研究課題/領域番号 |
23K24275
|
補助金の研究課題番号 |
22H03014 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
絹谷 清剛 金沢大学, 医学系, 教授 (20281024)
|
研究分担者 |
小川 数馬 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (30347471)
川井 恵一 金沢大学, 保健学系, 教授 (30204663)
小林 正和 金沢大学, 保健学系, 教授 (30444235)
鷲山 幸信 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80313675)
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
清野 泰 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50305603)
米田 隆 金沢大学, 融合科学系, 教授 (60313649)
米谷 充弘 金沢大学, 附属病院, 准教授 (80613752)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
|
キーワード | 原発性アルドステロン症 / 核医学治療 / アルファ線 / ベータ線 |
研究開始時の研究の概要 |
原発性アルドステロン症は、国内に200-400万人の患者が推定されており、手術などの根本的治療のない患者が過半数を占め、生涯にわたる薬物療法が必要である。本研究は、これらの患者を対象とした放射性医薬品による核医学治療を開発することを目的とする。正常副腎皮質集積を抑制しつつ、短飛程で病巣へのエネルギー付与の大きいオージェー電子やα線核種を応用することによって、低投与量で安全でかつ高い奏功率が期待できる。この根本治療の確立により、患者個人のみならず社会全体の医療費削減につながるであろう。罹患者数が多いことより、企業導出から社会実装を将来に見据える。
|
研究実績の概要 |
HAC15(副腎皮質癌), NCI-H295R(副腎皮質癌), SW-13(副腎皮質癌), Y-1(ホルモン産生副腎腫瘍)の各細胞株を入手し、その継代培養を試みた。NCI-H295R,SW-13は継代培養ができたが、HAC-15は発育不良、Y-1は発育が確認できなかった。しかし、Y-1は血清不動化と培地の十分な混和により発育が確認された。HAC-15は初期培養では十分に発育しないものの、生存細胞を1週程度培養することにより緩徐に発育し、この細胞の継代が可能となった。現在、共同研究者の海外連携先からCYP11B1、CYP11B2をトランスフェクションした新規細胞株を入手する手筈を整えているが、得られた諸条件を応用することができると考える。 上記細胞株を用いて、アルドステロン・コルチゾール産生の測定を行ったが、現在、より精度が良好な測定プロトコールを構築中である。また、これらの細胞によるin vitro、in vivoの画像診断を企図し、68Ga等によるPET製剤の合成企画を進行中である。また、本課題の出口として、アルファ線核種による当該疾患の根治的治療の提案を想定している。これに関係し、68Gaおよびアルファ線核種である211Atによる放射性化合物合成の理解のために、RGD誘導体、vesamicol誘導体など種々の化合物の放射性プローブ合成を行い、本研究に関わる主要物質の標識における情報を得た。今後、放射性Brによる放射化合物合成を試みる計画であるが、そのための諸条件設定のためにも有益な情報であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題で使用する副腎皮質由来細胞の継代準備が進捗した。また、ターゲット分子であるCYP11B1、CYP11B2トランスフェクション細胞株の入手目処が立ち、既存細胞による基礎的情報収集から、より具体的かつ詳細な情報を得るための基盤形成が成り立ってきた。 今後用いる核種放射性標識体合成のための種々の諸条件が把握できてき、本課題で目的とする小分子量物質の標識条件などの理解が深まった。重要な点は、本課題のゴールであるアルファ線核種標識体による本関連疾患の非侵襲的治療の確立に繋がる、211At標識のための基礎的条件などが把握できたことにあり、今後目的とする放射性化合物合成に繋げることができると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
V79-CYP11B1トランスフェクション細胞、V79-CYP11B2トランスフェクション細胞について、細胞性状把握、ホルモン産生能を確認する。これを基礎情報として、化合物単体投与下、I-125等で標識した化合物投与下、デキサメサゾン投与下について細胞性状やホルモン産生能の変化を調査する。治療応用を想定して、76/77Br、211Atで標識した化合物の合成を行い、各細胞における特異的取り込みを、ブロッキング有無の状態で確認する。 各細胞の皮下担癌動物モデルを作成し、移植腫瘍集積、正常臓器分布を経時的に観察する。標識体投与動物で、小動物用核医学画像撮像装置(全身用装置および断層装置VECTor)を用いて経時的に撮像し、臨床における画像化の可能性を検証する。未標識体前投与によるブロッキングを行い、腫瘍集積の特異性を確認する。 デキサメタゾン投与により、正常副腎集積を抑制可能であることを検証する。また、正常副腎内に病巣発生した状態を模擬するため、副腎周囲脂肪織内に小腫瘤片を移植したモデル形成を試みて、確立できれば実験に供する。 前項で得られた臓器線量情報を基に多段階の投与量設定を行い、治療実験を行う。実験に際しては、臨床における微小病巣サイズを想定し、移植後の肉眼的に腫瘤形成が確認できない段階から、直径1 cm程度の腫瘤に至るまでの複数タイミングでの加療を行い、それ以降の腫瘤サイズ変化を観察する。血中コルチゾール・アルドステロン濃度変化からも、治療効果判定を行う。毒性評価は、体重変化、末梢血球数変化、臓器の組織学的変化の観察で行う。治療後の副腎の組織学的変化を観察し、正常副腎へのオージェー電子、α線の影響を検証する。副腎周囲移植モデルでは、近接病巣からの影響有無を確認する
|