研究課題/領域番号 |
23K24319
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補助金の研究課題番号 |
22H03058 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
児玉 裕三 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80378687)
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研究分担者 |
星 奈美子 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (40645214)
増田 充弘 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (60512530)
上田 佳秀 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (90378662)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 原発性硬化性胆管炎 / IgG4関連疾患 / 自己抗体 / 自己免疫性膵炎 / IgG4関連硬化性胆管炎 / 自己抗原 |
研究開始時の研究の概要 |
継続課題のため、記入しない。
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研究実績の概要 |
潰瘍性大腸炎、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性膵炎、IgG4関連硬化性胆管炎などの自己免疫が関与する消化器系指定難病は種々の頻度で互いに合併することが知られている。これまでに申請者らは自己免疫性膵炎の自己抗原としてラミニン511を、潰瘍性大腸炎の自己抗原としてインテグリンαVβ6を同定してきた。本研究では、自己免疫を機序とする消化器疾患に焦点を絞り、新たな自己抗原を探索するとともに、自己抗原の視点から見た各疾患の病型分類、自己抗体による病態形成機構の解明、さらには新しい診断法と治療法の開発を目指す。
1)消化器系自己免疫性疾患群における自己抗原・自己抗体の同定:潰瘍性大腸炎、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性膵炎、IgG4関連硬化性胆管炎の症例を集積し、その血清保存を継続的に行なっている。特に、潰瘍性大腸炎との鑑別が重要となる各種の炎症性腸疾患症例については小児症例の集積も行なった。また、近年の免疫チェックポイント阻害剤の使用に伴い、自己免疫機序の関与が示唆される免疫関連有害事象が増加しており、これらの症例の蓄積も行なっている。
2)自己抗体による細胞接着の障害を中心とした病態基盤の解明:申請者らはこれまでに同定した患者由来の自己抗体が、ラミニン-インテグリン、あるいはインテグリン-フィブロネクチンの結合を阻害するとの観察より、自己抗体が接着分子の機能を阻害することにより細胞あるいは臓器障害をきたすとの仮説を考えている。上記で得られた患者血清より抽出したIgGを用い、これらが接着分子を介した細胞接着への阻害作用を有するかについて検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らがこれまでに発見した自己免疫性膵炎および潰瘍性大腸炎の自己抗体は、いずれも上皮の細胞接着を担うラミニン/インテグリンファミリータンパク質を標的としている。これらの知見を基に申請者は、自己免疫性膵炎、潰瘍性大腸炎、さらにはこれらとの合併が報告されている疾患(IgG4関連硬化性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎など)、さらには近年の免疫チェックポイント阻害剤の使用に伴って頻度が高まっている免疫関連有害事象において、同様の病態が共有されている可能性があると考えている。申請者らがこれまでに自己抗原として同定してきたラミニンには18種類、インテグリンには24種類のサブタイプが報告されている。ラミニンはインテグリンと、またインテグリンはラミニン以外にもフィブロネクチンなどと結合することが知られている。本研究期間ではこれらの接着分子ファミリーに対する自己抗体の有無について検討を行うために、潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患に加え、関連硬化性胆管炎、自己免疫性膵炎、IgG4関連硬化性胆管炎を含めた症例の集積を進めた。予備的な検討においては、一部の疾患において特徴的な自己抗体の存在が確認されている。また、申請者らはこれまでに同定した患者由来の自己抗体が、ラミニン-インテグリン、あるいはインテグリン-フィブロネクチンの結合を阻害するとの観察より、自己抗体が接着分子の機能を阻害することにより細胞あるいは臓器障害をきたすとの仮説を考えている。これまでに患者血清より抽出したIgGを用いた in vitro の検討を進め予備的データを得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
1)消化器系自己免疫性疾患群における自己抗原・自己抗体の同定:引き続き潰瘍性大腸炎、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性膵炎、IgG4関連硬化性胆管炎、およびチェックポイント阻害剤に伴う免疫関連有害事象などの患者血清の集積を継続し、これまでに同定したラミニン511、インテグリンα6β1、あるいはインテグリンαVβ6などに対する自己抗体の有無について検討する。また、上記で集積した血清を用い、各種の接着分子ファミリー蛋白質に対する自己抗体の有無について、これまでに申請者らが確立したELISA法を用いたスクリーニング法により検討を行う。
2)自己抗体による細胞接着の障害を中心とした病態基盤の解明:患者末梢血のB細胞、あるいは障害組織の浸潤B細胞/形質細胞より、自己抗原候補タンパク質に反応する細胞を選別し、同細胞の抗体遺伝子解析により患者由来モノクローナル自己抗体を作製する。患者血清より抽出したIgG、あるいは上記で得られた患者由来モノクローナル抗体を用い、これらが接着分子を介した細胞接着への阻害作用を有するかについて in vitro の検討を行う。
3)自己抗原・自己抗体の同定に基づいた新しい診断法の開発:消化器系の自己免疫性疾患群の診断は、症候、画像所見、組織所見など、いずれも非特異的な所見の組み合わせによって行われている。本研究では、申請者らが同定した自己抗体の測定法を確立し、多数例の症例を用いた検証を行うことにより、病態に基づいた新たな診断のGold standardの確立を目指す。
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