研究課題/領域番号 |
23K24291
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補助金の研究課題番号 |
22H03030 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
向 高弘 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30284706)
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研究分担者 |
佐野 紘平 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (00546476)
山崎 俊栄 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (60636710)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | セラノスティクス / イメージング / がん治療 / 自己組織化ナノ粒子 / 核医学診断 / 放射性薬剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生体適合性が高く、静電的相互作用に基づき簡便に合成可能な自己組織化ナノ粒子製剤の分子設計を応用し、がんの核医学診断と同時にがん特異的な治療を達成可能な、新たな自己組織化セラノスティックナノデバイスを開発する。特に副作用を低減し、がん特異的な治療効果を得るために、全身スクリーニングを可能とする核医学診断によりがんの局在情報を得るとともに、がん部位への外部刺激を利用する新たな治療法の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、生体適合性が高く、静電的相互作用に基づき簡便に合成可能な自己組織化ナノ粒子製剤の分子設計を応用し、がんの核医学診断と同時にがん特異的な治療を達成可能な、新たな自己組織化セラノスティックナノデバイスを開発することを目的とする。特に副作用を低減し、がん特異的な治療効果を得るために、全身スクリーニングを可能とする核医学診断によりがんの局在情報を得るとともに、がん部位への外部刺激を利用する新たな治療法の構築を目指す。すなわち、①がん部位への近赤外光照射による光温熱療法および②クリックケミストリーを介したがん部位での薬物放出促進を可能とする自己組織化ナノデバイス開発を実施する。本治療戦略は、核医学診断とactivatable型がん治療を融合し、関連付けて実施するという新たながんセラノスティクスの基盤を形成するものと期待した。 今年度は、昨年度作製に成功したナノデバイスコア(放射性標識金ナノロッド)について、静電的相互作用に基づき、がん標的化アニオン性ポリマーと自己組織化させたナノ粒子を調製し、担がんマウスを用いた検討において、標的分子特異的にがん組織へ集積することを明らかにした。また今年度、ナノデバイスコアとして新たに放射性標識カチオン性リポソームの作製に成功し、アニオン性ポリマーとの自己組織化ナノ粒子を調製、がん細胞への取り込みを確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①昨年度作製に成功した放射性ヨウ素標識金ナノロッドをコアとして、がんに高発現するCD44への結合親和性を有するヒアルロン酸誘導体で被覆した自己組織化ナノ粒子を作製し、担がんマウスを用いた検討を進めた。健常組織としてはCD44の発現が報告されている肝臓への集積を認めた。また、CD44低発現がんと比較して高発現がんへ有意に高く集積することを示した。 蛍光色素標識酸化鉄ナノ粒子については、昨年度近赤外光照射による発熱効果を確認しているが、今年度は本ナノ粒子が生体内のマクロファージに高く取り込まれ、マクロファージ特異的な蛍光シグナルを生じること、さらに、近赤外光照射により炎症を抑制できる可能性を示した。 さらに、新規ナノデバイスコアとして、脂質ナノディスクを新たに作製し、この放射性標識に成功した。 ②放射性標識カチオン性リポソームの作製法を構築した。In-111標識オキシンを用いてカチオン性リポソームを直接放射性標識することが困難であったことから、まず中性の電荷を示すリポソームをIn-111標識し、それにカチオン性脂質で構成されるミセルを混和することで、放射性標識カチオン性リポソームを作製することができた。さらに、ヒアルロン酸との混和により、アニオン性自己組織ナノ粒子を作製することに成功し、これがCD44高発現がんへ取り込まれることを示した。 また、クリックケミストリーとは別に、がんの加温処置をトリガーとして、物性を変化しうるポリマー導入リポソームの作製にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発したナノデバイスコア(蛍光色素標識酸化鉄ナノ粒子、放射性標識カチオン性リポソーム等)について、種々の条件でアニオン性高分子(ヒアルロン酸誘導体など)との自己組織化ナノデバイスを作製する。作製したナノデバイスの物理化学的特性や安定性について評価するとともに、近赤外光照射によるナノデバイスの発熱効果や、リポソーム膜におけるクリックケミストリーを介したリポソームからの薬物放出性について調べる。 また、放射性標識ナノデバイスを用いて、がん細胞を用いた取込み実験を実施する。さらに、がん細胞への高い取込みを認めたナノデバイスに関して、細胞傷害性を評価する。In vitro評価で有効性が示唆された放射性標識ナノデバイスについては、担がんマウスに静脈内投与し、各臓器への分布を経時的に測定する。がん組織への高い集積を認めた場合、ナノデバイスと近赤外光照射あるいは生体内クリックケミストリーを組み合わせたがん治療実験を行う予定である。
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