研究課題/領域番号 |
23K24293
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補助金の研究課題番号 |
22H03032 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
平山 亮一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 重粒子線治療研究部, 研究統括 (90435701)
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研究分担者 |
平野 祥之 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (00423129)
野口 実穂 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主幹研究員 (40455283)
小西 輝昭 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, グループリーダー (70443067)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 低酸素 / 重粒子線 / 細胞生存応答 / 放射線 / 無酸素環境下での細胞培養 / DNA損傷修復 / 微小核形成 / 細胞生存率 / DNA断片 / 酸素効果 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線照射後の酸素環境の違いによる細胞生存にまつわる応答機構を明らかにするため、放射線誘発DNA損傷の修復過程や染色体形成異常における低酸素の影響を調べ、放射線照射後の酸素環境が細胞の生死とどのような関係があるかを明らかにし、もう一つの“照射後の酸素効果”に着目した。さらに、放射線の線質を変えることで、異なる初期損傷を誘発し、その損傷に対する低酸素環境下での細胞応答も明らかにすることで、放射線治療効果を向上させる酸素を使った新たな治療戦略を提案するための新知見を見いだすことを目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、放射線照射後の酸素環境の違いによる細胞生存にまつわる応答機構を明らかにするため、放射線誘発DNA損傷の修復過程や染色体形成異常における低酸素の影響を調べ、放射線照射後の酸素環境が細胞の生死とどのような関係があるかを明らかにし、もう一つの“照射後の酸素効果”に着目する。さらに、放射線の線質を変えることで、異なる初期損傷を誘発し、その損傷に対する低酸素環境下での細胞応答も明らかにすることで、放射線治療効果を向上させる酸素を使った新たな治療戦略を提案するための新知見を見いだすことを目標としている。 放射線抵抗性を引き起こす無酸素環境下(0%酸素濃度)で放射線を照射し、継続して無酸素環境下でのDNA断片の修復動態と微小核形成を指標とした染色体異常頻度を調べた。比較対照群としては、低酸素下での放射線照射後、大気環境下(21%酸素濃度)でのDNA断片の修復動態と染色体異常頻度を調べた。2023年度は、これまで得られたX線とAr線のデータに加えて、C線とFe線のデータを新たに取得した。C線ならびにFe線照射において、照射後の無酸素環境下ではDNA断片の修復効率は低下し、低LETのC線や高LETのFe線においても同様の結果を示した。一方、微小核形成を調べると、C線やFe線照射後の無酸素下での培養で、微小核形成の頻度が大気下培養よりも低下していることがわかった。 つまり、無酸素環境下はDNA断片における修復効率を低下させる効果を見せる一方、染色体異常である微小核形成を抑制させる効果があることがわかった。異なる生物エンドポイントにおいて、無酸素による生物効果もしくは無酸素に対する生物応答の違いが観察されたことから、放射線の生物効果における酸素の関与は放射線照射時のみならず照射後においても重要な役割があることを示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度までに、X線や重粒子線照射に対する定電圧電気泳動法を用いたDSBの定量評価および修復効率については調べ終えることができた。また、微小核形成を指標にした染色体異常のエンドポイントについても、繰り返し実験が不足はしているものの、LET依存性が明らかになりつつある。重粒子線のマシンタイムが年々減少しているため、少ないマシンタイムでの効果的なデータ取得を引き続き目指す予定である。 DNA損傷や染色体異常を指標した実験では、DNA修復の関与を調べるため予備的ではあるが、DNA修復欠損細胞におけるデータ取得を始め、実験系として確立させることが出来た。2024年度はDNA損傷バイオマーカーを使ったDSBの修復動態を明らかにする予定であり、予備的な実験では低酸素下照射や低酸素下培養による実験系でバイオマーカーを用いた蛍光顕微鏡下での観察が出来ることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
微小核形成を指標にした染色体異常のエンドポイントについても、概ねデータの取得に成功したが、統計的な評価を行うまでには至っていないため、3年目も継続して調査を行う予定である。当初予定していた、二動原体染色体異常についても継続してデータ取得に努める予定である。X線実験を中心に、無酸素環境下での培養細胞のDNA修復動態のメカニズム解明を進める目的で、DNA修復欠損細胞を使った実験を一部開始しており、CHO細胞を親株とする非相同末端結合(NHEJ)欠損細胞と相同組換え(HR)欠損細胞を用いて実験を引き続き行う予定である。 低酸素ワークステーションおよび低酸素インキュベータでの整備が終了したので、DNA損傷、染色体異常、細胞生存率のそれぞれのデータの関連性を明らかにしていく予定である。
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