研究課題/領域番号 |
23K24295
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補助金の研究課題番号 |
22H03034 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
加藤 孝一 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 ラジオアイソトープ管理室, 室長 (50382198)
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研究分担者 |
佐々木 要 東邦大学, 理学部, 准教授 (10611783)
皆川 栄子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 モデル動物開発研究部, 特任室長 (20726252)
熊本 卓哉 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (50292678)
原田 龍一 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (60735455)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2026年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | PET / アルツハイマー病 / マルチバレント / 早期診断 |
研究開始時の研究の概要 |
脳内に沈着したアミロイドβを早い段階で画像化し、それを取り除く薬の使用を始めることは、アミロイドカスケード仮説を基づいたアルツハイマー型認知症(AD)を克服する有力な治療法になると考えられている。PETは脳内のアミロイドβを高感度で画像化する手法であり、本研究ではマルチバレントにアミロイドβを捉える構造を持つPETトレーサーを開発し、ADあるいはそのリスクを超早期の段階で画像診断することを目指している。
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研究実績の概要 |
マルチバレントな分子は、複数の同じ機能を持つ特徴的な化学構造を一つの分子内に持ち、標的に対してモノバレントな分子では獲得できないような高い親和性や選択性を示す。複数の抗原-抗体反応によって貪食細胞が異物を特異的に除去する機構は、マルチバレント効果の良い例である。本研究では、マルチバレントな分子の特製を利用して、オリゴマーからプラークとなる初期段階の脳内のアミロイド類をPETで画像化し、より早い段階でADのリスクを検出するPETトレーサーの開発を研究の目的に定めている われわれはこれまでに1H-トリアゾール誘導体がアミロイドβに対して高親和性を示すことを見出していたが、2023度は新たな分子骨格として2Hトリアゾール誘導体のアミロイドβに対する結合親和性を評価した。その結果、IC50が20nM以下の高い親和性を示す化合物が二種類見つかったことから、2Hトリアゾールについてもバイバレント構造の基本骨格に加えることにした。 また、本研究では疎水性骨格に親水性のタグ、あるいは置換基を付加して可溶性のアミロイドβを捕捉する戦略を考えているが、これまでのところ基本骨格を繋ぐポリエーテルの連結タグ、および基本骨格に対するネオペンチル基の付加では高い親和性を示す化合物が得られていない。特にポリエーテルタグついては、エントロピー的に不利な構造であることの影響が考えられていたため、この部分を1,4-ジフェノールとした化合物を合成した。この化合物のアミロイドβへの親和性を評価したところIC50が20nM以下の高い親和性を示した。本化合物は分子全体の疎水性が高いが、リジッドな構造にすることで高親和性が得られる可能性を示されたので、次年度以降の分子戦略に加えることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度はバイバレントなアミノフェニル-1H-トリアゾール誘導体、および新たな分子骨格を持つ化合物を31種類合成し、アミロイドβに対する結合親和性を評価した。また、前年度に合成した8種類の2Hトリアゾール誘導体についても評価を行った。その結果、アミロイドβに対してIC50が20nM以下の高い親和性を示す化合物が三種類得られてた。 このように化合物の合成は進んでおり、目的とするアミロイドβに対して高親和性を示す分子もいくつか得られている。ただし、狙いとしている疎水性と親水性を併せ持つ化合物からは高親和性示すものが得られておらず、従ってPETの撮像に踏み込んでいないことからことからやや遅れていると判断した。 今後も結合親和性実験の結果をもとに、バイバレントな分子でアミロイドβに対する高親和性を示すために必要な分子特性を絞り込み、トレーサー候補化合物の設計・合成を行う。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、マルチバレントな分子の特製を利用して、オリゴマーからプラークとなる初期段階の脳内のアミロイド類をPETで画像化することを目的としている。これまでに行った各誘導体のアミロイドβに対する結合親和性評価の結果から、高親和性を得るためには分子の一部に疎水性部位が必要であり、かつエントロピー的に有利な構造でそれぞれの基本構造を繋ぐ必要があることが判明した。今後は複素環構造等を利用し、親水性官能基を持つ化合物を設計・合成し、新規化合物の評価を行っていく予定である。
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