研究課題/領域番号 |
23K24326
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補助金の研究課題番号 |
22H03065 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2023-2024) 筑波大学 (2022) |
研究代表者 |
家田 真樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (70296557)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 心臓再生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では心筋リプログラミングによる新しい心不全治療の確立を目指して、慢性期心筋梗塞モデルマウスにおける心筋リプログラミングの有効性を明らかにする。さらにsingle cell RNA-seqにより慢性期心筋梗塞における心臓線維芽細胞や他の間質細胞の遺伝子発現変化を解析し、心筋リプログラミングの分子機序を明らかにする。特に心筋リプログラミングによるMatrifibrocyteの変化をRNA velocityやリネージトレーシングなどの新しい細胞動態解析法を用いて解明する。
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研究実績の概要 |
重症心不全の予後はいぜん不良であり、新しい治療法の開発が求められている。心臓は再生能力に乏しいため、心筋梗塞などの障害後は線維化や左室リモデリングが進行するが、現在臨床で有効な心筋再生法や抗線維化治療はない。これに対して我々は、線維芽細胞に心筋特異的転写因子を導入して、心筋を直接作製する心筋リプログラミング法を開発した。さらに急性心筋梗塞モデルマウスに対して心筋リプログラミングにより、心筋再生と梗塞巣の縮小に成功している。これらの結果は、心筋リプログラミングが心筋再生と抗線維化作用の両方を有することを示すが、これまで慢性期心筋梗塞(心不全)に対する報告はない。また瘢痕化した梗塞巣に存在する特殊な心臓線維芽細胞(Matrifibrocyte)のリプログラミング効果も不明である。そこで本研究では慢性期心筋梗塞モデルマウスを用いて心筋リプログラミングの有効性を検証する。本年度は慢性期心筋梗塞モデルマウスに対する心筋リプログラミングを確認した。心筋リプログラミング遺伝子発現マウスに対して慢性心筋梗塞モデルを作製した。心筋梗塞作製1か月後にタモキシフェン投与により心筋リプログラミングを誘導し、梗塞3か月後に治療効果を解析した。これまでの実験で、心筋リプログラミングによる心筋再生、梗塞巣縮小、心機能改善をリネージトレーシング、病理、心エコー検査などで確認した。一方、心破裂や突然死などの有害事象は認めていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験も予定通り進行し、心筋リプログラミング関連の論文を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はシングルセル解析により心臓構成細胞の遺伝子発現変化を明らかにし、心筋リプログラミングの作用機序を解明する予定である。心臓内には心筋や線維芽細胞以外にも、免疫細胞、血管内皮細胞など様々な間質細胞が存在し、心機能に影響を及ぼす。慢性期心筋梗塞の病態と心筋リプログラミングの作用機序を解明するため、心臓細胞のSingle-Cell RNA-seqを梗塞発症3か月後に行う。予備実験で、慢性期心筋梗塞モデルマウスでSingle-Cell RNA-seq解析を確立し、各心臓細胞群の同定と梗塞による変化を確認している(図5)。さらに心筋リプログラミングにより、心臓線維芽細胞やマクロファージが減少し、血管内皮細胞や周皮細胞などが増加することも見出している。またこの結果と一致して、Bulkのマイクロアレイ解析でも、心筋リプログラミングによる抗線維化、抗炎症、血管新生作用を確認している。今後さらに細胞間ネットワーク解析を用いて、各細胞間で作用するリガンドと受容体候補を同定して詳細な分子機序を解明する。
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