研究課題/領域番号 |
23K24439
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補助金の研究課題番号 |
22H03180 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
遠藤 俊毅 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00535370)
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研究分担者 |
冨永 悌二 東北大学, 大学病院, 教授 (00217548)
Rashad Sherif 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (00824088)
新妻 邦泰 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10643330)
下田 由輝 東北大学, 大学病院, 助教 (30815444)
正本 和人 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60455384)
伊藤 明 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (90867863)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | Muse細胞 / 脊髄損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
我々研究グループは、多能性幹細胞、Muse(multilineage-differentiating stress-enduring)細胞を用いて、特に脳梗塞、急性期脊髄損傷に対する再生医療研究開発をすすめてきた。Muse細胞はスフィンゴシン1リン酸(S1P)- S1P受容体2(S1PR2)のシステムを用いて傷害部位に遊走することが知られている。本研究課題では、このS1P-S1PR2システムを用いてMuse細胞を選択的に損傷脊髄内に集積させ、未だ根本治療の存在しない慢性期脊髄損傷に対し、応用可能な新規再生治療を開発することを目指す。
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研究実績の概要 |
脊髄損傷は、外的要因により運動・感覚をふくむ脊髄神経機能が障害される重篤な疾病である。以前より、損傷された中枢神経は再生しないとされてきたが、とくに、脊髄損傷後慢性期には、ミエリン由来軸索伸長阻害因子の産生、グリア瘢痕の形成などによる損傷部位での環境変化によりほとんどの神経再生治療は奏功しない。このため慢性期脊髄損傷では、後遺症を軽減するためのリハビリテーションが標準的な治療方法となっているのみである。我々研究グループは、多能性幹細胞、Muse(multilineage-differentiating stress-enduring)細胞を用いて、脊髄損傷に対する再生医療研究開発をすすめてきた。本研究課題では、Muse細胞を選択的に損傷脊髄内に集積させ、未だ根本治療の存在しない慢性期脊髄損傷に対し、応用可能な新規再生治療を開発することを目指している。本研究は、「慢性期脊髄損傷に対するMuse細胞による機能再建と障害抑制」という概念実証の確立を通じ、慢性中枢性疾患への新規治療開発への扉を開く研究と位置付けられている。 今年度、慢性期脊髄損傷モデルを確立し、これまで困難とされてきた慢性期脊髄損傷における神経再生治療をMuse細胞移植により確立することができた。さらに、慢性期脊髄における変化、Muse細胞投与後の変化を、ラットのBehavior、のみならず、免疫組織学的に、あるいはGene sequenceをもちいて、明らかにすることができた。さらに、慢性期脊髄損傷で問題となる脊髄損傷後に生じる痛みにおいて、慢性期の損傷脊髄にMuse細胞を届け、脊髄損傷部局所での軸索伸長にくわえ、活性化したグリア細胞抑制による抗炎症作用、神経保護作用が期待できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度目標としていた研究である、Muse細胞の脊髄損傷慢性期に対する有効性および治療メカニズム解析を行うことができたため。ここでは、脊髄損傷ラットモデルに損傷6週間後、Muse細胞を静注し、以下を検証した。下肢運動機能評価(BBBスコア)痛み、感覚評価 (Von Freyフィラメント、Hot Plateテスト)、細胞生着評価、脊髄空洞計測、残存神経軸索評価、Muse細胞の分化評価(NeuN, GFAP, GSTpiなど各種マーカー)ミクログリア活性評価(P2X4受容体、IL-1β、TNFα)。さらにMuse細胞の直接の効果を確認するため、Muse細胞静注後12週間でDiphtheria毒素を投与しMuse細胞排除試験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
脊髄損傷後のMuse細胞集積を直接観察するためのシステムを構築することを目指す。特に、脊髄をふくめた全身臓器へのMuse細胞の遊走能は化学発光標識によるイメージング、ヒト特異的配列PCRを用いて評価することを行う。さらに大脳皮質イメージングおよび、遊走するMuse細胞を脊髄髄内において直接観察するためのシステムを構築する。Muse細胞を静注投与、二光子顕微鏡を用いて損傷部近傍の脊髄表面における経時的なMuse細胞の集積を観察する。 また、間葉系幹細胞との比較試験を行う。つまり、 移植用細胞ソースとしてこれまで最も多く用いられている間葉系幹細胞を慢性脊髄損傷モデルに移植し、 Muse細胞と同様な有効性を発揮しているかどうかについて、比較・検討する。
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