研究課題/領域番号 |
23K24392
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補助金の研究課題番号 |
22H03133 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 昌史 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50400453)
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研究分担者 |
稲垣 明子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20360224)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 膵島移植 / 皮下移植 / 免疫隔離細胞デバイス / 血管新生 / 細胞外基質 |
研究開始時の研究の概要 |
移植医療の課題である免疫抑制剤の服用やドナー不足に対する有効な戦略の一つが再生医療との融合である。本研究では、免疫隔離細胞デバイスと皮下移植を両立させるための成功要因に関する学理を究明し、この両者を移植医療と再生医療を効果的に融合するための革新的基盤技術として確立する事を目指す。本研究は”いつでも受けられる免疫抑制剤のいらない細胞治療”を実現するための基盤を担う重要な医学的かつ社会的意義を有している。
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研究実績の概要 |
移植医療の課題である免疫抑制剤の服用やドナー不足に対する有効な戦略の一つが再生医療との融合である。本研究では、免疫隔離細胞デバイスと皮下移植を両立させるための成功要因に関する学理を究明し、この両者を移植医療と再生医療を効果的に融合するための革新的基盤技術として確立する事を目指す。本年度は、皮下膵島移植おける不織布構造ゼラチン基材(GHNF)の詳細な作用機序を究明するために、GHNFの作用機序に関し、増殖因子・細胞外基質・細胞接着因子・新生血管構築・炎症惹起の観点から、移植部位である皮下組織のタンパクおよび遺伝子解析を実施した。その結果、皮下膵島移植の成績向上には皮下組織への新生血管構築と細胞外基質補填が特に重要であることが判明した。移植する膵島は膵島分離工程においてラミニン、コラーゲンIII、コラーゲンIVなどから構成される膵島被膜を喪失しているため、GHNFを介して移植部位で細胞外基質を補填することが膵島機能の向上に繋がっていると考えられた。また増殖因子に関しては、GHNFの使用により構築された皮下被膜組織においてGHNF不使用時の約60倍のIGF-2発現が確認され、IGF-2やHGFといった一部の増殖因子がGHNFの効果発現に寄与していることが判明した。炎症惹起に関しては、移植部位に残存したGHNF内にCD206陽性のM2タイプマクロファージが確認され、種々の炎症性サイトカインの制御に貢献しているものと推察された。本年度の検討により、GHNFの前留置期間が皮下膵島移植の成績に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。皮下移植部位における新生血管構築、細胞外基質補填、GHNF残存量、炎症惹起レベル、増殖因子の放出量の各要因がいずれも皮下膵島移植成功の鍵を握っており、これらの複合的バランスによりGHNFの至適留置期間が決定され、マウスモデルでは6週間が最適と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は予定していた皮下膵島移植おけるGHNFの作用機序をしっかり解明することができ、さらにもう一歩踏み込んで皮下膵島移植の成功要因も明らかにすることができた。これらの研究成果が学会でも評価され、教室の若手研究者が第50回日本膵・膵島移植学会で学会賞を受賞するに至った。現在、これらの研究内容をまとめて国際学術誌へ投稿中である。こういった一連の研究成果が認められ、実用化を目指す企業と4年間の共同研究契約を締結し、効果的な産学連携を推進することができた。以上のように多くの成果を産出することができたため、本年度の研究計画は"当初以上に進展している"と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究を推進する事により、GHNFを前留置する際には至適留置期間をしっかり把握することが重要であることが判明したが、GHNFの吸収速度は動物種によって異なることが想定される。したがって、今後はGHNFの実用化へ向けてより大型動物モデルにおけるGHNFの至適留置期間についても検証していく必要があると思われる。また、当初予定していた通り、本年度の研究成果を基に2023年度はGHNFと脂肪組織由来幹細胞(ADSC)を組み合わせ、その新生血管増強効果について検討していく予定である。
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