研究課題/領域番号 |
23K24332
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補助金の研究課題番号 |
22H03071 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
星野 温 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50737210)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 線維化 / セクレトーム / スクリーニング |
研究開始時の研究の概要 |
組織線維化は心不全をはじめ多くの疾患の共通の病態となっているが治療法は確立されていない。そのため線維化研究は各領域において注目されている研究テーマであるが、本研究では“線維芽細胞活性化時の転写制御ネットワークをCRISPRスクリーニングで包括的に解明する”という、独自の視点で研究を展開している。線維芽細胞活性化セクレトーム制御において、新たにKeap1-NRF2経路とFLCN-mTOR-TFE経路が重要であることが判明した。今後は抑制的転写制御のメカニズムを転写複合体解析から明らかにするとともに、マウスの心臓線維化モデルで両経路による線維化を評価し、それぞれの活性化薬の開発にも取り組む。
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研究実績の概要 |
NRF2の線維化関連遺伝子発現調節機構の解明のため、NRF2転写複合体の解析をBioID(近位依存性ビオチン標識)にて行った。BioIDはNRF2-TurboIDノックイン細胞、Smad4-TurboIDノックイン細胞をそれぞれCRISPRによるゲノム編集にて作成し生理的タンパク質発現レベルでのタンパク質複合体評価を実施した。その結果、corepressorとして知られるDDX54がNRF2の線維化関連遺伝子発現抑制に関与していることが示唆された。マウスモデルでの評価は、Keap1-floxマウスをPostn-MerCreMerマウスと掛け合わせた薬剤誘導性・線維芽細胞特異的Keaplノックアウトマウスを用いて、圧負荷心不全モデルにおいて心臓線維化の評価を行った。8週齢マウスにタモキシフェンを腹腔内投与し、9週齢で横行大動脈縮窄術を施行し13週齢で評価を行った。Keap1ノックアウトで有意な線維化抑制を確認するとともに心肥大の抑制も確認できた。また腎臓の線維化に関しても片側尿細管結紮モデルで評価したところ、こちらも間質線維化の抑制を確認できた。中分子ペプチドに関しては10mM程度の高容量ではNRF2活性化作用が確認できたが、細胞内への移行が簡単ではなくTATペプチドを結合したり、脂質粒子での細胞内取り込みを向上を施したが低用量での活性化が難しいため低分子化合物での評価を進める方針とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NRF2の線維化関連遺伝子発現抑制機構の解明として転写複合体の解明を完了し、マウス線維化モデルにおいてもKeap1ノックアウトによる抗線維化作用が確認できたため順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
NRF2が線維化関連遺伝子の転写抑制を行うにあたり昨年度に実施したBiioIDからDDX54がコリプレッサーとしてはたらいていることが示唆された。そのため、まずはNRF2がDDX54とタンパク結合を有するかを免疫沈降にて確認するともに、DDX54欠損細胞で線維化関連遺伝子の転写抑制がキャンセルされるかを確認する。NRF2ノックアウトによる心臓線維化抑制はOpstn-MerCreMerマウスを用いたタモキシフェン誘導活性化線維芽細胞特異的ノックアウトマウスで確認された。これに対して心筋細胞特異的ノックアウトでどうなるかをMyh6-MerCreMerマウスを用いて評価する。また評価を行っている圧負荷心不全モデルの活性化線維芽細胞におけるNRF2発現の評価に取り組む。NRF2はタンパク分解で調節されるため、mRNAによる評価が難しいため、ROSA td-TOMATO x Opstn-MerCreMerにてtd-TOMATOの細胞ソーティングで線維芽細胞を回収し、NRF2の染色やWBで定評評価を試みる。NRF2活性化中分子ペプチドは候補ペプチドの細胞内への移行がやはり困難であり、方針を低分子化合物に切り替えることとした。こちらに関しては既にベンチャー企業が保有しているものを用いて共同研究に切り替えて抗線維化作用を評価する。
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