研究課題/領域番号 |
23K24267
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補助金の研究課題番号 |
22H03006 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
宮川 卓 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 副参事研究員 (20512263)
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研究分担者 |
嶋多 美穂子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, ゲノム医科学プロジェクト 上級研究員 (50792727)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | ナルコレプシー / DNAメチル化解析 / 遺伝子発現解析 / HLA / 睡眠 / DNAメチル化 / HLA(ヒト白血球抗原) / トランスクリプトーム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの我々の研究結果からナルコレプシーの発症にはグローバルな低DNAメチル化が関連することを見出してきた。本研究では、このDNAメチル化異常がナルコレプシーの病態にどのように関わるか明らかにするために、これまでよりサンプル数を増やし、さらにCD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞に分離し得られたDNAで、ゲノムワイドなDNAメチル化解析、SNPデータ及び遺伝子発現データを統合したオミックス解析等を実施する。これによりDNAメチル化異常を引き起こす環境要因も含めたナルコレプシー発症のトリガーを同定し、その影響やメカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
ナルコレプシー患者と健常者のメチル化プロファイルを免疫細胞毎に明らかにするため、日本人ナルコレプシー患者約50例と健常者約50例の末梢血単核細胞から、細胞特異的な抗体にナノサイズの磁気粒子を結合させることでCD4+T細胞とCD8+T細胞を分離した。各細胞からDNAを抽出し、バイサルファイト変換後にDNAメチル化アレイを用いてゲノムワイドなメチル化率データを取得した。取得したデータは適切なQCを行い、データの標準化を行った。 ナルコレプシーはHLA(ヒト白血球抗原)のDQB1*06:02と非常に強い関連を示すことから、まず2022年度はHLA領域に着目した解析を実施した。メチル化プローブの3端から10塩基以内に一塩基多型(SNP)が存在するとメチル化率が正確に測定できないことが知られている。HLA領域は他の領域に比べ多型性が非常に高いことが知られているため、日本人集団データを用いて、解析メチル化プローブ中にSNPが存在するか探索すると、HLA領域の12,181プローブ中1,178個にSNPが存在した。そのため残り90.33%のプローブを用いて以後の解析を行った。メチル化率の差を比較すると、Bonferroni補正(α=4.1×10-6)後も有意差を示す部位がCD4+T細胞で9箇所、CD8+T細胞で19箇所確認された。これらDNAメチル化部位の一部は、ナルコレプシーと密接な関連を示すDQB1*06:02と相関することが判明したため、HLAタイプを共変量とした回帰分析を行った。その結果、Bonferroni補正後において有意なレベルではなかったが、P値が10-5レベルのDNAメチル化部位が多数確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナルコレプシー患者と健常者のCD4+T細胞とCD8+T細胞をそれぞれ分離し、そこから得られたDNAを用いてゲノムワイドなメチル化率データを取得することに成功した。まずHLA領域の解析を実施し、ナルコレプシーと関連を示すDNAメチル化部位が存在することがわかった。また、今後のオミックス解析に向けて、DNAメチル化解析と同じ被験者を対象に、トランスクリプトーム解析を実施する必要がある。今年度は血液サンプルよりRNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いて、RNAシークエンシング(RNA-Seq)を実施し、今後の統計解析を実施できるQualityを保持していることも確認した。これらのことから、研究は順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
HLA領域に関しては、DNAメチル化の機能関連を明らかにするために、前述のRNA-seqのデータを用いて、HLAアリル毎の遺伝子発現量を、Arcas HLAなどを用いて測定する。これによりナルコレプシーと関連するHLAアリル特異的な発現変化を同定することが期待される。 HLA領域以外のメチル化率データを対象とした解析も実施し、ナルコレプシーと関連するDNAメチル化部位及び領域の同定を目指す。その際、オミックス解析を実施することは必須と考える。そのため網羅的な遺伝子発現量を解析するために、トランスクリプトーム解析を進める。さらにゲノムワイドなSNPデータを得るためのタイピングも2023年度に実施する。
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