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細胞外環境に着目した腎臓修復メカニズムの解明と臓器再生誘導法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K24396
補助金の研究課題番号 22H03137 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

八木 洋  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20327547)

研究分担者 松本 一宏  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80366153)
足達 俊吾  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90783803)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
キーワード細胞外マトリックス / 腎臓再生 / 生体材料 / 腎不全 / 抗線維化 / 抗炎症
研究開始時の研究の概要

本研究では、生体由来の細胞外マトリックスから成る臓器骨格が、組織再生の三要素に当たる「足場」/「生理活性物質」として重要な役割を果たし、臓器修復/再生を誘導する効果とメカニズムを、本来体内で修復しないとされる腎臓を対象として、骨格内部に起こる腎小体を含む微細連続構造・機能の修復過程に着目し、Single Cell解析・マイクロ流体デバイスを用いた詳細な細胞動態解析と、臨床応用を見据えた慢性腎障害モデルブタを駆使して明らかにする。長く培ってきた脱細胞化骨格技術と知見を最大限に生かし、未だ明らかでない体内における腎臓修復/再生メカニズムの解明と、それに裏打ちされた新たな腎障害治療法の開発を目指す。

研究実績の概要

実験1. 細胞外マトリックス骨格内部への腎臓構成細胞の遊走・浸潤過程を示し、腎臓微細構造の機能的修復メカニズムを明らかにする
本研究では、ラット・ブタ体内で腎臓骨格内部に遊走した細胞を抽出し詳細な解析を行った。その結果、腎臓骨格が腎臓修復過程で線維化を抑制し、マトリックスを正常化すること。また、M2マクロファージを誘導することで、抗炎症効果を示すことを発見した。また体内に留置した腎臓骨格は周囲の腸管などに癒着性の変化を示すことなく、約1ヶ月で周囲組織と合わさって炎症を惹起することなく自己組織化することがわかった。Single Cell解析を行うと、内部には多様な細胞種が様々な分化過程で存在していることがわかり、特に血管内皮細胞の伸展が良好なことが示されたうえ、細胞間相互作用に関わる遺伝子発現の更新が見られた。
実験2. 2/3腎部分切除(慢性腎不全)モデルブタを用いて細胞外マトリックス骨格による腎臓修復/再生を機能的に明らかにする
両腎に2/3腎臓部分切除を施したモデルブタに対して、片側に腎臓骨格を適応し、片側は無治療のコントロールとし、2週間に渡って観察を行った。画像上、ドップラーエコーによって体外から腎臓骨格の描出が可能であり、2週間後には腎臓との境界は不明瞭となった。クレアチニンクリアランスおよびGFRの測定では、術後に腎臓機能の低下が20%程度抑制される効果を示した。このメカニズムとして、腎臓切除後の局所への液体貯留の低減と、創面の保護、線維化の抑制が寄与していると考えられた。特に骨格内部には血管内皮細胞の伸展と新生血管の流入が観察され、血流の再開へのポジティブな影響が腎機能改善に寄与したと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究提案書に記載されている通り、in vitroでのSingle Cell解析等を駆使した、メカニズムの発見、および小動物、大動物を用いた体内動態の解明と、非臨床POCの取得が順調に進んでいる。
特に、腎機能の改善効果を示したことは大きな成果であり、さらにそのメカニズムとしてM2マクロファージの誘導を介した抗炎症・抗線維化効果が明らかとなったことは、本研究の今後の発展を大いに期待させる結果である。
これらの成果を元に、2023年度期間内に論文も発表し、成果の一部を国内外の学会でも報告している。

今後の研究の推進方策

今後は、2023年度に明らかとなったメカニズムの詳細をさらに深掘りし、論文化を行う。
また、本骨格がもたらす血管新生、新生血管誘導についても、分子機構を解明し、臓器再生メカニズムの一旦を明らかにするとともに、新たな再生材料としての製品化を実現するための品質管理につながるパラメーターを示す。
またオルガノイド、前駆細胞、MSCなど治療、薬物試験など臨床応用に直結する細胞に対して、どのような動態、機能向上を示すか、マトリックスとしての機能をさらに明らかにし、製品として流通可能な三次元培養基材としての有用性についても追求していく。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Combinational Treatment Involving Decellularized Extracellular Matrix Hydrogels With Mesenchymal Stem Cells Increased the Efficacy of Cell Therapy in Pancreatitis2023

    • 著者名/発表者名
      Kojima H*, Kushige H*, Yagi H, Nishijima T, Moritoki N, Nagoshi N, Nakano Y, Tanaka M, Hori S, Hasegawa Y, Abe Y, Kitago M, Nakamura M, Kitagawa Y. (*co-first authors)
    • 雑誌名

      Cell Transplantation

      巻: 32 ページ: 1-14

    • DOI

      10.1177/09636897231170437

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Injectable extracellular matrix hydrogels contribute to native cell infiltration in a rat partial nephrectomy model2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Kushige, Yuki Amano, Hiroshi Yagi, Toshinori Morisaku, Hideaki Kojima, Akiko Satou, Ken-Ichi Hamada, Yuko Kitagawa
    • 雑誌名

      J Biomed Mater Res B Appl Biomater.

      巻: 111(1) 号: 1 ページ: 184-193

    • DOI

      10.1002/jbm.b.35144

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 生体ハイドロゲルとラット腎臓カバーを用いた腎臓再生誘導機序の解明2023

    • 著者名/発表者名
      西 晃太郎、八木 洋、森作 俊紀、長田 翔伍、大友 茉奈、 中村 聡、光部 貴士、堀川 晋、友田敬士郎、天野 由貴、 濱田 謙一、足達 俊吾、北川雄光
    • 学会等名
      日本獣医再生医療学会第18回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Bioengineered human liver for transplantation2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Yagi, K Nishi, S Nagata, T Morisaku, M Tanaka, S Hori, Y Hasegawa, K Matsubara, Y Abe, S Okamoto, M Kitago, H Obara, H Taniguchi, Y Kitagawa
    • 学会等名
      The 18th congress of asian society of transplantation
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Biological Scaffold: Towards a New Standard in Regenerative Therapy2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Yagi, Yuko Kitagawa
    • 学会等名
      OIST-KEIO Joint Symposium
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 再生医療と医療機器の融合を目指した起業2022

    • 著者名/発表者名
      八木洋
    • 学会等名
      日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 脱細胞化腎臓ゲル材の事業化に向けた研究開発の苦悩と展望2022

    • 著者名/発表者名
      八木洋
    • 学会等名
      人工臓器学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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