研究課題/領域番号 |
23K24313
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補助金の研究課題番号 |
22H03052 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
上野 義之 山形大学, 医学部, 教授 (70282126)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | 胆汁うっ滞 / 胆汁 / 細胞外小胞 / 原発性硬化性胆管炎 / 恒常性 / 胆管上皮細胞 / 胆汁酸 / 基底膜側 / 類洞側 |
研究開始時の研究の概要 |
「胆道系の恒常性維持は胆汁中EVに含まれる分子を介した伝達システムが胆道構成細胞同士のクロストークを惹起することで維持されるのではないか?」という中心仮説を立て、それを示すために「①肝細胞由来のEVと胆管上皮細胞由来のEVはその極性にそって異なる生理作用を持つ、②それぞれのEV中の分子は下流の胆道構成細胞、とりわけ胆管上皮細胞に対して異なる細胞生物学的意味を持つ、③胆汁うっ滞性肝疾患では放出されたEVに含まれる因子がさらに周囲の胆管上皮細胞の異常な病態形成に影響する」という仮説を立てた。本研究ではこの3つの仮説を解明するためにin vitroおよびin vivoの実験系を構築してアプローチする。
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研究実績の概要 |
① 肝細胞由来のEVと胆管上皮細胞由来のEVが異なるものであり、その極性にしたがって 異なるEVを分泌することを明らかにした (R4年度よりR5年度前半)。ダブルチャンバーシステムより、類洞側及び基底膜側に分泌されるEVを回収しデジタルPCR装置を用いて含まれる微量分子の同定を行った。用いる予定の不死化ヒト肝細胞及びヒト胆管上皮細胞について極性を持った培養法およびEVの分泌を確認した。さらに我々が開発したEVの分離法を用いてヒト胆汁サンプルを用いて実際のヒト胆汁中EVの構成分子の由来を検討し、正常状態と疾患状態における意義を検討した。ヒトサンプルの解析はデジタルPCR装置を用いた測定の他に、質量分析装置(LC-MS/MS)を用いたプロテオーム解析を行った。また胆管上皮細胞の類縁細胞である膵管上皮細胞からオルガノイドを作成する予備検討を研究室内で開始し、胆道構成細胞から作成する必要があった場合の基礎技術を応用する準備をした。 ② それぞれ下流の胆管上皮細胞に対して異なる細胞生物学的意味を持つか否かを明らかにした(R4年度後半~R5年度末)。上記の方法で分離したEVを、培養ヒト及びマウス胆管上皮細胞の微絨毛を有する管腔側より添加し、細胞の変化を生理学的(胆汁分泌能、重炭酸濃度)、免疫学的(細胞内各種サイトカインmRNAの変化、管腔側培養上清中のビーズアレイアッセイ)、線維化能(MMPやコラーゲン産生能のmRNA測定、ELISA測定)から検討した。さらにEV添加された胆管上皮細胞から二次的に新たに放出されるEVを基底側腔及び管 腔側よりそれぞれ回収し、2次的な細胞間クロストークについても保有している小腸上皮細胞株を用いて同様の検討、さらにプロテオーム(LC-MS/MS)解析を行なった。プロテオーム解析の基礎条件設定を開始し、基底膜側と類洞側でのプロファイルが異なることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞培養実験、および分離したEVの構成成分についても解析が進んでいるため。概ね順調に侵食していると判断した。一部の結果は査読付英文論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
まず上記①で開発した手法で得られたヒト疾患(原発性硬化性胆管炎PSCなど)からの胆汁臨床検体から分離したEV、およびⅱ)胆汁うっ滞性肝疾患マウスモデル(胆管結紮BDLモデル、NODC3C4マウスPBCモデル)から分離したEVを用いて、それぞれをin vitroの極性を保った二次元培養系での添加実験を行い,生理学的な機能(重炭酸分泌能、cAMP度)、 免疫学的パラメーター(サイトカイン産生能、HLA表出、細胞老化)、及び線維化(コラーゲン産生、MMP産生能)を測定する(in vitro解析)。さらに胆管結紮BDLモデルは8週齢マウスにBDLを実施後4週間後のものを用いてそれぞれカニュレーションにより胆汁サンプルを回収し、同時に犠死した肝臓及び胆管をサンプルとして定量的PCRを行ない胆汁中EVに含まれる因子のin vivoの影響について検討を行なう。組織学的検討については、通常の病理学的検討の他に免疫染色、さらに共同実験施設に整備されているレーザーマイクロダイセクション(LCM)装置を用いた分子生物学的検討を行なう。
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