研究課題/領域番号 |
23K24376
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補助金の研究課題番号 |
22H03117 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金井 祐太 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (80506501)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | ロタウイルス / 下痢症 / 腸管 / 腸内細菌 / メタボローム / 腸管ウイルス / 腸内環境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、腸管ウイルスの感染成立に必要な腸内環境(食事・腸内細菌・代謝物・pH・水分量・腸管上皮細胞の遺伝子発現を含む)の明確化と腸内環境の改変による腸管ウイルス制御法の構築を目的とする。様々な腸管ウイルス(ロタウイルス、コロナウイルス、ノロウイルス、エンテロウイルス等)のマウス感染モデルを用い、抗生物質投与や特殊配合飼料の投与により人為的に腸内環境を変化させることでウイルス感染性の変化との関連を明らかにする。また腸内環境の指標として、腸内細菌叢、代謝物質構成および腸管上皮細胞の遺伝子発現変化を測定し、腸管ウイルス感染に関連する因子の特定を行う。
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研究実績の概要 |
腸管腔内には1000種超の腸内細菌が生息しており、宿主の消化酵素によって分解された食事成分は腸内細菌により二次代謝物(胆汁酸、短鎖脂肪酸、トリプトファン代謝物等)となり腸管上皮細胞により吸収される。腸内細菌やその代謝物は生体の恒常性維持に重要な機能を果たしており、生体の一部であると考えることもできる。下部消化管に感染する腸管ウイルス(ロタウイルス、カリシウイルス等)は、このように腸内細菌叢や細菌代謝物とともに形成される腸内環境を好適環境として適応進化してきたと考えられる。本研究課題では、腸管ウイルスであるロタウイルスの感染感受性に影響を与える腸内環境因子を明らかにするため、抗生物質や食事など外部因子により積極的に腸内環境を改変したマウスを用いて、変動する腸内環境とロタウイルス感染との関連を調べた。 これまでに様々な作用機序を示す抗生物質の投与により人工的に腸内細菌叢を改変したマウスにロタウイルス感染を行い、ウイルス感染を抑制する抗生物質とウイルス感染に影響の無い抗生物質を特定した。さらに特殊配合飼料(高脂肪、高コレステロール等)によりマウスを飼育することでロタウイルスの感染性が顕著に低下することを見出した。また様々な抗生物質を経口投与したマウスの腸内細菌叢をメタゲノム解析により調べたところ、ロタウイルス感染抑制効果を示したペニシリン投与マウスにおいて顕著に増加している細菌種が認められた。またペニシリン投与マウスの腸管内メタボローム解析を行ったところ、多くの代謝物質が顕著に増加もしくは減少していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸内環境の変動とウイルス感染の関連を調べるために、作用機序の異なる抗生物質(ベータラクタム系、アミノグリコシド系、テトラサイクリン、マクロライド系、サルファ剤、ニューキノロン)を近交系マウス(Balb/c、3週齢、オス)に2週間経口投与し、ロタウイルスを経口感染したところ、ペニシリン(ベータラクタム系)投与マウスにおいて顕著なロタウイルス感染抑制が認められた。投与する抗生物質の種類によりウイルス感染への影響が異なっていたことから特定の腸内細菌の関与が疑われた。そこで様々な抗生物質を経口投与したマウスの腸内細菌叢をメタゲノム解析により調べたところ、ロタウイルス感染抑制効果を示したペニシリン投与マウスにおいて顕著に増加している細菌種が認められた。また腸内細菌叢の変化により、細菌による二次代謝物質の組成も変化していると考えられたため、ペニシリン投与マウスの腸管内メタボローム解析を行ったところ、多くの代謝物質が顕著に増加もしくは減少していることが明らかとなった。 次に抗生物質を用いない腸内環境の改変法として特殊配合飼料を用いたマウス感染実験を行った。通常飼料としてCE-2(日本クレア)、AIN-76A(TestDiet、米国)、高脂肪飼料としてQuick fat(日本クレア)、58Y1(TestDiet)、高コレステロール飼料として58R6(TestDiet)を用意した。近交系マウス(Balb/c、3週齢、オス)をそれぞれの飼料で2週間飼育した後、ロタウイルス感染実験を試みたところ、AIN-76A、58R6、および58Y1で飼育したマウスにおいて顕著なロタウイルス感染抑制が認められた。これらの結果から腸内環境が変動することでロタウイルス感染性が変化したことが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究により、マウス腸管内における特定の腸内細菌の増加もしくは減少によりロタウイルス感染が抑制されることが示唆された。またロタウイルス感染抑制効果を示したペニシリン投与マウスの腸管内容物のメタボローム解析を行ったところ、細菌による代謝物の構成が大きく変化していることが明らかとなった。これらの結果をもとに、次年度はロタウイルス感染抑制に関与する腸内細菌種および腸管内代謝物の特定を試みる。また腸内環境の改変によりロタウイルス感染標的である腸管上皮細胞の遺伝子発現が変化していることが予想されるため、様々な抗生物質を投与したマウスにおける腸管上皮細胞のトランスクリプトーム解析を行う。 さらにロタウイルス感染抑制のウイルス学的解析のため、ロタウイルスとマウス腸管内容物を混合し抗生物質を投与することによる腸管内容物とロタウイルス粒子の直接の影響を調べる。さらに同様の実験を他の腸管感染性ウイルス(レオウイルス、エンテロウイルス、ノロウイルス等)を用いて行い、腸内細菌とウイルス感染における特異性について検討を行う。
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