研究課題/領域番号 |
23K24453
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補助金の研究課題番号 |
22H03194 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池淵 祐樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20645725)
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研究分担者 |
本間 雅 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60401072)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | Wntシグナル / 骨代謝 / 抗体創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、網羅的なレポーターアッセイ手法を用いて、全てのWnt-Fzd-共受容体の組み合わせによる下流シグナル経路の定量的な活性化パターンを取得することで、Wntシグナルの高精細な解読を目指す。この情報を基盤として、Fzdおよび共受容体の細胞外ドメインを認識する単鎖化抗体可変領域(scFv)を組み合わせた二重特異性の改変抗体をデザインすることで、特定のWntシグナル経路を選択的に活性化する方法論の確立を目標とする。最後に、取得した改変抗体が新たな創薬標的となり得るか、骨粗鬆症モデルマウスを用いて検証する。
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研究実績の概要 |
マウス骨芽細胞由来MC-3T3細胞の内在性に発現する全てのFzd(10種類)および共受容体(LDL受容体ファミリーに属するLrp5/6、およびRTKであるRor1/2、Ryk、Ptk7の共受容体6種類)を、CRISPR-Cas9を利用して欠失させた細胞株E1-NR細胞を樹立した。各遺伝子のゲノム配列を確認し、いずれもフレームシフト変異・停止コドンがコード領域内に挿入されることを確認している。 E1-NR細胞に対して、Wnt 19種類、Fzd 10種類、および共受容体 6種類をアデノウィルスを用いて一過性に発現させ、下流シグナル経路(GPCR経路、PCP経路、β-カテニン経路)の応答性を、NanoLucレポーターシステムを用いて網羅的に測定することで、本研究の基盤となる包括的なデータ取得を行う。本年度は、β-カテニン経路に関してのデータ取得を実施した。E1-NR細胞においては、Lrp5、Lrp6、あるいはその両方を導入した条件下でのみ、β-カテニン経路(TCFレポーターを用いて評価)の活性化が確認され、既報にある通り、Lrp5/6とFzdとの架橋構造がシグナルの起点となっていることが確認された。さらに、特定のWnt-Fzdの組み合わせにおいてのみ、β-カテニン経路の強い活性化が認められ、これまでに十分な情報が得られていなかったFzd側の選択性に関して有用な知見が得られた。 上記と並行して、β-カテニン経路に対してシグナル入力を可能とする改変抗体の構築を試みている。Lrp5/6、および今回の解析で特に強いシグナル受容能を示したFzd分子2種類に関して、細胞外ドメインにFcタグを付与した組み換えタンパク質の産生・精製を完了した。今後、これらをベイトとしたファージディスプレイ法によって高親和性に結合するscFvを単離し、選択的なシグナル誘導能を示す改変抗体の分子構造を探索する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画通りに進捗している。今後に計画している解析に関しても必要な準備等は進んでおり、研究を遂行する上で問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
β-カテニン経路に引き続き、GPCR経路、PCP経路に関して、包括的なデータ取得を実施する。GPCR経路ではCaシグナルを反映するNFATレポーター、およびcAMPシグナルを反映するCREBレポーターを用い、PCP経路ではSRF-REレポーターを採用する。まず、共受容体を導入しない条件下でWnt-Fzdの全ての組み合わせでデータを取得し、Fzdにおける選択性の情報を得る。さらに、LDL受容体ファミリーに属するWnt共受容体であるLrp5/6、およびRTKであるRor1/2、Ryk、Ptk7の共受容体6種類に関して、その機能・特性の差異を明らかにするため、同様の手法を用いて各下流シグナル経路の活性化度がどのように変動するか網羅的に測定する。これらの包括的な情報を基盤として、共役する低分子量Gタンパク質の同定等の、より詳細なシグナル制御機構の解明を試みる。 また、選択的なシグナル入力活性を有する改変抗体の作出を引き続き進める。まずは、Lrp5/6と、特定のFzdの分子間を架橋する二重特異性改変抗体を構築することで、β-カテニン経路へのシグナル誘導が可能であることを検証する。CDR領域をランダム化したscFvを提示するファージライブラリーは構築済みであり、すでに作出したベイト組み替えタンパク質を用いてアフィニティパンニングを繰り返すことで、 高親和性に結合するscFvを単離する。得られたscFvを目的に応じてリンカーで連結し、IgG Fc領域との融合タンパク質に組み換えることで改変抗体を取得し、選択的なシグナル経路の活性化を誘導できる分子構造を探索する。さらに、上述の網羅的なレポーターアッセイでの解析結果に基づき、他の共受容体などに関しても、抗体を取得するために必要となるそれぞれの細胞外ドメインの組み替えタンパク質の調製条件を最適化する。
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