研究課題/領域番号 |
23K24276
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補助金の研究課題番号 |
22H03015 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
淵上 剛志 金沢大学, 薬学系, 准教授 (30432206)
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研究分担者 |
小川 数馬 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (30347471)
宮成 悠介 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 准教授 (60469608)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | セラノスティクス / ナノボディ / 膵臓がん / PROTACS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では初期膵臓がんの診断や治療への応用を目指し、(1) シングルドメイン抗体(ナノボディ)による膵臓がん組織への選択的かつ効率的な輸送、(2)プロテアソーム系にてタンパク質の分解を起こすPROTACsを利用した放射線抵抗因子の破壊、(3)プレターゲティングを利用した放射標識分子(治療用 + 診断用)の適切な時間で狙った細胞への送達、のこれら3つのプロセスを組み合わせた膵臓がん組織選択的かつ革新的な治療 (Therapeutics) と診断 (Diagnosis) を可能とするセラノスティクス (Theranostics) 薬剤の開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
我が国で最も予後の悪い(5年生存率が8%程度)膵臓がんの治療成績向上には、高精度な質的診断を伴う治療効果の極めて高い医療技術の確立が不可欠である。 本研究では、膵臓がんに特化した新しい治療法の開発を目的とした。そのような目的を達成するため、中分子やナノボディとProteolysis Targeting Chimeras (PROTACs)を組み合わせた融合分子を考案した。 前年度までに、初期の膵臓がん組織指向性ナノボディの開発に成功し、いくつかのタンパク質を標的としたナノボディを作成した。さらに、細胞内でがん細胞をユビキチン/プロテアソーム系を介して選択的に分解するためのがん標的因子としてsurvivin標的ペプチド分子を開発し、放射性核種を付加しないペプチド分子担体でもアポトーシス誘発効果があり、in vivoでの担癌マウスへの癌縮小効果も確認された。また、211Atの治療用放射性核種で標識したペプチドやIgGの開発も行い、いくつかの分子が強い抗がん活性を示し、セラノスティクス薬剤に導入可能であることを示した。 今年度は、前年度に引き続き、survivinを標的としたペプチドやナノボディの開発を中心に行い、膜透過性を付与した種々の誘導体と125Iや211Atなどで標識したそれらの放射標識体を開発したところ、いずれの分子においても、細胞を用いた基礎検討にて、良好な細胞内移行性と優れた標的への結合能が確認された。その他がん細胞表面の負電荷リン脂質やRGDなどを標的とした種々のペプチド性セラノスティクス薬剤の開発を行い、今後の膵臓がんセラノスティクスに向けたPROTACsを融合させた新規機能性分子への幅広い応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PROTACsによる細胞内がん関連タンパク質の分解のための標的結合ペプチド分子やナノボディの開発を達成した。 膵臓がん選択性を高めるための種々の細胞表面タンパク質を標的とした優れたセラノスティクス薬剤の開発を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
Step 1 新規ナノボディの開発 前年度に引き続き、膵臓がんの初期段階で発現するタンパク質を標的としたナノボディの改良を試みる。具体的には、免疫するラクダの匹数やファージディスプレイでのスクリーニングの回数を増やすことで、特異性や親和性が飛躍的に向上したナノボディを探索する。 Step 2 ナノボディPROTACs融合分子の開発 特異的に膵臓がん組織に取り込まれ、放射線や化学療法への抵抗因子であるタンパク質の分解を誘導する機能性分子を開発する。すなわち、survivin標的分子をPROTACsとして導入し、がん組織に高発現しているCereblom binderをE3リガーゼ結合分子として使用する。さらに、cR10や他の膜透過性の高いペプチドを検討します。合成したPROTACsは、survivinへのユビキチン化を介した分解が起こるかを確認する。続いて、ナノボディと膜透過ペプチド部位に異なる蛍光分子を導入し、セラノスティクス薬剤としての最適化を行う。
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