研究課題/領域番号 |
23K24387
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補助金の研究課題番号 |
22H03128 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
前川 聡 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00209363)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | ケトン体 / 糖尿病 / 肥満 / 老化 / 絶食 / 糖代謝 / 脂質代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
ケトン体には臨床上、強い「Negative image」が根付いているが、元来ケトン体には飽食の時代に我々が知りえなくなった「ケトン体のエネルギー源としての役割を超えた作用」が存在する可能性が示されつつある。本研究では、臓器局所のケトン体代謝変容をもたらすことのできる遺伝子改変マウスを用い、ケトン体の新たな生物学的意義の解明、ケトン体代謝に着目した新たな糖尿病病態の理解を目指す。本研究から得られるケトン体代謝に関わる新知見は、今後の生物学や糖尿病学の進歩に大きな貢献がもたらされることが期待できる。
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研究実績の概要 |
①ケトン体が寿命に及ぼす影響:全身のケトン体合成律速酵素Hmgcs2の欠損 (Hmgcs2-KO)、ケトン体前駆物質1,3-ブタンジオール(1,3-BD)の経口投与、低炭水化物ケトジェニック食(LCKD)がマウス生存率に及ぼす影響を検討した。Hmgcs2-KOは、青年期と中年期のマウス死亡率に影響を与えず、老年期の死亡率を上昇させた。Hmgcs2-KOマウスの血中ケトン体濃度は生涯低値であり、その寿命短縮は青年期からの1,3-BD投与によりキャンセルされた。さらに、青年期からの1,3-BD投与、LCKDが野生型マウスでも寿命延長をもたらすかを検証した結果、LCKD群マウスは、中年期以降に体重と血糖値の急激な減少を伴い、老齢期に高い死亡率を示した。一方、高齢野生型マウスや動脈硬化モデルマウスに1,3-BD食、LCKDを投与した結果、1,3-BD食は高齢マウスの生存率を上昇させる一方で、LCKDは有意に死亡率を上昇させた。これらの結果より、内因性ケトン体産生は、哺乳類の長期生存に重要な役割を果たすこと、ケトン体補充は健康寿命に影響を及ぼすが、その投与方法や健康状態より諸刃の剣として作用することが明らかとなった。 ②ケトン体とmTORC1シグナルの解析を行うため、各臓器(腎臓、肝臓、膵臓、筋肉)特異的TSC1欠損マウスを作製し、各臓器でmTORC1シグナルが活性化するマウスを作製した。これらのマウスにケトン体投与を行ったところ、腎臓においてのみmTORC1の活性が抑制され、mTORC1過剰に伴う表現系の改善が見られた。この臓器におけるscRNAseqより新たなケトン体ーmTORC1シグナル調整機構が解明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた各モデルマウスの表現系解析、次年度に向けたモデルマウスの作製は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
臓器局所のケトン体利用と絶食応答と糖尿病病態形成の関わりを検証するため、臓器特異的(膵β細胞、骨格筋、白色脂肪組織、褐色脂肪組織、小腸)なScot欠損マウスを作製した。48時間絶食、ストレプトゾトシン誘発1型糖尿病、db/dbマウスとの交配を行い、その各臓器での表現系を確認する。膵β細胞ではインスリン分泌能、骨格筋では握力、持久力とインスリン抵抗性、白色脂肪細胞では脂肪合成・脂肪酸遊離とインスリン抵抗性、褐色脂肪細胞では寒冷刺激での熱産生、小腸では再摂食時の糖、脂肪酸吸収能とインクレチン分泌の検討を行う。これらの検討で対照マウスと比較し表現系に変化の見られる臓器がある場合、その詳細な分子機序の解明を進める。
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