研究課題/領域番号 |
23K24340
|
補助金の研究課題番号 |
22H03079 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
西岡 安彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (70274199)
|
研究分担者 |
佐藤 正大 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (80530899)
荻野 広和 徳島大学, 病院, 講師 (20745294)
三橋 惇志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任講師 (00833732)
小山 壱也 徳島大学, 病院, 助教 (90724089)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 抗原提示細胞 / 線維細胞 / CD200 / 破骨細胞様マクロファージ / 1細胞解析 |
研究開始時の研究の概要 |
肺がん・悪性胸膜中皮腫に対する免疫チェックポイント阻害薬の併用療法(複合がん免疫療法)が検討されている。本研究では、既に実施した腫瘍浸潤細胞の詳しい解析(1細胞解析)で見出した2つの新たな正・負のがん免疫調節機構を応用して、新しい複合がん免疫療法の開発を目指す。 (1)新たな正の制御機構の応用:腫瘍内に線維細胞という新しい細胞を同定し、この細胞ががん免疫を増強することを見出した。その応用による治療法開発を目指す。 (2)新たな負の制御機構:腫瘍内に破骨細胞様マクロファージという新しい細胞とその免疫抑制作用を見出した。がん免疫療法の耐性に関与する可能性があり、その克服による治療法開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
新規複合がん免疫療法の開発を目指し、マウスモデルを用いて新たに同定した抗原提示細胞(APC)、すなわち線維細胞と破骨細胞様マクロファージによる免疫調節機能の解析を中心に、2方向から研究計画を進めた。実験には悪性胸膜中皮腫細胞株AB1-HAおよび肺がん細胞株LLCの移植モデルを使用した。 (1)新たな‘正’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法:本研究パートで着目するAPCは腫瘍浸潤線維細胞である。腫瘍内CD45陽性細胞をフローサイトメトリー法にて回収し、シングルセルRNAシークエンス(scRNA-seq)法により1細胞遺伝子発現とサブクラスター解析を実施した。その結果、本分画中にマクロファージクラスターとは明らかに独立した線維細胞クラスターを同定した。遺伝子発現解析の結果、線維細胞クラスターでは、Col1a1、CD34、Tm4sf1、Fgfr2、Tgfbr3など、他のミエロイド系細胞では発現のない特徴的な遺伝子群の高発現が確認された。また、scRNA-seqのwPGSA webtoolを用いた線維細胞特異的転写因子発現の検討から、線維細胞で発現が亢進している転写因子群を同定した。 (2)新たな‘負’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法:本研究パートで着目するAPCは破骨細胞様マクロファージである。scRNA-seqによる腫瘍内破骨細胞様マクロファージの遺伝子発現解析の結果、破骨細胞様マクロファージにはチェックポイント分子であるCD200が高発現していることを見出した。また破骨細胞様マクロファージの分化因子としてB cell activating factor belonging to the tumor necrosis factor family (BAFF)を同定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、(1)新たな‘正’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法、(2)新たな‘負’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法の2つの観点から研究を進めている。令和4年度は、いずれの方向性においても研究は順調に進行し、(1)については一部計画以上の成果が見られている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、(1)新たな‘正’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法、(2)新たな‘負’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法の2つの観点から研究を進めている。 (1)については、腫瘍内で同定した線維細胞クラスター特異的転写因子発現の検討を進め、既に同定した転写因子群を標的とした線維細胞のAPC機能増強に繋がる複合がん免疫療法の検討を進める。また、ヒト肺がん組織からCD45陽性細胞を回収しscRNA-seq解析を行い、ヒト肺がん組織中の線維細胞クラスターについても追加解析を進める。 (2)については、抗PD-1/PD-L1抗体治療感受性と破骨細胞様マクロファージの関連を検討すると共に、抗PD-1/PD-L1抗体と抗CD200抗体併用による複合がん免疫療法の検討を進める。また、腫瘍内破骨細胞様マクロファージのソーティングによる回収と機能解析、特に免疫抑制効果の有無等について解析を行う。さらに、破骨細胞様マクロファージの標的分子としてのBAFFの検討を進め、腫瘍内BAFF発現と破骨細胞マーカーの関連およびshRNAを用いた腫瘍のBAFF発現制御による治療効果の検討を進める。
|