研究課題/領域番号 |
23K24398
|
補助金の研究課題番号 |
22H03139 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
三木 敏生 日本大学, 医学部, 教授 (80845305)
|
研究分担者 |
三角 浩司 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00442682)
淵本 大一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長補佐 (10343998)
高野 智圭 日本大学, 医学部, 助教 (50845310)
大西 彰 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (30414890)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
|
キーワード | 羊膜上皮細胞 / 幹細胞 / 遺伝子改変ブタ / 細胞移植 |
研究開始時の研究の概要 |
多能性幹細胞を用いた細胞治療は、臓器移植の代替治療として多くの患者を救済する画期的な再生医療技術となる可能性がある。胎盤由来幹細胞の一つである羊膜上皮細胞は、先天性肝代謝疾患をはじめとした肝疾患の細胞治療への応用が期待されており、我々はこれまで疾患モデルマウスを用いてその治療効果を実証してきた。本研究では、大型動物を用いた羊膜上皮細胞の門脈内移植条件の検討および移植後生体内動態の解明を行う。臨床手技に準じ血管カテーテルを用いた門脈内細胞移植を行うことで、臨床応用の際に参考となる移植条件や血行動態を含めた安全性の確認を行う。
|
研究実績の概要 |
羊膜上皮細胞は多分化能や低い免疫原性、免疫制御能など幹細胞の特徴を持つ胎盤由来組織幹細胞であり、肝臓に生着させることによって先天性肝代謝疾患をはじめとした様々な肝疾患の細胞治療に応用されることが期待されている。すでに先天性代謝疾患モデルマウス肝臓内への直接投与による細胞移植で、ヒト羊膜上皮細胞の治療効果は示されているが、臨床応用に想定される門脈内への投与についてはモデル動物のサイズの問題から検討がなされていない。本研究では、大型動物を用いた羊膜上皮細胞の門脈内移植条件の検討と移植後の生体内動態の解明を行い、羊膜上皮細胞の臨床応用に向けての総合的な知見を得ることを目的としている。 2023年度には、前年度確立した臨床用ヒト羊膜上皮細胞を分離・保存するためのプロトコールを用いて、学内のGMP準拠細胞調整施設において、さらにヒト胎盤5例より臨床用ヒト羊膜上皮細胞を分離し、凍結保存することに成功した。また、2ヶ月の冷凍保存期間を経て臨床に用いる最終製剤(シリンジに入れた細胞懸濁液の状態)を作出し、分離・保存プロトコールに加えて最終製剤作出プロトコールも確立した。これらのプロトコールを準備して独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との総合相談を行い、安全性試験・安定性試験および非臨床試験の方向性を確認した。 一方、大型動物への門脈内細胞移植実験として、10週齢の野生型ブタにヒト羊膜上皮細胞の門脈内移植(n=5)を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床用ヒト羊膜上皮細胞を分離・保存する実験に関しては、臨床応用に向けて想定以上に進捗している。 一方、2023年度に予定していた実験のうち、農研機構で緑色蛍光タンパク質(eGFP)遺伝子導入したブタの胎盤からeGFP陽性羊膜上皮細胞を無菌的に分離し、生着率や発現の均一性を確認した後、凍結保存する計画は、豚コレラなど感染症蔓延及びその対策などによる社会環境的要因による制約によって遅延していた。2023年度は、7回の交配に加え3度の人工授精を試みたが死産、不受胎、あるいは4週で受胎確認ののち流産などの結果となり、eGFP遺伝子導入ブタの胎盤を入手することができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
凍結精子を用いた人工授精を3度も行なったにもかかわらずeGFPトランスジェニックブタを作出することができなかったことから、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の共同研究者と検討を重ねた結果、eGFPトランスジェニックブタを作出することは断念し、代替案として適切な近交系ブタの胎盤からトリプシン処理で羊膜上皮細胞を分離し、遺伝子導入によりeGFPで標識したのち兄弟ブタに移植して研究の目的を達成したいと考えている。 また、大型動物での門脈内細胞移植後の体内動態の検討が難しい場合、マウスの脾臓を皮下ポケットに移設するモデルを用いてルシフェラーゼ遺伝子を導入したヒト羊膜上皮細胞の門脈内移植を行い、In vivo発光・蛍光イメージング装置(IVIS Imaging System)を用いて経時的な門脈内細胞移植後の体内動態の検討を行う予定である。
|