研究課題/領域番号 |
23K24350
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補助金の研究課題番号 |
22H03090 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
井上 剛 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (30821665)
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研究分担者 |
安部 力 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10585235)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 腎臓 / 自律神経 / オプトジェネティクス / 腎交感神経 / 急性腎障害 |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓の線維化に特徴づけられる慢性腎臓病(CKD)患者は本邦で現在1,330万人いるものの、腎臓病の根本的な治療法はいまだに存在せず、新たな治療法の開発は喫緊の課題である。申請者は、神経刺激に伴う免疫細胞の形質変化を介した新規の腎臓保護作用メカニズムを解明してきた。本研究では、オプトジェネティクスの手法により選択的に交感神経を刺激する方法を開発し、新規バイオセンサー、シングルセルRNA-seqの技術を用いて、腎交感神経による直接的な腎臓保護機構を解明する。特に、交感神経刺激を受け取った細胞と他の細胞との相互作用に着目し解析を進める。これらの成果を基盤に、革新的な創薬の標的分子の探索を目指す。
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研究実績の概要 |
腎臓の線維化に特徴づけられる慢性腎臓病(CKD)患者は本邦で現在1,330万人いるものの、腎臓病の根本的な治療法はいまだに存在せず、新たな治療法の開発は喫緊の課題である。腎臓には豊富な交感神経支配が存在するものの、腎交感神経経由の腎保護作用機構は解明されていない。本研究では、光で選択的に腎交感神経を刺激する方法を開発し、新規バイオセンサー、シングルセルRNA-seqの技術を用いて、腎交感神経による直接的な腎臓保護機構を解明する。特に、交感神経刺激を受け取った細胞と他の細胞との相互作用に着目し解析を進める。これらの成果を基盤に、革新的な創薬の標的分子の探索を目指す。 昨年度および本年度、特定の神経を光で特異的に刺激するオプトジェネティクスの手法を活用し、腎交感神経を青色光で直接刺激する手法を確立した。また、青色LED光源と遠隔操作可能な埋め込み型の電源装置を活用することで、体外から意識下で腎交感神経を刺激する手法も確立した。さらに、本手法と急性腎障害モデルを組み合わせることで、腎交感神経刺激が腎臓を保護することを明らかにした。 次年度は、マクロファージ特異的アドレナリン受容体欠損マウスや近位尿細管特異的アドレナリン受容体欠損マウスを使用し、別の角度から腎交感神経の腎臓恒常性維持メカニズム解明を目指す。また、本年年度に取得した腎交感神経刺激後の経時的な腎臓シングルセルRNA-seqデータを解析することで、腎交感神経による直接的な腎臓保護機構を解明する。特に、交感神経刺激を受け取った細胞と他の細胞との相互作用に着目し解析を進める。これらの実験結果から得られたデータに関して、細胞や組織を使用し分子生物学的手法を駆使することで検証を進めるとともに、腎交感神経による腎臓恒常性維持機構の分子メカニズムを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は光で選択的に腎交感神経を刺激する方法の開発に注力し、特定の神経を光で特異的に刺激するオプトジェネティクスの手法を活用し、特異的に腎交感神経を刺激する手法を確立した(主担当:井上、副担当:安部)。交感神経に青色光をあてると、神経を興奮させることのできるDBH-Cre: ChR2マウスの交配も順調に進み、目的のマウスを得ることができた。始めに、腎動脈周囲(腎交感神経が並走)を光刺激することで、腎交感神経を特異的に刺激する手法(麻酔下)を確立した。その後、体外から腎交感神経を刺激できる手法の確立に注力した。その結果、埋め込み型のLED光源、遠隔制御可能な電池式刺激装置を組み合わせ、LED光源を腎交感神経の近くに埋め込むことで、体外から意識下で腎交感神経を刺激する手法を確立した。 本年度は、前年度に確立したオプトジェネティクスの手法を用いて腎交感神経を光で刺激し、急性腎障害モデルを組み合わせることにより、腎交感神経が尿細管を保護(臓器保護)することを明らかにした。また、腎臓内のどの細胞が腎臓交感神経シグナルを受け取るかを明らかにするために、光による特異的な腎交感神経刺激をしたマウスおよびsham刺激をしたマウスの腎臓を用いて、腎臓細胞のシングルセルRNA-seq解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度および本年度、特定の神経を光で特異的に刺激するオプトジェネティクスの手法を活用し、腎交感神経を青色光で直接刺激する手法を確立した。また、青色LED光源と遠隔操作可能な埋め込み型の電源装置を活用することで、体外から意識下で腎交感神経を刺激する手法も確立した(主担当:井上、副担当:安部)。さらに、本手法と急性腎障害モデルを組み合わせることで、腎交感神経刺激が腎臓を保護することを明らかにした。 次年度は、マクロファージ特異的アドレナリン受容体欠損マウスや近位尿細管特異的アドレナリン受容体欠損マウスを使用し、別の角度から腎交感神経の腎臓恒常性維持メカニズム解明を目指す(主担当:井上、副担当:安部)。また、本年度に取得した腎交感神経刺激後の経時的な腎臓シングルセルRNA-seqデータを解析することで、腎交感神経による直接的な腎臓保護機構を解明する。特に、交感神経刺激を受け取った細胞と他の細胞との相互作用に着目し解析を進める。これらの実験結果から得られたデータに関して、細胞や組織を使用し分子生物学的手法を駆使することで検証を進めるとともに、腎交感神経による腎臓恒常性維持機構の分子メカニズムを明らかにする。
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