの結果から、我々の開発したマウスLPL高感度免疫測定法がLPLの詳細な病態生理を解明する上で有用であることが示され、論文発表を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
TG-richリポ蛋白を代謝するLPLは脂肪細胞や筋細胞などで産生され、毛細血管内皮細胞膜上に存在するアンカー蛋白GPIHBP1によって毛細血管内腔に輸送される。 我々は、GPIHBP1に対する自己抗体によって高トリグリセライド血症をきたす新たな自己免疫性脂質異常症の症例を発見し、血中GPIHBP1濃度、血中GPIHBP1自己抗体、リポ蛋白リパーゼ(LPL)濃度の解析を行っている。本研究において新たなGPIHBP1自己抗体症候群の症例を発見しており、今後も症例の集積を行ってその病態を明らかにし、診断方法を確立し、治療戦略を創出する。 我々が確立したマウスLPLならびにGPIHBP1濃度の免疫測定法を用いてGPIHBP1によるLPLの輸送ならびにLPLによるTG代謝の詳細なメカニズムを培養細胞ならびに動物モデルを用いて解析する。
|