研究課題/領域番号 |
23K24421
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補助金の研究課題番号 |
22H03162 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30397880)
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研究分担者 |
冨田 秀太 岡山大学, 大学病院, 准教授 (10372111)
枝園 和彦 岡山大学, 大学病院, 講師 (30708079)
山本 寛斉 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (40467733)
岡崎 幹生 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (50467750)
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70379840)
冨樫 庸介 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80758326)
諏澤 憲 岡山大学, 大学病院, 助教 (90839713)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 非小細胞肺がん / がん微小環境 / マトリセルラータンパク質 / がん関連線維芽細胞 / マトリセルラー蛋白 / 血管内皮細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
がん微小環境は、がん細胞と周囲の様々な細胞・非細胞成分から構成され、がんの進展に必要な異常な環境を構築するのみならず、従来の治療薬剤への抵抗性にも関与している。がん微小環境を構成する因子のうち、がん関連線維芽細胞(CAF)は、がんの進展に重要な役割を果たすことが知られているが、CAFの由来については不明な点が多く、これらを標的とした治療戦略の確立のためにはCAFならびに微小環境のさらなる理解が重要である。本研究では、がん微小環境におけるCAFと、新たな治療標的と考えられるマトリセルラータンパク質に着目し、がん微小環境におけるこれらの役割を解明することで、新しい肺がんの治療戦略になり得ることを示す。
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研究実績の概要 |
がん微小環境は、がん細胞と周囲の組織や免疫細胞を含む様々な細胞・非細胞成分から構成される。がん関連線維芽細胞(CAF, cancer associated fibroblast) は、がんの進展に重要な役割を果たしているが、これまでがん微小環境に関する研究を進める中で、マトリセルラータンパク質がCAFで高発現している知見を得た。本研究は、がん微小環境においてCAFの由来・成熟に対するマトリセルラー蛋白質の役割を解明し、マトリセルラータンパク質阻害によるがん微小環境を標的とする肺がんに対する新しい治療戦略の創出を目的としている。2022年度は、肺がん手術臨床検体から得られた肺がん・正常肺組織のペアサンプルを用いてシングルセルRNAシークエンスを実施した。さらに、非小細胞肺がん細胞株とCAFを用いて、CAFが肺がん細胞の表現型に与える影響について検討をin vitroで共培養および馴化培地モデルなどを用いて検証した。その結果、CAFの共培養およびCAF由来のCMの刺激により、肺がん細胞細胞の増殖能、遊走・浸潤能、薬物治療抵抗性のいずれも亢進することを明らかにした。2023年度は、CAFで高発現しているマトリセルラー蛋白POSTNががん細胞の表現型に与える影響の解析を行った。POSTNは分泌蛋白であり、CAFより分泌され、がん細胞の遊走能、EMT誘導、薬剤耐性を促進することをin vitroで明らかにした。さらにCAFのPOSTN発現を誘導する因子として、TGFbのほかPOSTN事態もautocrine機構により発現を亢進されることを確認した。POSTNの発現をノックダウンさせたCAFと肺がん細胞株を混ぜた皮下腫瘍マウスモデルでは、CAFのPOSTNを抑制することにより腫瘍増大を抑制し、さらに薬剤感受性が改善されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroおよびin vivoモデルを用いてCAFが、肺がん細胞細胞の増殖能、遊走・浸潤能、薬物治療抵抗性といったがん進展能を促進することをを明らかにした。CAFが分泌する液性因子の中でも、マトリセルラー蛋白であるPOSTNがこれらを促進することを明らかにした。以上よりCAF由来のPOSTNは腫瘍の進展を促進し、治療標的としての可能性が示された。以上より研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施したがん・CAFユニットサンプルから得られたRNA-seq網羅的遺伝子発現解析を継続する。さらに肺がん臨床検体より血管内皮細胞を分離抽出し、POSTNと血管内皮細胞、EndMTによるCAF誘導の関係について検討する。
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