研究課題/領域番号 |
23K24395
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補助金の研究課題番号 |
22H03136 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
島田 光生 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10216070)
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研究分担者 |
常山 幸一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10293341)
池本 哲也 徳島大学, 病院, 教授 (20398019)
安友 康二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30333511)
齋藤 裕 徳島大学, 病院, 講師 (50548675)
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
親泊 政一 徳島大学, 先端酵素学研究所, 教授 (90502534)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | オルガノイド / 脂肪由来幹細胞 / 超高機能肝細胞様細胞 / 肝細胞様細胞 / HLC |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、脂肪由来幹細胞ADSCを用いて誘導されたHLCを薬剤添加等で高機能HLCへと誘導し、さらに、血管内皮細胞とのオルガノイドを形成 することで、Super HLCを誘導する。また、ADSCからSuper HLCまでの過程において、「いつ、個人の細胞としての性格を獲得し表出するのか( 免疫学的回避機構の性質を消失するのはいつか)」を評価したうえで、代謝性肝疾患モデルへ移植しその効果を検討する。
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研究実績の概要 |
肝細胞様細胞(HLC)は多能性幹細胞から分化誘導が可能であるが、すべての肝細胞機能を肝細胞と同等に保持するようなHLCはいまだに作製できていない。これまでとは異なる新たなアプローチによって、より肝細胞に近い、超高機能肝細胞様細胞 (Super HLC)の作成方法が必要である。また、Super HLCの他家移植を考慮した際に、その免疫原性の評価も重要となる。 本研究では以下の検討内容を明らかにすることを目的とする。 1. ADSCにより誘導されたHLCを“新たな薬剤添加・NH3 precondition”で高機能化し、その高機能HLCと血管内皮細胞とのオルガノイドを形成する。多細胞間の相互作用を人工的に再現することで、従来の分化誘導手法の抜本的改良を試みることができ、我々の目標とするSuper HLCを創出する。 2. ADSCからSuper HLCまでの過程における免疫原性を評価。 3. Super HLCの代謝性肝疾患モデルへの移植。 R4年度は、ADSCからの分化誘導の過程,でこのHUVECを混入し、オルガノイドを作成した。Step2から、さらに、HUVECとADSCの細胞数比率は1:3で混入し、通常の3D HLCと比較した。形態学的には通常の3D HLCとオルガノイドに変わりなく、sizeもほとんど同じ程度であった。ただし、細胞集塊のViabilityを蛍光免染で評価したところ、3DHLCの方が、部分的に死細胞が存在しているがことがわかり、オルガノイドでは、細胞集塊中心部であっても、Viabilityは良好であった。肝細胞遺伝子発現では、オルガノイドでAATやCPS1などの発現が3D HLCよりもさらに高発現しており、肝細胞機能に関して、CYP3A4活性がオルガノイドで良好であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ADSCからの分化誘導の過程でヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を混入し、オルガノイドを作成した。どのStepからHUVECを混入するべきか予備実験を行い、1)Step1~、2) Step2~、3)Step3~、4)HLC分化誘導後の4群間で肝細胞成熟遺伝子発現を比較した。結果としてStep2からのオルガノイドが最も α1-antitrypsin(AAT)発現が高値であったため、Step2からHUVECを混入した。さらに、HUVECとADSCの細胞数比率は過去の文献結果に基づき(J Hepatolo 2018)1:3で作成した。以下、3D HLCとオルガノイドの2群間で比較検討した。 結果として、形態学的には通常の3D HLCとオルガノイドに変わりなくsizeもほとんど同程度であった。ただし、細胞集塊のViabilityを蛍光免染で評価したところ、3DHLCの方が、部分的に死細胞が存在しているがことがわかり、オルガノイドでは、細胞集塊中心部であっても、Viabilityは良好であった。肝細胞遺伝子発現では、オルガノイドでAATやCarbamoylphosphate synthetase (CPS1)などの発現が3D HLCよりもさらに高発現していた。肝細胞機能に関して、アンモニア代謝能には両群間で、差を認めなかったが、CYP3A4活性はオルガノイドで良好であった。よって、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
主に免疫原生の確認、また、代謝性モデルへの移植が当面目標となる。 HLCの臨床応用を考慮した際に、我々が対象とする、代謝性肝疾患患者(尿素サイクル異常症・家族性アミロイドニューロパチー)由来のADSCから作成したHLCが、健常者のHLCと比較して肝細胞機能は不良であることが知られている。尿素サイクル異常症の1つである、アルギナーゼ1欠損症患者のiPS細胞由来HLCのアンモニア代謝は不良であり、iPS細胞の遺伝子操作が必要となることが報告されている(Mol Ther Nucleic Acids. 2016)。Ⅰ型シトルリン血症患者由来のHLCも同様に尿素サイクルは不良であった(Biochem Biophys Res Commun. 2017)。その場合、健常者である他者由来の(allogenic) ADSCからHLCを誘導する場合、どの時点でHLCの免疫抗原性が上昇してくるのかを明らかにする必要がある。 また、我々はOTC KOモデルあるいはⅠ型シトルリン血症モデルマウスをすでに保有しており、3D HLC移植を実施し、血清アンモニア低下を確認している。今回作成したオルガノイドも同モデルに移植予定である。
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