研究課題/領域番号 |
23K24231
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補助金の研究課題番号 |
22H02970 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
立川 正憲 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (00401810)
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研究分担者 |
船本 健一 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (70451630)
吉田 あつ子 徳島大学, 病院, 講師 (70793181)
福田 達也 和歌山県立医科大学, 薬学部, 講師 (90805160)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 血液脳関門 / 輸送系 / 胎盤 / 細胞外小胞 / 脳血管-神経ユニット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、独自に構築するヒト脳血管-神経ユニット(Neurovascular Unit)モデルを用いて、胎盤合胞体性栄養膜細胞が分泌する細胞外小胞(Placenta-derived Exosomes, pExo)輸送系を軸とした「胎盤-脳連関」の分子機構を解明することを目標とする。さらに、本研究で得られる脳血管-神経ユニット・pExo輸送機構に関する知見に基づき、血液脳関門透過性と脳細胞への送達性を備えた人工pExoの創製を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、ヒト血液脳関門(Blood-Brain Barrier, BBB)における胎盤合胞体性栄養膜細胞が分泌する細胞外小胞輸送の仕組みを解明することを目的とした。これまでにヒトBBBに発現する一部のウイルス受容体が胎盤由来細胞外小胞の取り込みに関与することを示唆する結果を見出している。同定したウイルス受容体は、受容体やトランスポーターなどの輸送体と複合体を形成し、輸送体の局在性や輸送機能を制御している。そこで本年度は、Biotinylation by Antibody Recognition (BAR)法を用いて、ヒトBBB細胞におけるウイルス受容体と複合体を形成する輸送体群を同定し、胎盤由来細胞外小胞の取り込みに関与する分子実体を探索することを目指した。BAR法を用いて、ヒトBBB細胞におけるウイルス受容体に近接する膜タンパク質をビオチン標識し、ビオチン化タンパク質をプロテオミクス解析した。ウイルス受容体欠損BBB細胞と比較して、コントロールBBB細胞において、ビオチン化タンパク質の存在量が10倍以上有意に高い細胞膜タンパク質を90分子同定した。STRING Network解析の結果、同定した90分子の内39分子は、ウイルス受容体と相互作用することが報告されており、その中には、インテグリンや、カベオリン、モノカルボン酸トランスポーター(MCT1, MCT4)が含まれていた。ウイルス受容体複合体の候補分子90種類の中からエンドサイトーシス活性を持つ膜タンパク質について、中和抗体や阻害剤を用いて、胎盤由来細胞外小胞の取り込みを評価したところ、一部の膜タンパク質について、胎盤由来細胞外小胞の取り込み活性が有意に減少した。以上から、ヒトBBBにおける胎盤由来細胞外小胞輸送の分子実体を同定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Biotinylation by Antibody Recognition (BAR)法を用いることで、ヒトBBBにおける胎盤由来細胞外小胞輸送に関わる分子の候補を同定した。当初計画の通り、ヒトBBBにおける胎盤細胞が分泌する細胞外小胞輸送の仕組みの解明に進展が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
同定した輸送体候補分子の細胞外小胞の取込みにおける寄与を明らかにするために、ゲノム編集の専門家に技術的な支援を仰ぐ。デバイス内に神経細胞を導入する新規基盤技術を確立することで、 胎盤由来細胞外小胞の血液脳関門透過過程だけでなく、脳実質細胞への取込み過程を含めた輸送経路を可視化する。
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