研究課題/領域番号 |
23K24277
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補助金の研究課題番号 |
22H03016 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川井 恵一 金沢大学, 保健学系, 教授 (30204663)
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研究分担者 |
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (20209399)
国嶋 崇隆 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (10214975)
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学系, 研究協力員 (20155237)
絹谷 清剛 金沢大学, 医学系, 教授 (20281024)
小林 正和 金沢大学, 保健学系, 教授 (30444235)
若林 大志 金沢大学, 附属病院, 講師 (60622818)
水谷 明日香 金沢大学, 保健学系, 助教 (00828452)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | がん細胞 / 治療標的 / トランスポーター / 画像診断薬 / レドックス制御 / 細胞内レドックス制御 / アミノ酸トランスポーター / 核医学画像診断薬 |
研究開始時の研究の概要 |
がんは本邦の死因の第一位を占め、ポストFDGがん診断薬の探索が急務となっている。がん細胞は、活性酸素種を多く産生するが、抗酸化システムにより細胞内の活性酸素濃度を制御することでがん細胞自身の生存を可能にしている。本研究は、独自の系統的なアミノ酸トランスポーター機能診断薬開発戦略を利用し、がん細胞の生存・増殖に必須であるレドックス制御に関与することからがん幹細胞治療薬の標的分子であるがん関連アミノ酸トランスポーター xCTに高親和性を示す新規分子標的がん診断薬の開発を目的とする。また、がん細胞内レドックスバランスイメージングにより得られるがん集積性とがん幹細胞治療効果との相関性を評価する。
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研究実績の概要 |
がんは本邦の死因の第一位を占め、ポストFDGがん診断薬の探索が急務となっている。がん細胞は、活性酸素種を多く産生するが、抗酸化システムにより細胞内の活性酸素濃度を制御することでがん細胞自身の生存を可能にしている。本研究は、独自の系統的なアミノ酸トランスポーター機能診断薬開発戦略を利用し、がん細胞の生存・増殖に必須であるレドックス制御に関与することからがん幹細胞治療薬の標的分子であるがん関連アミノ酸トランスポーター xCTに高親和性を示す新規分子標的がん診断薬の開発を目的とする。また、がん細胞内レドックスバランスイメージングにより得られるがん集積性とがん幹細胞治療効果との相関性を評価する。 本年度は、既に独自に開発したsystem L,A,ASCなどのがん関連アミノ酸輸送系の寄与率評価法に加えて、がん細胞のレドックスバランスの維持に深く関与するがん幹細胞治療薬の新たな治療標的分子として注目されているがん関連アミノ酸トランスポーターxCTの基質であるシスチンおよびxCT阻害剤スルファサラジン(SSZ)の阻害効果に基づくxCTの属する輸送系system X-c寄与率の評価法について、本研究で新規に確立した。 また、SPECT診断への応用を念頭に新規放射性ヨウ素標識化合物を開発・評価した。標的xCTへの親和性保持に有利な標識部位や標識反応条件、化学的安定性も考慮した上でxCTに高親和性を示す標識体を分子設計し、目的とする放射性ヨウ素標識体を高標識率で得る標識反応条件を見出した。この標識体について、xCT遺伝子発現率の異なる数種のヒトがん培養細胞への集積機序を新たに確立した輸送系寄与率評価法により検討した結果、いずれのがん細胞についてもがん関連アミノ酸輸送系system X-cにより特異的に輸送されており、本研究目的に合致していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、我々がこれまでに構築し検証してきた系統的なアミノ酸トランスポーター機能診断薬開発戦略を利用して、がん細胞のレドックス制御を司ることからがん幹細胞特異的な標的分子とされるがん関連アミノ酸トランスポーター xCTに高親和性を示す新規分子標的がん診断薬の開発を目的とする。加えて、がん細胞の生存・増殖に必須であるレドックスバランスイメージングが、がんの画像診断のみならず、がん幹細胞治療効果を含めた治療方針の決定や予後予測・予後判定に確固たる根拠を与える診断情報となり得る可能性を検証する。 本研究のように新たながん関連アミノ酸トランスポーター xCTを標的とする画像診断薬開発においては、開発した標識体のがん細胞集積における標的輸送系に対する親和性を評価する寄与率評価法の確立が必須となる。我々が既に独自に開発したsystem L,A,ASCなどのがん関連アミノ酸輸送系の寄与率評価法に加えて、xCTの基質であるシスチンおよびxCT阻害剤スルファサラジン(SSZ)の阻害効果を組み合わせることで、xCTの属する輸送系system X-c の寄与率評価法を新たに確立した。 加えて、SPECT製剤の候補化合物として標的xCTへの親和性保持に有利な標識部位や標識反応条件、化学的安定性も考慮した放射性ヨウ素標識化合物を分子設計し、上記検討と並行して新規放射性ヨウ素標識体を高標識率で得る標識反応条件を見出した。さらに、この標識体について、xCT遺伝子発現率の異なる数種のヒトがん培養細胞を用いて、xCT遺伝子発現と標識体集積率の相関性や集積機序の検討を開始した。特に新たに確立した輸送系寄与率評価法によりがん細胞集積機序を検討した結果、がん関連アミノ酸輸送系system X-cによる特異的輸送が確認されるなど本研究目的に合致しており、当初の研究計画に相当する成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、当初の研究計画以上に順調に進展しており、がん幹細胞治療薬の治療標的分子であるがん関連アミノ酸トランスポーター xCTの属する輸送系system X-c の寄与率評価系を新たに確立するなど、がん細胞のレドックスバランスの維持に深く関与する特異的分子を標的とする新規分子標的放射性診断薬の開発の基盤は整った。また、標的xCTへの親和性保持に有利な標識部位や標識反応条件も考慮した新規放射性ヨウ素標識化合物を分子設計するとともに目的標識化合物を合成し、これまでのがん細部集積検討においてがん関連アミノ酸輸送系system X-cによる特異的輸送など良好な結果が得られていることから、当初の研究計画に従って担がん動物による検討を推進するなど、腫瘍画像診断薬として有用性を評価していく。
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