研究課題/領域番号 |
23K24347
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補助金の研究課題番号 |
22H03086 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
河内 裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60242400)
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研究分担者 |
金子 佳賢 新潟大学, 医歯学系, 講師 (80444157)
松井 克之 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20256027)
葛谷 聡 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30422950)
福住 好恭 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (20609242)
内許 玉楓 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00529472)
安田 英紀 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (00806490)
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 慢性腎臓病 / ネフローゼ症候群 / 蛋白尿 / ポドサイト / スリット膜 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性腎臓病は新たな国民病と位置づけられている。蛋白尿は、腎疾患の重要な症候であるだけでなく、慢性腎臓病を進行させる悪化因子でもある。蛋白尿を早期に抑制することは、慢性腎臓病の進行を阻止する上で極めて重要である。研究代表者は、蛋白尿は腎糸球体上皮細胞(ポドサイト)のスリット膜のバリア機能の低下により発症することを明らかにしてきた。本研究では、①スリット膜機能の安定化に重要と考えられるスリット膜と細胞骨格を連結する分子機構を明らかにし、②スリット膜関連分子群、その下流のシグナル分子を標的とした蛋白尿、ネフローゼ症候群に対する新規治療法、関連分子を指標とした新規診断法の開発に向けた基盤研究を行う。
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研究実績の概要 |
蛋白尿は、腎疾患の最も重要な症候であるだけでなく、慢性腎臓病を進行させる悪化因子でもある。蛋白尿を早期に抑制することは、慢性腎臓病の進行を阻止する上で極めて重要である。研究代表者らは、腎糸球体上皮細胞(ポドサイト)の細胞間接着装置であるスリット膜が蛋白尿の発症を防ぐ最終バリア機能として機能していること、多くの腎疾患での蛋白尿はスリット膜のバリア機能の低下により発症することを明らかにしてきた。これまでの研究でEphrin-B1、Neurexinなどのシナプス関連分子がポドサイトに発現しており、スリット膜の細胞外部の主要構成分子であるネフリンと分子複合体を形成し、スリット膜の機能維持に関与していることを明らかにしてきた。 本研究課題では、Ephrin-B1-ネフリン複合体はNHERF2-Ezrinを介してActin細胞骨格と結合していること、Ephrin-B1-ネフリン複合体はNeurexinと結合していることを明らかにした。初年度(令和4年度)は、Ephrin-B1-ネフリン-NHERF2-Ezrin-Actin分子連関の細胞骨格安定化における役割、ポドサイト傷害におけるこの分子連関の変化を検討した。各種病態モデルでの検討で、蛋白尿発症時、ネフリン-Ephrin-B1結合だけでなく、Ephrin-B1- NHERF2結合、NHERF2-Ezrin結合が乖離していることを明らかにした。また、Ephrin-B1のリン酸化がこれらの変化のinitiation event であることを明らかにした。また、並行してEphrin-B1-ネフリン-Neurexin複合体の役割を検討し、Neurexinがスリット膜構成分子群の発現、正常な局在の維持に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は、まずEphrin-ネフリン-NHERF2 -Ezrin-Actin複合体について以下の検討を進めた。①微小変化型ネフローゼ症候群モデルとして利用されているPAN腎症の蛋白尿ピーク時の腎糸球体材料を用いた免疫組織学的検討で、EphrinB1-ネフリンの乖離だけでなく、EphrinB1-NHERF2、NHERF2-Ezrinが乖離していることを観察した。同糸球体可溶化材料を用いた免疫沈降法での検討でもEphrinB1-NHERF2の乖離を確認した。巣状糸球体硬化症モデルであるADR腎症材料での検討でも同様の変化を観察した。②強制発現系を用いた検討で、ネフリンに対する抗体刺激、特異的リガンドによるEphrinB1への直接刺激によりEphrinB1のリン酸化が誘導され、EphrinB1-NHERF2、NHERF2-Ezrin結合、EphrinB1とPar複合体構成分子であるPar3との結合が抑制されることを明らかにした。またこの一連の変化は、JNK阻害薬などのシグナル阻害剤で抑制されることを明らかにした。これらの検討結果は、Ephrin-ネフリン-NHERF2 -Ezrin複合体がスリット膜と細胞骨格の連結に重要な役割を果たしており、これら分子複合体の不安定化がネフローゼ症候群の病態形成に関与していることを示している。 並行してEphrin-ネフリン複合体とNeurexinの連関機構の検討、スリット膜におけるNeurexinの機能解析を進めた。Neurexin KOマウスでは、ネフリン、EphrinB1などのスリット膜機能分子だけでなく、ポドサイトでの発現が確認されているシナプス小胞関連分子の発現が著明に低下していることを観察した。 以上の所見を得ることができており、研究は順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討で、ネフリン-Ephrin-B1複合体の細胞質部はNHERF2-Ezrinを介したActin細胞骨格との連結だけでなく、上皮細胞の極性形成に重要な役割を果たしているPar複合体とも結合性を有していることを明らかにしてきた。令和5年度は、ネフリン-Ephrin-B1複合体とPar複合体の連関に焦点を当て研究を進める。この分子連関のスリット膜における役割、ポドサイト傷害形成における分子連関の変化を解析する。具体的には、①各種病態モデルを用いて、病態誘導後の各時期(病態誘導直後、蛋白尿のピーク時、回復期)における、この分子連関の変化を免疫組織化学的手法、免疫沈降法などで詳細に観察する。②培養ポドサイトでのsiRNAノックダウン系を用いて、これら複合体の各構成分子の発現消失時の複合体の分子連関の変化、ポドサイトの形態、機能の変化を解析することにより、各構成分子の分子機能の解析を行う。③HEK細胞を用いた強制発現系を用いて、ネフリン、Ephrin-B1が刺激によりリン酸化された際のネフリン-Ephrin-B1複合体とPar複合体の分子連関の変化を検討する。 並行してネフリン-Neurexin複合体のスリット膜機能維持における役割の解明を進める。これまで進めてきたNeurexin KOマウスでの解析に加え、①培養ポドサイトを用いたsiRNAノックダウン系での検討を進め、Neurexinとシナプス小胞関連分子群との関係性、相互作用を解析する。②強制発現系での検討で、Neurexinとネフリンとの結合様式、結合部位の同定などの検討を進める。また、NeurexinとSV2Bなどシナプス小胞関連分子群との結合性についての解析を進める。
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