研究課題/領域番号 |
23K24280
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補助金の研究課題番号 |
22H03019 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山本 誠一 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 上級研究員(研究院教授) (00290768)
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研究分担者 |
平野 祥之 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (00423129)
余語 克紀 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (30424823)
中西 恒平 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (40970174)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2026年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 水の発光現象 / 医療応用 / スペクトル / DNA損傷 / リボフラビン / 放射線 / 発光 / 水 / フィルター / CCDカメラ |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、チェレンコフ光閾値以下のエネルギーの放射線照射により水が発光する現象を発見した。この紫外線は発光には紫外線が多く含まれ、細胞中のDNA損傷を引き起こしていると予想している。この点を明らかにするために、260nm付近の紫外線領域まで測定可能な分光画像測定装置を開発することで、放射線照射による水の発光がDNA損傷を引き起こしていることを明らかにする。また、この発光に含まれる紫外線でラジカルを発生させる放射線増感剤、および紫外線の影響を減らす放射線防護材の開発を行い、放射線照射による水の発光現象が生体に影響を与えていることを間接的に証明し、また発見した水の発光現象の医療応用を進める。
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研究実績の概要 |
チェレンコフ光閾値以下のエネルギーの放射線照射による水の発光がDNA損傷の原因であることを明らかにするために、紫外線が水発光に多量に含まれることを実測により明らかにした。当該年度においては、300nm付近の発光までの計測可能な装置の開発を行い、水の発光スペクトルの実測に成功した。 紫外線発光画像測定装置開発は、これまで水の発光スペクトル測定で申請者が成功している手法を短波長まで計測可能な装置に発展させ、かつ高波長分解能測定を可能にすることで実現した。スペクトル計測はバンドパスフィルターを暗箱の外から蓋を開けることなく交換可能とし、効率的な高波長分解能分光画像測定を実現した。 開発した紫外線発光画像測定装置は250nmまで計測可能な紫外線用CCDカメラを暗箱に入れ、暗箱外部から手動で紫外用ロングパスフィルターをカメラレンズの前に配置、交換可能にし、陽子線照射水の発光短時間撮像を実現した。装置は軽量で放射線治療装置の寝台に容易に配置可能とした。またロングパスフィルターは25nm幅のものを用いて、高波長分解能の放射線照射水の発光スペクトル計測も可能にした。 開発した装置を用いて117MeV陽子線照射中の水発光画像を、ロングパスフィルターを交換しながら計測し、計測後に差分画像を作成し、水の発光スペクトルを算出した。差分波長幅の補正とCCDカメラの感度補正を行うことで、25nm幅という高波長分解能の水発光スペクトルを得ることができた。得られた水発光スペクトル強度は、おおよそ波長の2乗に反比例して低下することから、放射線照射水発光の機序は、水分子と陽子線生成2次電子との双極子相互作用により発生する電磁波(光)であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)チェレンコフ光閾値以下のエネルギーの放射線照射による水の発光がDNA損傷の原因であることを明らかにするために、紫外線が水発光に多量に含まれることを実測により明らかにした。当該年度においては、300nm付近の発光までの計測可能な装置の開発を行い、水の発光スペクトルの実測に成功した。 (2)開発した紫外線発光画像測定装置は250nmまで計測可能な紫外線用CCDカメラを暗箱に入れ、暗箱外部から紫外用ロングパスフィルターをカメラレンズの前に配置、交換可能にし、陽子線照射水の発光短時間撮像を実現した。 (3)ロングパスフィルターのカットオフ波長が製造業者のデータから少し外れていることが判明したので、キセノン光源と分光器を用いてロングパスフィルターカットオフ波長を実測し、差分波長幅の補正を行った。さらにCCDカメラの感度補正を行うことで、25nm幅という高波長分解能の水発光スペクトルを得ることができた。 (4)得られた水発光スペクトル強度は、おおよそ波長の2乗に反比例して低下することから、放射線照射水発光の機序は、水分子と陽子線生成2次電子との双極子相互作用により発生する電磁波(光)であることが確認できた。 (5)実験結果から、紫外領域の325nmの強度が、可視光である450nmの2倍程度あることが明らかになった。この曲線を外挿すると225nmでの紫外線発光量は450nmの発光の4倍にも達することが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)放射線照射水発光がDNA損傷を引き起こしていることを細胞実験により明らかにする。
(2)放射線照射水発光に含まれる紫外線でラジカルを発生させる放射線増感剤の開発を行い、放射線照射による水の発光現象が生体に大きな影響を与えていることを間接的に証明する。
(3)放射線照射水発光に含まれる紫外線の影響を減らす放射線防護材の開発を行い、水の発光現象の医療応用を進める
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