研究課題/領域番号 |
23K24321
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補助金の研究課題番号 |
22H03060 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高山 哲治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10284994)
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研究分担者 |
岡本 耕一 徳島大学, 病院, 講師 (60531374)
岡田 泰行 徳島大学, 病院, 助教 (60815447)
佐藤 康史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (80343383)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 大腸癌 / オルガノイド / 染色体不安定性 / 全ゲノム解析 / 蛍光イメージング / patient-derived organoid / lentiviral vector / 蛍光タイムラップス観察 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、切除不能大腸癌患者を対象に治療前及び化学療法に耐性獲得後の癌組織より患者由来オルガノイド を樹立する。次いで、これらのオルガノイドの全ゲノム解析を行い、染色体不安定性に関わる候補遺伝子を調べる。さらに、染色体不安定性の高いオルガノイドにおける候補遺伝子をノックダウンし、蛍光ライブイメージング法により染色体不安定性遺伝子を調べる。また、同一症例における治療前と耐性獲得後オルガノイドの全ゲノムデータをサブトラクションし、耐性候補遺伝子を絞り込み、遺伝子導入実験により耐性遺伝子を同定する。本研究により、大腸癌における染色体不安定性の機序と薬剤耐性遺伝子を明らかにする。
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研究実績の概要 |
大腸癌患者より樹立したpatient-derived organoid (PDO)を用いて以下の解析を行った。 1)染色体不安定性に関わる候補遺伝子の絞り込み:治療前の進行大腸癌のPDO25例の全ゲノム解析データを用いて、染色体不安定性(CIN-score)の高いPDOの変異遺伝子群から低いPDOの変異遺伝子を差し引き、56遺伝子を抽出し、過去のデータベースから10遺伝子に絞り込み、文献検索により5遺伝子に絞り込んだ。 2) 染色体不安定性に関わる候補遺伝子のノックダウン実験:昨年度作製したHistonH2bを蛍光標識した細胞分裂異常を評価できる蛍光標識PDO(CIN-low PDO)2例を対象に、それぞれ5個の候補遺伝子のshRNAのlentiviral(sh)vectorを導入しノックダウンPDOを作製した。それぞれ候補遺伝子のRT-PCRを行い、ノックダウン効率を調べ、mRNAが70%以上ノックダウンされたPDOを樹立した。 3)候補遺伝子ノックダウン細胞の染色体不安定性:樹立されたPDO2種類の各々5個の遺伝子のノックダウンPDOを樹立し、合計10種類のPDOを樹立した。それぞれのPDOとコントロールPDOの計20種のPDOの細胞分裂像の蛍光イメージングを24時間タイムラプスにより観察して評価中である。 4)染色体不安定性に関連の無い薬剤耐性遺伝子の解析:同一症例の治療前と耐性獲得後のPDOから、染色体不安定性にほぼ差の無い2例のPDOを樹立した。この2症例の各PDOのゲノム解析データから、染色体不安定性と関連の無い薬剤耐性候補遺伝子を36個抽出し、過去のデータベースより4個に絞り込んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
切除不能進行大腸癌(stage IV)症例より抗癌剤治療前及び治療後(耐性獲得後)のPDOを樹立し、染色体不安定に関わる薬剤耐性遺伝子を抽出、絞り込むことができた。また、これらの候補遺伝子のノックダウンのためのlentiviral vectorを構築し、各PDO親株のhiston蛍光標識細胞を対象に効率良く遺伝子導入を行い、当該遺伝子をノックダウンしたPDOを樹立することができた。さらに、これらの細胞分裂像をタイムラプスで評価し、目的遺伝子を突き止められる可能性が高い。一方、治療前後の大腸癌PDOを用いて、染色体不安定性に関連の無い薬剤耐性遺伝子も抽出、絞り込むことができた。 以上のことから、本研究の進捗状況は概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
以下のような実験計画を立てて本研究を進める予定である。 1)染色体不安定性の候補遺伝子のノックダウンPDOの分裂像の解析:蛍光顕微鏡を用いて、昨年度に樹立した各染色体不安定性の候補遺伝子をノックダウンしたPDOとコントロールPDOの染色体分裂像のタイムラプスを取ることにより不安定性を定量化し、染色体不安定性を評価する。 2)染色体不安定性候補遺伝子ノックダウンPDOのG-banding解析:上記の各PDOを用いて染色体のG-banding解析を行い、核型の変化を確認する。候補遺伝子の中から染色体不安定性に関わる遺伝子を同定する。 3)染色体不安定性候補遺伝子ノックダウンPDOの薬剤感受性評価:上記の各PDOを用いて、大腸癌の治療(1次治療)に用いられた薬剤(5-FU, oxaliplatin)に対する薬剤耐性の変化を評価する。Cell viabilityはCell-titreGro assayにより評価する。すなわち、2)で同定した染色体不安定性に関わる遺伝子が本当に薬剤感受性にも関わっていることを確認する。 4) 染色体不安定性に関連の無い薬剤耐性遺伝子の解析:昨年度には、上記1)-3)とは別に、同一症例の治療前後のPDOを用いて染色体分析や全ゲノム解析の結果より、染色体不安定と関連の無い薬剤耐性遺伝子を抽出して4つに絞り込んだ。本年度は、これらの遺伝子のshRNAを用いてlentiviral vectorを構築して当該遺伝子をノックダウンし、薬剤体制が変化するかどうかを検証する。すなわち、染色体不安定性とは関連の無い薬剤耐性遺伝子が見つかる可能性もある。
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